こんにちは。オンスク.JPのきもの文化検定5・4級講座を担当いたしました、呉服屋若女将の田巻です。
今回から「悩みを解消!呉服屋若女将のきものプチ講座」と題して、6回に渡って、お伝えしていきたいと思います。このコラムは連載タイトルの通り、呉服屋に嫁いできものを学び始めた私が、様々な経験を通して身に付けてきた知識などをコラム形式でお伝えしていきます。
これからきものを着てみたいと思っている方や、きものについて知りたいという方の役に立てれば嬉しいです。
きものを楽に着るには
さて、早速ですが、きものを着るとなると、何から始めて良いかわからず情報収集を始める方が多いと思います。インターネットで検索してみたものの様々な情報があり、何が正しいかを判断するのが難しかったりしますよね。
きものを着るというのは、私の体験から申し上げると、間違えても良いからまず始めてみる、というのが一番の近道です。
そのための一番簡単な方法は、浴衣を着てみることです。最近、日本ブームで海外の方にも浴衣はとても人気が高く、日本人にとってもアイデンティティでもある和装の一環として、浴衣を着ることが浸透してきているように思います。
浴衣は元々、夏のお風呂上がりに着られたことから始まっていますので、実際は今のようにかしこまって着付けをしなくても良かったものです。
ただ、今では洋服が主流の時代。雑誌などで美しく着こなしている姿を見ると、こうでなければならないのでは?と躊躇してしまいますよね。
浴衣を着るのはすごく簡単!手順を確認
では、実際に浴衣を着るのに最低限必要な物は何でしょうか。「腰紐」(なければ身近にある紐で代用可能)が1本と、「帯」(なければ腰に巻くやや太めの布)があれば着ることができます。すごく簡単ですね。腰紐と帯で着るにはどうすれば良いか、イラストでご説明します。
まず、重要なことは、必ず自分の「左側を上にする」こと。ちなみに右側を上にすると、死装束になってしまうので、最低限気をつけてくださいね。
次に、裾がくるぶしくらいになる長さまで持ち上げて、落ちてこないようにウエストで腰紐を巻いてキュッと縛ります。男性は長さの調整はないのですが、女性はもともと長く作られていて、必ずウエストあたりで調整(おはしょりと言います)するようになっているので、女性の皆様はここだけ頑張りましょう。
女性用は上半身がもたついてしまうので、脇の下の穴※から手を入れて、もたつきをトントンと下へ手で移動させて、隠してしまいます。
※身八つ口(みやつぐち)といいます。
ここまでくれば、あとは男女共に紐の上に帯をすれば完成です。
帯は、最近は作り帯といって、形が出来上がっていて紐で結べば完成するものや、柔らかい帯で簡単にリボン結びにできるものなどがあります。デザインも豊富にありますので気軽に取り入れられますよ。
まずはきものを着る楽しさを感じてみる
初回の今回はきものを着てみたい方に、簡単な着付け方法として浴衣を取り上げてみましたがいかがでしたか。この夏は、ぜひ好きな柄を選んで出かけてみよう、と思っていただけたらとても嬉しいです。
今は洋服が日常着になって、きものを毎日着ている方はほとんどいません。きものの着付けについて細かく言えばたくさんルールはありますが、そのルールによって着るのが難しくなったり、面倒に感じたりする方が多いのも事実です。
だからこそ、まずはルールに縛られて着るものではなく、着る楽しさを感じるということを大切にしていただきたいと思います。
実は、洋服よりもきものを着ている方が褒められることが多いという話もよく聞きますよ。皆様の生活の中にきものが少しでも身近な存在になれば嬉しいです。
次回は、きものの柄ってどうやって選んだらいいの?という悩みについてお話しします。それでは、また次回をお楽しみに!
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