連載「知的財産管理技能検定3級とは?」、前々回・前回と、知的財産管理技能検定3級の概要や様々な仕事での有用性について、具体例を挙げながら紹介していきました。
最終回の今回は、知的財産管理技能検定3級の資格は転職・就職で有利に働くのか、履歴書に書けるレベルの資格なのかについて、詳しく紹介します。
知的財産管理技能検定3級で得られる称号は?
知的財産管理技能検定は、知的財産検定という民間試験が、2008年に国家試験へ移行して始まった試験です。知的財産の管理に関する国家資格であり、合格すると各等級に合わせた称号を得られます。
知的財産管理技能検定3級では、以下の称号を得ることができます。
称号名:
三級知的財産管理技能士(管理業務)
英語表記:
3rd grade Certified Specialist of Intellectual Property Management(administration)
ちなみに、知的財産管理技能検定1級の場合には、試験自体が、特許専門業務、コンテンツ専門業務、ブランド専門業務の3種類に分かれているので、称号もそれぞれに合わせたものになります。
2級、3級の場合には、級別の共通試験ですので、称号はそれぞれ1種類です。
国家資格なので、もちろん名刺にこれらの称号を記載することもできますし、転職・就職時の履歴書に記載することもできます。
知的財産管理技能検定3級は転職・就職に有利?
知的財産管理技能検定は、知的財産に関する専門知識を証明する国家資格です。そのため、転職・就職時に、特許事務所や企業の知的財産部門などといった知的財産関係の仕事を志望する場合は、履歴書に記載すると有利に働きます。
特に知的財産に関する高い専門性を求める求人では、募集対象をこの資格または弁理士の有資格者で、実務経験を有する者のみとしている場合もあります。
また、知的財産関係の仕事以外を志望する場合であっても、知的財産管理技能検定3級は役立ちます。
試験実施団体のサイトで、知的財産管理技能検定3級は以下のように定義されています。
(略)知的財産管理に関する業務上の課題を発見し、大企業においては知的財産管理の技能及び知識を有する上司の指導の下で、又、中小・ベンチャー企業においては外部専門家等と連携して、その課題を解決することができる技能及びこれに関する初歩的な知識の程度(略)
引用元:知的財産教育協会「国家試験 知的財産管理技能検定 試験の概要 試験の種類とレベル」
ここからも読み取れるように、知的財産に関する基礎知識は、近年、文系・理系を問わず、様々な業種や職種で役立ち、また求められる傾向にあります。
そのため、直接知的財産に携わる仕事以外でも、転職・就職時の履歴書に書くと一定の評価が得られるでしょう。
例えば、研究職・技術職や総務部の広報担当、クリエイターや販売職など、幅広い職種で知的財産の知識を活かせます。詳しくは、前回の記事をご参照ください。
知的財産管理技能検定3級を持っていると、転職・就職活動時に、知的財産の仕事に知識や関心があることをわかりやすく示せます。
3級は初級者レベルで、初学者でも一発合格が十分可能です。知的財産の仕事に興味があれば、ぜひ取得を目指してみてくださいね。
就職活動で履歴書に書くメリットは
就職活動をする学生の場合には、職務経験がないため、履歴書を通じて与える第一印象がとても重要です。
また、履歴書の中で、資格欄は、学歴と並んで客観的な能力を証明する指標となりますので、印象を大きく左右します。
知的財産管理技能検定3級は、知的財産についての専門知識を証明する資格です。
履歴書の中で資格をよりアピール力の高いものに見せるためには、「そもそも知的財産に関する資格を取った理由」と、その他の履歴書の記載項目や志望動機との、関連性が見えることが重要になってきます。
例えば、出版社への就職を希望する文学部の学生が、知的財産管理技能検定3級を持っている場合を考えてみましょう。
志望動機に「著作者を守るため、コンテンツ保護に携わりたい」と書いていて、知的財産に関する資格を持っていると、仕事への本気度が伝わります。
また、自己PRで「自ら進んで学ぶ力」をアピールしていると、文学部の学生が法律の資格を取ったこと自体が、独力で学ぶ力の証明になるでしょう。
転職活動で履歴書に書くメリットは?
転職にあたって最大のアピールポイントとなるのは、それまでの職務で培われた実務経験と知識ではないでしょうか。
企業側からすると、どれほど優れた資格を持っていても、実務経験が乏しければ採用は難しくなります。
逆に、どれほど実務経験が豊富でも、自社にも役立つ知識があるかは不透明であることから、汎用的な知識が証明できる資格がある方が採用しやすいでしょう。
知的財産管理技能検定3級を活かして転職する場合にも、知的財産に関する実務経験は必須のものとなります。
ただし、知的財産に関する実務経験では、「どの知的財産に関する実務なのか」という点に注意が必要です。
例えば、筆者は大学の知的財産部で勤務していたのですが、大学の特性もあって、業務で扱ったことがあるのは、大半が「特許」と「実用新案」に関する案件でした。
そのため、「商標」などのブランド保護や、「著作権」などのコンテンツ保護については、知識はあっても実務経験があるとはいえません。
この実務経験をベースに転職するなら、特許に関する仕事を選ぶことになるでしょう。
ちなみに、知的財産管理技能検定に合格すると、「知的財産管理技能士会」という知的財産管理技能士の有資格者団体に入会可能です。そこでは、知的財産管理技能士を対象とした求人情報を会員に提供しています。
非会員でも閲覧できる求人があるので、仕事の種類や、求められる知識や実務経験のレベルについて、参考にしてみてはいかがでしょうか。
知的財産管理技能検定3級は国家資格であり、合格すると称号も与えられます。とりわけ知的財産関連の仕事を志望する場合、履歴書に記載すると、転職・就職を有利に進められますので、ぜひ取得したい資格といえるでしょう。
それ以外の仕事を志望する方にも、様々な場で重要性が増している知的財産に関して、コンパクトに基礎知識を学べる資格となっています。
知的財産の資格の中で、比較的難易度も低く、取得しやすい資格ですので、ぜひ学習してみてくださいね。
参考URL:
知的財産教育協会「知的財産管理技能士に関する質問」
http://www.kentei-info-ip-edu.org/faq/faq_ipg.html#1
知的財産管理技能士会HP「外部求人情報」
http://www.ip-ginoushikai.org/jobs2
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