コロナ禍により、会社指示でリモートワークをする人が増えてきました。
自宅での作業となるため、リラックスするかと思いきや、慣れない環境に緊張したり、パソコンでの長時間作業により体調に影響が出たりする人が増えています。
この連載「登録販売者が教えるセルフメディケーション」では、コロナ禍において皆さんが直面するいくつかの健康面の問題に対応すべく、登録販売者である筆者が、ドラッグストア等のお店で何を購入し、どう対処したらいいのかをお伝えしていきます。
第2回となる今回は、「頭痛」や「眼精疲労」がテーマです。
リモートワークによって、特に悩める人が増えたと思われる、この2つの症状のセルフメディケーションについて考えていきましょう。
「セルフメディケーション」とは、自分で健康管理をし、軽度の不調は自分自身で対応することをいいます。
「登録販売者」とは、第1類以外の医薬品を扱える、薬のアドバイザーです。生活習慣改善のアドバイスも行います。
ちょっと待って!その「頭痛」風邪じゃないかも?
「頭痛」は、なったことがある人も多いと思われる症状の1つですが、実はいくつか種類があります。
まずは頭痛の種類についてカンタンにお話ししましょう。
① 緊張型
頭が圧迫されるような痛みで首筋や肩のこりにもつながります。睡眠不足や、長い時間パソコンに張り付いて作業しているせいでストレスが蓄積し、体の筋肉がかたまり、血管が細くなることが主な原因です。
② 片頭痛
ズキンズキンと脈打つような感覚のある痛みです。頭部の血管が収縮→拡張が起きて血管の周りの神経が圧迫されて痛みが発生します。
若い女性に多いタイプで、精神的なストレス、不眠、激しい運動などが原因としてあげられます。
また、緊張型と混じって起こることも。頭の片側や後頭部に症状が出たりします。
③ 群発頭痛
目をえぐられるような感覚の痛みです。
季節の変わり目に起こるといわれており、2ヶ月近く続いたりします。このタイプの頭痛は、医師の診断が必要になります。
④ その他
厳密には頭痛のカテゴリには入りませんが、風邪によるもの、貧血等によるもの、脳の炎症等があげられます。
上記に挙げたように、頭痛にはいろんな種類がありますが、コロナ禍の現在では①の緊張型や②の片頭痛タイプが多いと思われます。
慣れないリモートワークにより、本人にそんなつもりがなくとも無意識に緊張が起きているのでしょう。この痛みについては、後の項目でセルフメディケーションしていきます。
眼精疲労とはどういうもの?
眼精疲労は「目の疲れ」と書くため、症状は目の疲れだけと思われている方も多いかもしれませんが、実はそれは間違いです。
眼精疲労とは、目の疲れに伴う全身症状を指します。
実は、筆者が登録販売者として働くドラッグストアでも、コロナ禍でリモートワークが増えた今、以下のような相談が増えています。
「パソコンで作業していたら、最初は目が疲れてかすむ程度だったのが、腰も痛くなってきています。どうしたら改善しますか?」
このような相談をされる皆さんが訴える症状は、初めは目の疲れだけだったのに、徐々に肩こりや腰痛も伴うようになったというものです。
コロナ禍以前も、会社内で同じ症状で悩んでいた方もいるでしょう。
しかし、慣れない在宅環境や長時間のパソコン作業という状況で、急にこの症状を訴える人が増えた印象です。
これは、登録販売者の筆者としても見過ごせません。
次の項目で、頭痛・眼精疲労の対処法をお伝えしていきます。
頭痛と眼精疲労への対策は「治す+癒す」
頭痛と眼精疲労は様々な原因から起こるとこと、コロナ禍で症状に悩む人が増えていることがわかりました。
いよいよ、この憎き頭痛と眼精疲労のセルフメディケーションについて解説していきます。
まずは医薬品で治す
まずはつらい症状をなくすため、「治す」対応をしてきましょう。
「頭痛」への対応は、ズバリ鎮痛薬を飲むことです。
痛みに耐える人もいますが、ガマンなんてもってのほか!
選ぶ薬は、定番の頭痛薬でもある「イブ」や「バファリン」などでOKです。
効き目の強さや速さなどには種類がありますので、お好みに合わせてお選びください。
よく、ロキソニンを所望してドラッグストアに来店する方もいらっしゃいますが、こちらは第1類医薬品になりますので、第1回の記事でお伝えした通り、薬剤師のいない店舗には取り扱いがありません。
どうしてもロキソニンがいいという方は、薬剤師がいる店舗、もしくは病院の近くにある調剤薬局で相談してみてください 。調剤薬局に相談する場合、特に処方箋が必要ということはありませんが、お求めの医薬品が置いてあるかどうかは確認が必要です。
近くに取り扱っているお店がない場合は、ドラッグストアのインターネット販売で取り扱いされているところがありますので、そちらを検索してみましょう。
他にも、頭痛対策には額に冷却シートを貼ってみるのも、痛みが薄れる感覚があるのでおすすめです。
続いて「眼精疲労」への対応ですが、「ナボリン」や「アリナミンEX」等、末梢神経を癒すビタミンB12が含まれたビタミン剤を選ぶとよいでしょう。
また、眼精疲労によって肩や腰に痛みが起きてつらいときは、「ロキソニンSテープ」という湿布がおすすめです。こちらはロキソニンとありますが、唯一、第2類医薬品で使えるロキソニンです。痛みの芯にまでしっかり届き、効果を発揮してくれるでしょう。
ただロキソニンSテープは、喘息をお持ちの方には販売できませんので、その場合は通常の冷やすタイプの湿布をどうぞ。詳しくは、店舗の売場にいる登録販売者に相談してみてくださいね。
「癒し」で予防する
続いては、頭痛と眼精疲労の予防について考えていきましょう。
「癒し」対策を行うと、予防につながる可能性が高くなります。
まずおすすめするのは、ストレッチです。
1・2時間ごとに立ち上がって伸びをしたり、屈伸やひざの上げ下げをしたりしてみましょう。腕をぐるぐる回したり、背中を軽く反らしてみたり、カンタンな動きで構いません。体の筋肉が凝りかたまらず、血液の循環にもいいです。
会社勤めでは人目をはばかってできないかもしれませんが、自宅でのリモートワークならでは気にせずできそうですね!
そしてもう1つ。登録販売者としてのアドバイスのポイントはここ。
少々変わりダネではありますが、「環境音」を提案します。
先程「頭痛」の種類のところでも少しお話しましたが、頭痛の原因として考えられる原因の1つに、環境の変化によるストレスがありました。
コロナ禍で、今までの会社への通勤スタイルから、自宅でのリモートワーク業務に切り替わったことによるストレスが大きいという人もいるでしょう。
原因がこの環境のせいかも…と思う人は、以前のスタイルに戻ったような感覚にすることで改善の可能性があります。もちろん、コロナ禍前のように「朝から駅のホームに行ってください」なんて言うつもりはありません。
そこでおすすめするのが「通勤やオフィスの環境音」です。
インターネット動画サイトの「YouTube」には様々な「環境音」があります。
「駅のホーム」や「町の雑踏」、職場の近くにありそうな「カフェ」「オフィスの音」なんていうものも。
会社内の足音やドアの開閉音など、普段は煩わしいと思っていた「音」ですが、家で聞くと意外に落ち着くものです。
仕事を始める前にこの環境音を聞く→音という喧噪に包まれてリラックス→「以前の自分」の感覚を思い出す、この一連の流れが、自宅での作業によるストレスの軽減につながるでしょう。
また、「自然の環境音」を休憩時に流すのもおすすめです。さざ波の音、雨の音や森林、川の音等、ヒーリング音とも呼ばれるものです。
休憩時に、目を休めるホットアイマスクなどを付け、この自然の音を聞いて休むのはいかがでしょうか?ストレス軽減に一役買うと思いますよ。
でも、そのまま眠りこまないように気を付けてくださいね。
これらの音はYouTubeで聞くだけでなくAmazon等でCDを購入することができます。
この2種類の環境音を利用して、今日も1日がんばってみませんか?
今回は、コロナ禍でのリモートワークによって体に起きる不調のうち「頭痛」と「眼精疲労」を取り上げました。
リモートワークという業態ゆえに起きやすい頭痛、長時間のパソコン作業により起きやすい目の疲れ、それに伴う肩や腰の疲れや痛み、どれもつらいですよね。
すでに症状が出ている方は、「治す」から始めていただき、予防のために「癒し」を取り入れてみましょう。まだ軽い症状という人は、「癒し」を積極的に取り入れて、重症化しないようにしてください。
頭痛や眼精疲労からも、別の症状は起こり得ます。
しっかりセルフメディケーションして、他の病気を引き起こさないよう健康を維持していきましょう!
さて、続く次回のテーマは「腰痛・肩こり」です。
コロナ禍以前から悩める人が多い症状でもありますが、本記事でも触れたように、慣れないリモートワークによって腰痛・肩こりが気になりだした…という人もいるでしょう。
これらの症状には、いったいどのようにセルフメディケーションしていけばいいのでしょうか。次回、詳しく解説します。お楽しみに!
登録販売者講座参考書籍: 「家庭の医学」主婦の友社
参考サイト:https://news.yahoo.co.jp/articles/598e146a0aa582c527d33a821076086fe7ae2f42
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