いまやどの業界においても避けては通れない、ITに関する知識。
けれどもIT初心者が「ITの知識を身に付けよう!」と思っても、範囲が広すぎてどこから勉強したらよいかわかりませんよね。
そんなときには、まずITパスポートの資格取得を目指すとよいでしょう。
ITパスポートは、これからITの勉強を始める初心者を対象としており、ITの総合的な基礎知識を身に付けることができる国家試験です。
一方で、「ITパスボートを取得しても意味ない」という話を耳にしたことはありませんか。ITの知識が身に付く国家試験なのに、なぜそんなことを言われるのでしょうか。
これから5回に渡り、現役セキュリティエンジニアである筆者が、ITパスポートについて詳しくご紹介します。初回となる今回は、ITパスポートを取っても「意味ない」と言われる理由と取得メリット、試験概要もあわせてお伝えします。
目次
合格率は約50%!ITパスポートは受けやすく人気の資格
「ITについては本当に初心者なんだけど、ITパスポート試験にちゃんと合格できるかな」と不安に思う方もいるかもしれません。
でもご安心ください。ITパスポートがIT初心者におすすめである理由の1つに、試験の難易度があります。
下記はITパスポート試験の過去5年間の受験者数・合格者数・合格率の推移の図ですが、いずれも合格率は毎回ほぼ50%と高い数値となっています。
ITパスポート試験は2人に1人は合格できる、難易度がそれほど高くない国家資格なのです。
ITパスポートが「意味ない」と言われる理由
ITパスポートが「意味ない」と言われる理由はさまざまです。IT業界のスキルやポジションによって必要とされる知識や資格が異なるため、一概に意味がないとは言えません。
では、どのような理由で「意味ない」とされるのでしょうか。その理由と必要性について解説します。
① 特別な価値を見出されにくいから
ITパスポートは独占業務がないため、特定の職業に就くための必須資格ではありません。これにより、取得しても他の資格と差別化が難しいとされています。
また、試験の合格率が50%前後と高く受験ハードルが低いため、誰でも取得できる印象を与えます。このため、IT業界では「持っていて当たり前」とされ、特別な価値を見出されにくいのです。
② 高度なスキルを証明するものではないから
ITパスポートは基礎的な知識を問う試験であり、実務に直結する高度なスキルを証明するものではないため、「役に立たない」と感じる人も多いかもしれません。
特に、エンジニアやプログラマーなど専門職にはより高度な資格が求められるため、ITパスポートだけでは不十分とされることがあります。
ITパスポートを取得するメリット
資格の受験にはお金がかかります。どうせお金をかけるならば、きちんと役に立つ資格にお金を使いたいですよね。
では、本当にITパスポートは取得しても意味ないのでしょうか?
ご安心ください。ITパスポートには、取得に値する多くのメリットがあります。
メリット① ITの基礎知識があることを証明できる
どんな業界でもある程度のIT知識は必須である今の時代、就職先に自分のITスキルを証明するには資格の取得が一番です。
ITパスポートを履歴書や職務経歴書等に記載することで、自分がITに関する知識をひととおり有していることを会社にアピールできます。
メリット② ITの学習を進めるうえで最初のステップとなる
ITパスポートの学習内容は、IT初心者にとって非常にわかりやすいものになっています。そして、IT用語だけではなく、企業の経営戦略やマネジメントに関する知識など、幅広い分野を勉強することができます。
ここから、より深く勉強したいと思える分野が見つかるかもしれません。
メリット③ 業務におけるITコンプライアンスやセキュリティ意識が向上する
関係ないメールは開かず即削除する、業務に関係ないサイトは見ない、見慣れないソフトはダウンロードしないといった、セキュリティ上当然の行動がとれるようになり、ITコンプライアンス意識を高めることができるようになります。
メリット④ ITコーディネータ試験が一部免除になる
ITパスポート試験で750点以上取得すると、ITコーディネータ試験の一部が免除され、専門スキル特別認定試験を受験することができるというメリットがあります。
ちなみにITコーディネータとは、ITと経営の知識を用いて、企業の経営IT化をサポートすることができる資格のことです。
【結論】ITパスポートを取得する意味はある!
以上のとおり、ITパスポートを取得することで様々なメリットがあることがおわかりいただけたでしょう。このように、ITパスポートを取得することには「意味がある」と言えます。
次に、ITパスポートの取得をおすすめする人について解説していきます。
ITパスポート受験がおすすめな人
ITパスポートはITに関する基礎知識を証明する国家資格であり、特に以下のような人々におすすめです。
① 非IT系業界からIT業界への転職を目指す人
ITパスポートはIT業界での基礎的な知識を身に付けるための入門資格として位置づけられており、就職活動時に有利になる可能性があります。そのため、新卒就職や非IT系業界(接客業や事務職)からの転職でIT業界を目指す人にとってはおすすめの資格です。
② 非IT系業界でIT関連業務を行う人
ITパスポートは、ITを活用する全ての社会人に必要な知識を提供します。特に、非IT系の業務に従事している方がITリテラシーを高めるために役立つでしょう。
③ キャリアアップを考えている人
ITパスポートを取得することで、他の上位資格(例えば基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント)への足がかりとなります。そのため、より上位の資格を今後取得したい人にとってITパスポートはおすすめの資格です。
ITパスポートの概要を知ろう!受験日・受験料・出題範囲について
ITパスポートは、情報処理推進機構(IPA)という独立行政法人が提供している国家資格です。
IPAでは、情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験を運営していますが、ITパスポートは情報処理技術者試験の区分の中の1つです。
それでは、ITパスポートの受験日、受験料、出題範囲について見ていきましょう。
受験日
全国の試験会場で、CBT方式(パソコンで受験する方式)で随時実施していますが、実施日は受験する場所によって異なります。まず自分が通いやすい受験場所を選び、その場所で行われる受験日を確認しましょう。
参考:試験開催状況一覧【ITパスポート試験】試験開催状況一覧
受験料
受験料は税込7,500円です。支払方法は、クレジットカード、コンビニ支払、バウチャーが選べます。
バウチャーとは団体受験申込みをする際の購入方法で、企業研修担当者などに活用されています。
出題範囲
問題は100問あり、分野はストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3つがあります。
ストラテジ系:
経営全般(企業と法務、経営戦略、システム戦略等)
マネジメント系:
IT管理(開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント等)
テクノロジ系:
IT技術(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素等)
ストラテジ系では、企業の経営戦略やシステム企画に加え、著作権や個人情報保護法といったビジネスに関連する法的知識を問われます。
マネジメント系では、システム開発や運用の管理方法に関する知識が問われます。
そして、テクノロジ系では、コンピュータやネットワークの仕組みに関する基礎知識が出題され、計算問題を解くための数学力が必要です。
ITパスポートでIT知識を体系的に身に付けよう!
ITパスポートを取得しても「意味ない」と言われる理由について解説しましたが、実際には様々なメリットがあります。特に、「ITの知識を身に付けたいけれど、どこから勉強したらよいかわからない!」といった人におすすめの国家資格です。
出題範囲を見ると難しそうな試験に見えますが、テキストも問題集も充実しており、非常に勉強しやすいつくりになっています。テキストを読むのが苦手な方は、オンライン講座などを試してみるといいですね。
次回は、ITパスポート試験がIT初心者でも受かりやすい理由と、実際の試験の受け方についてもう少し深掘りしたいと思います。
参考URL:
IPA情報処理推進機構:https://www.ipa.go.jp/
ITコーディネータ協会:https://www.itc.or.jp/
無料でオンライン資格講座を体験しよう!
オンライン学習サービス「オンスク.JP」では、60以上の資格講座が受け放題の「ウケホーダイ」プランをご提供中!
簡単な会員登録で、講義動画・問題演習機能を無料体験できます。ぜひお試しください!
関連する記事が他にもあります
ITの基礎が身に付く!ITパスポートとは
- ITパスポート試験の簡単なところ、油断してはいけない難しいところとは?
- 働きながらITパスポートに合格!社会人必要な勉強時間とは?
- IT系資格におけるITパスポートの位置づけと、おすすめの資格を取る順番とは?
- ITパスポート試験が初心者におすすめの7つ理由!受験準備の4ステップも解説
- ITパスポートは取っても「意味ない」?!取得メリットや取った方がよい人を解説!