皆さん、こんにちは!
これから全5回の連載で、国家資格・国内旅行業務取扱管理者の勉強法についてお話ししていきたいと思います。
国内旅行業務取扱管理者資格の取得を目指している方や、今後の就職・転職のために何か資格取得に挑戦したい!という方のために役立つ内容をお伝えしますので、どうぞお楽しみに。
国内旅行業務取扱管理者試験の難易度は?
国内旅行業務取扱管理者は、旅行関係の資格の中では数少ない国家資格です。
国内旅行業務取扱管理者になるには、毎年9月に1回だけ行われる筆記試験に合格する必要があります。
気になるその難易度ですが、ここ5年間の合格率は最も高い2021年度が42.6%、最も低い2022年度でも34.9%と、およそ40%前後で推移しています。
国家資格の中では、そう高い難易度ではありません。社会人でもコツコツ勉強をして取得できるレベルです。
国内旅行業務取扱管理者試験の科目は3つあり、合格点はいずれも60点以上です。1科目でも60点に届かなかった場合、仮に他の2科目がともに満点でも落とされてしまいます。
ただし、「国内旅行実務」に限っては、合格基準に達した場合、翌年度の受験が免除されます。
数字だけではわかりにくいよ、という方に私の実体験をお伝えしましょう。
鉄道が趣味の私は、運賃・料金の知識をもっと深めようと、国内旅行業務取扱管理者の受験を決意しました。主に通勤電車の中で勉強し、半年間の独学で一発合格。
資格試験が初めてだった私でも合格できたのですから、ある程度コツを掴めば、独学でも合格を目指すことは可能です。
では、ここからは実際の試験の難しいところ、簡単・楽しいところについて、解説していきます。
試験の難しいところ
国内旅行業務取扱管理者試験の難しいところをあえて挙げるなら、試験範囲がとても広いため地道にコツコツと勉強する必要がある、という点でしょうか。
試験範囲は下記の3科目で構成されています。
・旅行業法及びこれに基づく命令
・旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
・国内旅行実務
「旅行業法及びこれに基づく命令」では旅行の法律について広く学び、「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」では、聞きなれない言葉も登場します。
「国内旅行実務」では、実際に運賃や料金の計算をする計算問題があったり、日本全国のお祭りの名前や特徴を覚える必要があったりと、学習内容は多岐に渡ります。
3つの科目のうち、「国内旅行実務」だけは配点の内訳が年度によって若干変動します。原則として、運送機関・宿泊施設の料金や運賃などの実務処理についての出題は他の2科目と同じ1問4点ですが、全国の観光地やお祭りなどについての出題は1問2点です。
観光地やお祭りなどについての問題は知識を問う出題なので配点が低いですが、だから簡単というわけではありません。知識が問われるということは、基本的に丸暗記するしかないからです。
せいぜいどのような暗記法を使うか、という以外に、特殊な勉強法が入り込む余地はほとんどないのが実情です。
しかも、丸暗記したものは短期間で頭から抜けやすい傾向があります。よって、配点の面から考えても、観光地やお祭りの学習は一番後に回し、実務処理の問題と他の2科目を先に勉強するのが正しい順序です。
試験の簡単・楽しいところ
社会人の皆さんにおすすめできる国家資格・国内旅行業務取扱管理者は、挑戦しやすい、簡単といえるポイントがあります!
まず、受験資格がないところですね! 受験に関わる制限はまったく無し、受験願書もシンプルなので、やろう!と決めてから受験の日を迎えるまでのステップが非常に簡単です。
また、旅行好きの方にとっては楽しめる内容が多いので、知識がすんなりと頭に入ってくるという点もポイントです!
さらに、興味深いのが公表されている合格者の職種です。これによると、2018年度の試験では旅行関係以外の仕事についている方が88.6%、という驚きの数字。それだけ門戸の広い資格だといえるでしょう。
過去問題は試験を実施している「全国旅行業協会」のサイトに掲載されているので、過去問題集を買わなくてもよいというのも、受験者の懐に優しいですね。
加えて、出題が択一式なので、学習漏れがあっても正解できる場合があります。その際に重要なのが、「常識に反する選択肢は×」という視点です。ここでは、2017年度試験の「旅行業法及びこれに基づく命令」から1問引用して説明します。
次の記述のうち、正しいものはどれか。
ア.外務員の証明書の交付を受けた旅行業者等の役員又は使用人は、その営業所内において、旅行業務について取引を行う場合であっても、外務員の証明書を携帯していなければならない。
イ.旅行業者等の役員又は使用人は、その旅行業者等のために営業所以外の場所で旅行業務について取引を行うときは、外務員の証明書を携帯していれば、当該証明書を提示することを要しない。
ウ.外務員は、旅行者が悪意であったときも、その所属する旅行業者等に代わって、旅行者との旅行業務に関する取引についての一切の裁判外の行為を行う権限を有するものとみなされる。
エ.旅行業者等は、勧誘員、販売員、外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、役員又は使用人のうち、その営業所以外の場所でその旅行業者等のために旅行業務について取引を行う者に対し、外務員の証明書を交付する。
イは「外務員の証明書」を持っていれば見せなくてもいいと言っており、常識に反します。提示しなければ、証明書を携帯する意味がありません。
ウは「旅行者が悪意であったときも」が論外です。
「証明書」が営業所内でも必要と言っているのがア、営業所以外の場所で必要と言っているのがエですが、「外務員」の証明書なのですから、常識的に考えてエが正解となります。
外務員の定義は、エの選択肢に書かれている「営業所以外の場所でその旅行業者等のために旅行業務について取引を行う者」ですが、それを知らなくてもこの問題は「常識」で正解可能です。
さて今回は、国内旅行業務取扱管理者試験の難易度と難しいところ、簡単・楽しいところについてお話ししました。
次回は独学法についてお話しします。少しでも「挑戦できそうかな?」と思ってくださった方は、ぜひまた読んでいただけると嬉しいです。
それでは、また。
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