連載「秘書が教える組織人の心得」、前回は社会人の基本「ホウレンソウ」のポイントについてお話ししました。
突然ですが、皆さんは「記憶力」に自信がありますか?
自慢するわけではありませんが、筆者である私は、小さいときから人の名前や電話番号を覚えるのが得意でした。
ですから新卒で役員秘書に配属されたときも、自分の強みが役に立つのではと密かに思っていたのですが…
「記憶力」だけではコミュニケーション力はアップしないということが実際に業務をするうちにわかり、「記録力」をおろそかにしていた自分の浅はかさを痛感することになったのです。
さて、皆さんは「記録力」と聞いて、具体的にどんなものをイメージしますか?
「記録力」は簡単に磨ける強力な武器
最初にお話しした「記録力」ですが、これは「記録しておく能力」のことです。
「記録力」という言葉が正しいのかはわかりませんが、私は先輩秘書からこの「記録力」をアップさせるためのノートの書き方を学びました。
秘書業務に役立つ記録とは、「上司が必要としている情報や役に立つと思われる情報」をテーマ別にまとめたものです。
例えば、よくお見えになるお客様が大のコーヒー好きならコーヒーの好みを書いたり、会食に使用したお店の感想を書いたりしました。
そのほか気になったことや役に立ちそうなことも書いておいたのですが、読み返してみると、自分では抜群だと思っていた記憶力は意外とあいまいだと気付き、浅はかだったなと痛感したのを今でもよく覚えています。
同時に「記録力」を身に付けておくと、自然と上司やお客様とコミュニケーションが上手にとれるようになり、結果として情報も集まるようになりました。
秘書検定2級3級でも、秘書に求められるコミュニケーション力について学びますが、さらに向上させるには「記録力」をアップさせるのが効率的な方法だと、私は思っています。
秘書になりたい!秘書の求人状況は?
秘書検定2級や3級で学ぼうと考えている人のなかには、将来秘書として働きたいと考えている人も多いかもしれませんね。
どうやったら秘書になれるのかと求人を探しても秘書は求人自体が多いわけではありませんし、一般的には新卒の学生が秘書として採用されるケースもほとんどありません。
私は新卒で秘書室へ配属されましたが、そこには10名くらいの先輩秘書がいましたので、このようなチームがある企業なら経験が浅くても秘書になれる可能性はあると思います。
役員一人に対して一人の秘書がつくような求人では、ビジネスマナーだけでなく事務処理や接遇に対する能力が実務レベルで求められます。
秘書検定2級や3級を習得しても、実際に秘書業務を行ううえでは事務処理能力や接遇力の他、会社の歴史や業績・取引先等の理解も必要です。
このような理由で、秘書求人では経験豊富なベテラン秘書が選ばれることが多いです。
秘書になるにはどうすればいいのか?
せっかく秘書検定2級や3級を取得しても、秘書にはなれないのかとがっかりした人もいるかもしれませんね。
確かに、役員秘書のような求人にいきなり応募して採用されるかといえば、非常に厳しいと言わざるを得ません。
当たり前のことですが、新入社員には実務経験がないので、社会人になってから経験を積んでいくしかありませんよね。
一般的には、受付や総務・人事などで仕事をしてから、人事異動で秘書室へ配属されるケースが多いようです。
将来的に秘書業務に就きたいと考えている学生の人は、秘書単独の求人を探すだけでなく、受付や総務・人事関係の求人もチェックするなど工夫してみるといいと思います。
秘書検定2級や3級は履歴書に記載できる立派な資格なので、採用面接時の自己アピールの材料にするのもおすすめですよ。
まとめ
秘書求人は、業務内容によっては新社会人の採用見込みは厳しいというのが現状です。しかし、実務経験は会社に入ってから積み上げていくしかありません。
秘書になりたいという目標があるなら、受付や総務・人事などの仕事を通して社会人としての経験を積んでおくのが、遠回りのように見えて実は近道だと思います。
さて次回は「慶弔マナーの上手な覚え方」についてお話しします。
秘書だけでなく、社会人なら知っておくべきマナーが簡単に覚えられるので、ぜひ読んでみてくださいね。
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