コロナ禍でリモートワークなどに移行した会社が増えて、生活環境がガラッと変わった方もいらっしゃるかと思います。
新しい生活にあわせて、いままで無かった不調が毎日のように起こるようになり、お困りの方もいるのではないでしょうか?
コロナ禍で起きる様々な不調の対策を解説する連載「登録販売者が教えるセルフメディケーション」、 6回目の今回は、胃腸のトラブル「下痢」や「便秘」についてお話していきます。
この不調に慣れっこになってしまった方もいるかもしれませんが、痛みも伴うこの問題、今一度あらためて向きあってみてはどうでしょうか。
登録販売者の筆者がセルフメディケーションしていきます!
「セルフメディケーション」とは、自分で健康管理をし、軽度の不調は自分自身で対応することをいいます。
「登録販売者」とは、第1類以外の医薬品を扱える、薬のアドバイザーです。生活習慣改善のアドバイスも行います。
下痢や便秘の原因とは?
下痢の原因は、細菌などの食あたりによる分泌性、乳糖不耐症などの水分が吸収されにくくなるせいで起こる浸透圧系、食べ過ぎ飲みすぎ及びストレスで腸が過敏になって起こる運動亢進性、その他病気によるものに分けられます。
コロナ禍ですと、やはりストレスなどが原因の運動亢進性下痢が多い印象です。
続いて、便秘について。便秘は急性と慢性に分けられます。
急性は、食生活や環境が原因のもの、ストレスが原因のもの、生理によるものです。
慢性には、大腸の緊張が緩む弛緩性、直腸の知覚が鈍くなる習慣性、大腸がけいれんするけいれん性があります。
登録販売者の筆者が、スーパーのお薬コーナーで勤務中に多いと感じるのは、便秘関係の相談です。女性に多い傾向でしょうか。
便秘も下痢、どちらも痛みを伴うこともあり、仕事に集中できなかったり、ひどくなるとトイレから出られなかったり…なんてこともあるでしょう。
放置しているだけで改善する見込みがあるのは、原因が一時的で特定されているものだけ。ほとんどは、すぐに良くなることはありません。
つらい症状である便秘と下痢、この機会にしっかりセルフメディケーションしていきましょう!
医薬品で下痢・便秘をセルフメディケーションしてみよう
まずは、下痢や便秘の症状のときに、登録販売者の私がよくおすすめする医薬品を、カテゴリ別に紹介していきます。
ただ、原因がウイルスや細菌によるものとハッキリしている下痢は止めるべきではありませんので、注意してください。
下痢止め薬(止瀉薬-ししゃやく-)
① 正露丸
有名な下痢止めです。下痢を止めるというより、腸のぜんどう運動を通常に戻す働きをします。
携帯タイプもあり、今では海外旅行の際にもよく使われるようになりました。また、歯の痛み止めとしてもお使いいただけます。
② ストッパ
即効性の下痢止めで、水だけで飲めるのが特徴です。そのため、電車やバスなどの通勤通学中や、抜けられない会議など、水が用意できないシーンで使えます。
下痢止め薬は、だいたいこの2種類に分かれます。
それぞれ、薬の形がフィルムだったり口の中ですぐ溶けたりと、種類があるので、使いたいタイミングに合うものを選びましょう。
便秘薬(瀉下薬-しゃげやく-)
① コーラック
刺激性便秘薬で、人によっては痛みを感じるときもありますが、効き目が早いのが特徴です。
② サトラックス
薬の成分が便に混ざって水分を吸収してかさを増し、排便を促します。
③ オイルデル
DSSという成分で便内部に水分を与えて柔らかくし、一緒に配合した油分で排便しやすくするのが特徴です。
④ 酸化マグネシウムE便秘薬
腸に吸収される水分を抑えることで、便を柔らかくして排便につなげます。
便秘薬では、知名度が高く効き目が早いという①のコーラックを経験される方が多いのではないでしょうか。
そのうえで、痛みを感じる方や、効果が落ちてきたという方が②や③に移っていくのですが、最近では④の酸化マグネシウムE便秘薬が、おなかに優しいという理由でお買い求めが多い印象です。
また、①のコーラックの中には、①と②を組み合わせたものもあり、選択の幅が広がっています。
その人に合う・合わない、どのくらいの改善を求めているかにもよって選ぶ薬は変わってくるので、お求めの際には、登録販売者や薬剤師に相談してみてくださいね。
薬に頼らないセルフメディケーション
前項では、医薬品でのセルフメディケーションをご紹介しましたが、登録販売者としては薬を使わず、日常的に防いでいけるセルフメディケーションもお伝えします。
下痢ならば、冷たいものばかりを取らない、お腹を冷やさないようにするといったことや、消化に良いものを食べる、疲労を避けるといったことをお話ししています。
便秘の場合は、まず朝食をしっかり食べることをおすすめします。それが朝の腸のぜんどう運動を促し、毎日の排便につながるからです。繊維質を摂ること、十分な睡眠やストレスを貯めないこと、あとは下腹部のマッサージもいいですね。
習慣という形で身に付けていく必要がありますので、全部は無理でも、1つずつやってみてくださいね。
次の項では、便秘になりやすい方に向けて、腸の状態を向上するための予防的セルフメディケーションをご紹介します。
腸の状態を改善!予防的セルフメディケーション
皆さんは、整腸薬というものを聞いたことはありますか?
整腸薬とは、腸の働きを正常に保つことによって、便通を整え腹部膨満や軟便、便秘などを改善する薬で、乳酸菌や酪酸菌などを配合した生菌製剤です。
ただ、下痢止め薬や便秘薬の代わりになるわけではありませんので、そこは注意してください。
腸の中には、およそ1,000種類、100兆個もの細菌が存在していて、それらの細菌類は大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌と3つに分かれるのですが、腸の調子が悪い方はたいてい悪玉菌が多い状態。ですので、整腸薬などで善玉菌を増やしていき、おなかの調子を整えていくのです。
ここで触れておきたいのが、腸の全体で善玉菌、悪玉菌、日和見菌の数は、偏ってどれかが多すぎてもいけないということです。どの種類の菌も一定数必要でバランスが大事になります。
登録販売者の筆者の勤務中にも、整腸薬のセルフメディケーションをする機会は多いです。
「リモートワークに以降して運動の機会が減ったからなのか、便通が悪くてつらいんです…」
筆者が話をうかがう中には、こういったリモートワークによる便秘の症状も聞きます。
この場合、すぐに出したいということでなければ、整腸剤をおすすめするようにしています。
「整腸剤とヨーグルトは違うの?」
こういったご質問もいただきますが、整腸剤は乳酸菌などを、ヨーグルトなどより確実に腸にまで届けることができます。腸内菌のバランスを気にされるのでしたらおすすめです。
胃腸の調子をくずした際、すぐ便秘薬などの医薬品に頼るのは抵抗がある…という方は、お近くの薬局やドラッグストアで整腸剤をお求めになってみてください。
筆者のおすすめは「新ビオフェルミン」や「エビオス錠」です。他にもたくさんあるので、悩む方は登録販売者や薬剤師に、症状と、どうしたいかを相談してみるのがいいでしょう。
コロナ禍で、会社からのリモートワークの命令など、生活環境が変わったせいで胃腸の調子が不安定になり、下痢や便秘の症状に悩む方は増えています。
今回は、病状に合った医薬品や整腸薬などをご紹介してみました。
お薬もいいですが、変化した環境がそのまま続くことを考えれば、日頃から薬に頼ることのないように生活を改善してみてはいかがでしょうか。
薬とそれ以外の方法、生活環境や生活スタイルとあわせて、セルフメディケーションしてみてくださいね。
さて次回は、「冷え・むくみ」について。
コロナ禍による環境変化で悩める人が増えており、とくに女性に多い悩みではないでしょうか。人によっては1年中悩んでいる方もいるようですので、おすすめの医薬品や生活習慣のちょっとした改善などお伝えしようと思います、お楽しみに。
参考URL: https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/03_geri/
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