秘書に求められる要素と聞いて、スケジュール管理能力やビジネスマナーを思い浮かべる人は多いと思います。
私も新入社員で秘書に配属されるまで、そのようなイメージを持っていました。
しかし実際に役員秘書を2年間経験して学んだのは、秘書にもっとも必要なのは『臨機応変な対応』だということ。
多忙な上司に「これはどうしますか?」と何もかも確認するのは難しいことも多いため、秘書はどう対応するのがベストかを常に考えて行動しなくてはならないんです。
例えば初めて秘書になったとして、上司に「お昼は温かい蕎麦を頼んでおいて」と言われたとしましょう。
出前のお蕎麦が届いたら、秘書のあなたはどのようにするのがベターだと思いますか?
秘書は出前の蕎麦にも気を配る?
さて、先程質問した「出前のお蕎麦が届いたら」についてですが、「麺とつゆを別々の器にいれておく」というのが、私が考えるベストな対応です。
ランチタイム前に会議や来客があれば時間通りに終わらないことも多いうえ、出前も希望の時間通りに届くとも限らないので、麺類の場合はどうしても「伸びたり冷めたり」という問題がでてきます。
そのような状況で少しでもおいしく食事をしてもらうため、麺とつゆを別の器にいれておき、頃合いを見計らってそれぞれを温めてどんぶりに戻して上司へ出していました。
こうすれば、そのまま置いておくよりはずっとおいしく食べてもらえますし、蕎麦がつゆを全部吸ってしまって出前を取り直す、というようなこともありませんよね。
もちろんどんな対応がベストなのかはケースバイケースですが、秘書として働くためには秘書検定で学んだ知識やマナーのほか、このような些細な工夫や気配りも時には必要だと考えておくといいですよ。
秘書検定とはどんな資格?
秘書検定とはどんな資格なのか、受験するべきか悩んでいる人もいると思います。
秘書検定とは正式名称を「秘書技能検定」といい、国家資格ではなく公的資格にあたります。
人材育成が目的とされ、一般知識やビジネス用語のほか、マナーや判断力・コミュニケーションの取り方などが問われます。
秘書検定では、秘書に必要とされる知識や技能を大きく5つに分けて学びます。
まずは初めて秘書検定の勉強をする人のために、5つの要素を簡単にご説明しておきますね。
必要とされる資質
変則的な来客の取り次ぎや、上司がなにを望んでいるかを察して対応する気配りなど
職務知識
上司が留守中の対応や仕事のサポートなど、秘書特有の仕事の仕方についての知識
一般知識
上司のサポートや来客対応で最低限知っておくべき社会常識や経済用語
マナー・接遇
ビジネスマナーや敬語の使い方のほか、来客時のお茶の出し方や慶弔についての知識
技能
ビジネス文書の作成方法やファイリング方法、会議やオフィスの環境整備についての常識的な知識
秘書検定では以上の5つの要素について問われます。初めて受験する人は3級から学習してみると効率がいいみたいですね。
秘書検定を学ぶメリットとは
秘書検定を持っていれば秘書になれるのかといえばそうではありませんし、逆に秘書検定がなくても秘書になることはできます。
それでは秘書検定は不要なのかと質問されたら、私は迷わず「取っておいて損はない」と答えます。
秘書検定とは、秘書としての心構えやビジネスマナー・来客者の対応方法などを幅広く学ぶものです。
秘書以外の仕事に就いたとしても、役に立つことが多いです。例えば、上座の順番やエレベーターでのマナーなどを知っていれば、初めて1人で対応するような場面でも慌てずに済みます。
また、このような知識は日常生活でも役に立ちますし、きちんとしたマナーが身に付いた人は好印象を持たれます。
ビジネス文書やファイリング方法については会社ごとにフォーマットがある場合もありますが、お茶の出し方や慶弔に関する知識は身に付けておくと、業務だけでなく日常生活でも役に立つ場面が多いです。
私も取得しておいてよかったと思うことが多く、役に立つ場面が何度もありました。
まとめ
秘書はカッコいい職業だと思われがちですが、実際は地味な仕事や雑用もかなり多いです。
どの業務のシチュエーションでも求められるのは、判断力と気配り・ビジネスマナーです。
秘書検定とは、そのような判断力やマナーを身に付ける基礎になるので、女性だけでなく男性も学んでみるといいと思いますよ。
次回は「初めてのお茶出しで失敗しないコツ」についてお話ししますので、人前であがりやすいという人はぜひ読んでくださいね!
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