連載「ITの基礎が身に付く!ITパスポートとは」、前回は、ITパスポートは初心者でも合格しやすい資格であるとお伝えしました。
ただ、IT系の資格は世の中に数多くある中、IT初心者はどんな順番でITパスポートを取ればいいのか、気になるところですよね。
そこで第3回の今回は、IT系資格と比べてITパスポートはどのような位置づけなのか、その中でITパスポートを取る順番はどうなのかという疑問について見ていきましょう。
IT系の類似資格の中でITパスポートがおすすめな理由
IT系試験には実に様々な種類がありますが、IT初心者にとってはITパスポートがおすすめです。
ここからは、ITパスポートがおすすめな理由を紹介していきます。
おすすめ理由① IT分野の総合的な知識が身に付く
「ITパスポート」は特定のスキルを認定するための試験でなく、IT分野の総合的な知識を広範囲に問うための試験です。
出題内容は、会社経営に関する基本的な考え方や、会社の利益に貢献するIT活用方法、セキュリティに関する問題までカバーされています。
おすすめ理由② ITに関する新しい知識が身に付く
ITパスポートがもっとも優れているのは、問題が現代の技術にあわせて毎回進歩している点です。
IT技術は非常に早い速度で進んでいます。身に付けた知識が古いままではあまり意味がありませんし、実践に活かすこともできません。
ITパスポートなら、常に新しい知識を身に付けられるでしょう。
おすすめ理由③ 国家試験である
ITパスポートのように総合的なIT系知識が問われる資格試験はあります。
例えば「P検 - ICTプロフィシエンシー検定試験」「IC3」「J検(情報検定)」などです。どれもIT初心者にとって受験しやすい内容ではあります。
しかしITパスポートに比べてやや知名度に劣るうえ、国家試験であるのはITパスポートだけです。
また、過去の実績や、わからない問題における解決情報の多さという点でも、圧倒的にITパスポートが優位です。
このようにIT初心者ならば、IT系の類似資格よりも、情報が多く、かつ国家試験でもあるITパスポートを選んだほうがいいでしょう。
IT系の類似資格とITパスポートの違い
ITパスポートの類似資格には大きく分けて、以下の3つがあります。
- システムエンジニアの技能を問う試験
- プログラミングに特化した資格
- ソフトの取り扱いを問う資格
これらの資格とITパスポートとの違いはなんでしょうか?それぞれの資格の特徴をみながら、比較していきましょう。
IT系の資格① システムエンジニアの技能を問う試験
システムエンジニアの技能を問う資格には、「シスコ技術者認定」などがあります。
シスコ技術者認定は、特定のネットワーク機器メーカーであるシスコ製品に特化した専門知識を問う資格です。一方、ITパスポートはIT全般の基礎知識を広く浅く問う資格です。
ITパスポートは、IT業界の全体像を把握できるため、キャリアの選択肢が広がります。また、シスコ製品以外のネットワーク機器やシステムについても理解を深めることができるでしょう。
ITパスポートは、特定分野に依存せずIT全体の知識を身に付けられるため、IT業界の基礎を広く学びたい初心者に向いており、キャリアの初期段階で幅広い選択肢を持つことができます。
IT系の資格② プログラミングに特化した資格
プログラミングに特化した資格には、「オラクル認定Java資格」「C言語プログラミング能力検定」「Ruby技術者認定試験制度」などがあります。
プログラミング系資格は、特定のプログラミング言語のスキルを深く掘り下げるものが一般的です。一方、ITパスポートは、プログラミングの基礎的な知識に加え、システム開発の全体像やITの社会的な影響など、幅広い範囲をカバーする資格です。
ITパスポートは、プログラミングスキルだけでなく、システム開発における他の役割やITに関する経営的な知識も身に付けることができます。そのため、プログラマーだけでなく、システムエンジニアやITコンサルタントなど、様々なIT職種へのキャリアパスが開け、 ITに関わる仕事を多方面で検討する初心者には最適です。
IT系の資格③ ソフトの取り扱いを問う資格
ソフトの取り扱いを問う資格には、「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」「OSS-DB技術者認定資格」などがあります。これらの資格は、特定のソフトウェアの操作スキルを証明するものです。
一方で、ITパスポートは、ソフトウェアの操作だけでなく、ソフトウェアがどのように作られ、どのように活用されているかといった背景知識も問う資格です。そして、単なる操作スキルの習得にとどまらず、ITシステム全体の理解を深めることができるため、新しいソフトウェアやツールを効率的に学べるでしょう。
さらに、ソフトウェアの選定や導入といったビジネスに直接関わる領域にも貢献できる基礎が身に付きます。
同じ情報処理技術者試験におけるITパスポートの位置づけ
出典:情報処理推進機構(IPA) 試験の概要 現行の試験制度
ITパスポートは「情報処理推進機構(IPA)」という団体が提供している国家資格です。
ITパスポートは「情報処理技術者試験」の1つなのですが、これらの国家資格には区分・レベルがあります(上記図参照)。
ITパスポートは “ITに少しでも触れることのある社会人向けの、IT全般の共通知識を問うための試験”という位置づけです。
ITパスポートの上に「情報セキュリティマネジメント」があります。これは“ITの安全な利活用を推進するための基本的知識・技能を問うための試験”です。対象は、管理職や情報システム部・経営企画部の所属者などが挙げられます。
中央のブロックの下には「基本情報技術者試験」があります。これは、情報処理IT分野において基本的な知識と技術を問うための資格です。ITパスポート・情報セキュリティマネジメントよりも、エンジニア寄りの知識を習得する試験という位置づけとなります。
ちなみに上記の図に記載されている資格は、右に行けば行くほど難易度が高く、上に行けば行くほどレベルが高くなっています。
ITパスポートは、IT入門の位置づけであることがわかりますね。
IT系資格を取る順番のおすすめは?
ITパスポートをきっかけにステップアップするには、他の資格を取る順番も重要です。ここからは、ITパスポートの次に取るべき資格について紹介します。
① 情報セキュリティマネジメント
サイバー犯罪や情報漏洩の問題が増える中、「情報セキュリティマネジメント」という資格が最近注目されています。
取る順番をITパスポートの次にすることで、PCやネットワークの安全な使い方、セキュリティのリスク管理能力を強化できます。企業の管理職やセキュリティ担当者にとっては必須の知識です。
また、ITパスポートと比較してもそれほど難易度が高くなく、組織全体のITセキュリティ意識向上にも役立ちます。
② 基本情報技術者試験
ITパスポートを取得し、 ITの基礎を学んだら、次にステップアップとして「基本情報技術者試験」に挑戦するのもよいでしょう。
エンジニア志向の人にとって、より専門的なIT知識や技術が求められる資格であり、システム開発やプログラミング、ネットワークの知識が深まります。
システム開発の初歩的な部分を理解するために重要な資格で、ITパスポートで学んだ知識が土台となり、試験対策を効率的に進められるため、比較的短期間での合格を目指せるでしょう。
この試験はITエンジニア向けの資格ですが、デジタル化が進む現代では、業界を問わず幅広い職種で役立つスキルを身に付けられます。特に、システム開発やネットワーク管理、IT関連業務に携わる人はもちろん、営業職やマーケティング、製造業などでIT知識を強化したい人にも価値のある資格です。
資格取得のスケジュール感
ITパスポートの学習は、1〜3ヵ月ほどの準備期間が一般的で、仕事や学業と並行して無理なく取り組むことができます。
「情報セキュリティマネジメント」も同様に、数ヵ月の学習で十分合格が目指せるため、約半年以内に2つの資格を取得することが可能です。
その後、「基本情報技術者試験」に挑戦する際には、半年程度の学習期間を見込むとよいでしょう。ITパスポート・情報セキュリティマネジメントの合格から間をおかずに「基本情報技術者試験」に挑戦する場合は、通常は半年程度の学習期間を見込むところ、数ヵ月でも大丈夫です。この試験では、プログラミングやネットワークに関するより専門的な知識が問われますが、ITパスポート等で学んだ基礎知識が大いに役立つため、短期間の学習で順調にステップアップすることができます。
このように、各資格の内容や学習プランを加味して、取る順番を考えると効率的です。
連載「ITの基礎が身に付く!ITパスポートとは」、今回は、IT系資格の中でのITパスポートはどのような位置づけなのか、その中でITパスポートを取る順番はどうなのかという疑問について解説しました。
次回は、ITパスポート受験に必要な勉強時間や期間について解説します!
参考URL:
IPA情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/index.html)
ITパスポート(https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html)
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