こんにちは。オンスク.JPのきもの文化検定5・4級講座を担当いたしました、呉服屋若女将の田巻です。
「悩みを解消!呉服屋若女将のきものプチ講座」第3回となる今回は、きものの小物の選び方を取り上げたいと思います。小物の中でも、きもの姿全体のコーディネートを左右すると言っても過言ではない “帯揚げと帯締め”の色の選び方についてお伝えしていきますね。
帯揚げと帯締めの役割
まず、帯揚げと帯締めと聞いて、これからきものを着てみたいと思っている方には、どの部分かわかりづらいかと思いますので簡単に説明しますと帯の上部にするものが帯揚げ、帯の中央部にするものが帯締めです。
帯揚げは、帯で背中側にお太鼓などを作る際、帯の形を整えるための帯枕を隠すために使われるものです。帯締めは、帯自体を締めて固定させるために使います。一見飾りのようにも見えますが、実は目的があって使われています。
さて、この帯揚げと帯締めですが、きものと帯に合う組みあわせが難しい、と思われる方も多いようです。これは、色あわせが難しいと言われることがほとんどです。きものの着付けなどを勉強する際も、色の選び方まで学ぶ機会は少ないのではないかと思います。
帯揚げと帯締めの色を選ぶポイント
それでは、色選びが簡単にできる2つのポイントをお伝えしていきます。
ポイント①きものに含まれている色から選ぶ
1つ目は、きものに含まれている色をよく見て、そこに使われている色から選ぶことです。
例えば、きものは桃花色で柄は裾にかけて淡い緑(例えば黄浅緑)や黄色が含まれているもの、帯は淡い金色の組みあわせの場合を想定してみましょう。
この場合はきもの全体が“淡め”の色合いですね。すると、全体に柔らかく上品な雰囲気になります。この中から1色選ぶとまとまりが良くなります。
この方法は、洋服のコーディネートでも同様なので想像しやすいかと思いますが、例を挙げてみますね。今回は緑を選ぶことにしてみます。
ポイント②変化をつけるか、馴染ませるかを考える
2つ目のポイントは、それを“どのような”緑にするかということです。具体的には、“変化をつける”か“馴染ませる”かを選びます。
まず“変化をつける”場合は、きものの色に使われている色よりも、少し濃い色を選びます。例えば、千歳緑を選ぶと、少し引き締まった印象になります。
“変化をつける”場合は、胸元に色のアクセントがあることで視線が上向きになるので、バランスが良く全身にメリハリも出てすっきりとした印象になります。
逆に“馴染ませる”場合は、きものの明るさや鮮やかさに近い色を選びます。例えば、黄浅緑くらいの明るい緑を選ぶと、統一感が出ます。
“馴染ませる”場合は、全体に色のまとまりがあり、柔らかい統一感が出ますので、朗らかで清楚な印象になります。
このようなポイントで色を選ぶことは、どちらの印象にしたいかということにもつながります。ご友人のご結婚式に参列するので“変化をつける”、目上の方とお食事に行くので“馴染ませる”など、状況にあわせた色選びも可能になりますね。
さて、今回は小物の色選びの方法でしたが、お読みいただいてイメージできましたでしょうか。
きもの、帯には様々な色の組みあわせが存在しますが、どのような場合でも、コーディネートに“変化をつける”か“馴染ませる”か、というポイントを頭に入れていただくだけで、小物の色の選び方はぐんと簡単になります。
ちなみにこれは、カラーコーディネートをする際の基本的な考え方ですので、きもの以外の様々なものの色選びにも役に立つ知識です。ぜひ、取り入れてみてくださいね!
次回はきものでお出かけする際のポイントをお伝えします。お楽しみに。
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