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NEW【最新版】簿記3級合格の秘訣(全6回)
皆さん、こんにちは。簿記の学習はいかがでしょうか。一通りのインプットが終わられた頃でしょうか。まだ、曖昧な点が残っているかと思いますが、ここからは問題を解いて、つまずいたところを戻って確認していきましょう!繰り返しが大切です。
「簿記3級合格の秘訣」4回目の今回は、本試験の第5問についてお話しします。
第5問の特徴を知ろう!
日商簿記検定3級の第5問は、『決算処理』の問題です。出題の形式として、精算表や貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の作成があります。配点は第3問と同じ、いくつかの金額、勘定科目などにあらかじめ振られています。だいたい1箇所3点で10箇所合計30点といった感じです。
第5問については、「精算表は出来るのですが、B/SやP/Lは苦手です…。」という声をよく聞きます。そこで今回は、精算表の作成とB/S・P/Lの作成はあまり違わないというお話をしたいと思います。
決算について確認しよう!
まず先に、決算について整理しておきましょう。期中の取引では、買った、売った、借りた、貸したというように何らかの簿記上の取引があって、勘定科目を使って仕訳していきます。ですから、具体的に何をしたのかをイメージできるため、仕訳もスムーズでした。ところが、“決算”となると、お金も動かないのに処理をしていかなければなりません。それがイメージしづらいのかもしれません。
簿記の目的を覚えていますか?日々の取引を帳簿に記入していき、一定期間ごとに区切って、その時点の財産目録と一定期間の営業の成績表を作成することでした。その財産目録がB/Sであり、成績表がP/Lです。
決算に登場する項目はほぼいつも同じです。ですから、欲張らずに、この処理、例えば貸倒引当金の見積もりや売上原価の算定など、1つずつでもこれはできる!という項目を増やしていくと良いですね。
精算表とB/SとP/Lの関係は?
では、精算表とB/SとP/Lの関係を考えてみましょう。精算表の上の段を見ると、右側2つがP/LとB/Sになっています。つまり精算表は記入方法と転記パターンさえ分かれば、簡単にB/SとP/Lが作成できるワークシートということです。
精算表の作成の流れを追ってみましょう。現金過不足の処理を覚えていますか?試算表の現金が1,100円とします。決算整理事項に、現金の期末の実際有高は1,000円とあったらどのように処理しますか?
1,100円を1,000円に減らしたい訳ですから、修正記入欄、現金の貸方に100円を、雑損の借方に100円を記入します。そのあと、現金は1,000円をB/Sの借方に、雑損の100円はP/Lの借方に転記します。
このように、1つの処理でB/SとP/Lに1つずつ記入されますが、その金額は違ってきます。ですから、それぞれの処理で埋まる項目のペアを覚えてしまえばB/SとP/L作成も怖くはありません。
貸倒引当金と貸倒引当金繰入、消耗品と消耗品費、商品(繰越商品)と売上原価(仕入)などがあります。B/SとP/Lに何を入れるか迷ったときは、B/Sには来年に持っていきたいもの、P/Lには今年の成績としてまとめるものと考えると良いですよ。
今後出題の可能性がある3つの問題
次に、今までは出題されていませんが、ぜひ押さえておきたい問題をご紹介します。損益勘定、資本金勘定、繰越試算表の3つを作成する問題です。
決算日を迎えてからの処理を思い出してください。決算整理をした各勘定科目を締め切りましたね。来年に持っていきたいものは“次期繰越”として、今年の成績としてまとめるものは“損益”に振り替えます。
具体的には、収益と費用の勘定科目は、期末残高を損益勘定に振り替えるのですが、その振り替えられた損益を見ると、当期の全ての収益と費用が集まり、その差額から“当期純利益”が分かるのです。
ここで大切なのは、その当期純利益を、3級で取り扱う個人商店では、資本金に振り替えるということです。すると、資本金勘定で、当期純利益分が追加され、資本金の金額が変わって次期繰越となります。最後に、資産・負債・純資産の次期繰越を1つの表にまとめたものが繰越試算表になります。
この3つの流れを練習すると、決算の曖昧なところがすっきりしますよ。お気づきの方も多いかと思いますが、損益勘定とP/L、繰越試算表とB/Sは似ています。登場する勘定科目は同じです。表記の違い(売上と売上高・仕入と売上原価など)、算出した当期純利益の扱い方、貸倒引当金・減価償却累計額の位置など違いをチェックしておきましょう。
第5問は、決算に苦手意識を持たないことが一番です。期中の取引よりややこしいことは確かですが、簿記の学習を始めてあまり時間も経っていないのに、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)が作れたらかっこいいですよね。
今日間違えても、明日できればいいのです!次回は最終回ですが、第2問・第4問についてお話しします。頑張っていきましょう。
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