こんにちは。オンスク.JPのきもの文化検定5・4級講座を担当いたしました、呉服屋若女将の田巻です。
「悩みを解消!呉服屋若女将のきものプチ講座」第2回の今回は、きものを選ぶ際に避けられない“柄”の問題についてお伝えしていきたいと思います。
きものの柄にあった着用時期
皆さんは、きものの柄に、着て良い時期と避けた方が良い時期があるのをご存知ですか?きものは洋服とは違い、染め、織り、手描きなどの技術が駆使されて、様々な柄が描かれています。
早速、柄の種類にはどのようなものがあるかをみてみましょう。
まずは、鶴や松竹梅などに代表される、縁起が良く不老長寿を願う柄である吉祥文様。次に、七宝や亀甲など平安時代から用いられていて、格調ある伝統柄である有職文様。そして、梅や桜、トンボや松などの四季折々で変化する花や植物や生き物を写実的に描いた柄。孔雀やオシドリなど縁起の良いとされる生き物柄、扇や源氏車といった古典的な柄、辻が花などの独創的な柄などがあります。
さて、ここまでお読みいただき、種類も多く初めて聞く名前もあり難しく感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、柄と名前を覚えるのは、初めての場合すぐにはなかなか覚えられませんし、それがきものを着るハードルを上げてしまう要因にもなりかねません。
今回は、このようなたくさん種類がある柄の中から、失敗しないで柄を選ぶポイントをお伝えしていきたいと思います。
失敗しないできものの柄を選ぶポイントとは
それでは、花を例に挙げてみましょう。春の花をいくつか思い浮かべてみてください。桜、梅などいくつか思い浮かぶかと思います。
では、夏の花はいかがでしょうか。紫陽花や菖蒲などがありますね。
このような季節を象徴する花は、きものの柄に取り入れることで季節感を演出し、おしゃれを楽しむということが行われてきました。きものがお好きな方や、たくさんきものをお持ちの方は、このような季節柄を先取りして着ることによって粋な着こなしを楽しまれます。
季節柄を取り入れることは、きものを着る大きな楽しみと言えますね。ただ、残念なことに、逆を言えば、これらの柄は通年で着られる柄ではないということが言えます。
では、これからきものを着てみようと考えている方はどうすれば良いでしょうか。
まず、先程例に挙げた、季節を特定するもののみの柄を避けるということです。
例えば、梅の場合、梅単体の柄であれば、春という季節に限定されてしまいますが、そこに他の柄が加わると限定されなくなり、通年でも着られます。
他の柄とは、前述の吉祥文様や、春以外の季節の花や植物、生き物などです。
例えば、梅、椿、紅葉などの花や植物が入っていたり、梅とうさぎのような生き物との組みあわせ、梅と御所車のような古典柄との組みあわせなどです。柄のバリエーションがかなり広がりますね。
ちなみに、桜については日本の国花であることなどから、桜単体の柄であっても通年着られる柄とされています。
花という点で言うと、他には、柄が季節を特定される花や植物になっていない抽象的な柄を選ぶというのも1つの方法です。
例えば、辻ヶ花は非常に有名ですが、絞り染めと手描き染めという技法を用いられており、独創的な花柄ですので、季節を特定することなく着られます。また、季節を特定するものが含まれない柄を選べば、通年で着られます。
さて、きものの柄の選び方について触れてきましたが、いかがでしたか?
柄の名前がわからなくても、避けるべき柄のポイントを押さえていただくと、きものの柄も安心して選ぶことができますね。ぜひ、柄を選ぶ際の参考にしていただき、気軽にきものを楽しんでいただけたら幸いです。
次回はきもの小物の選び方を楽しくするポイントをお話しします。お楽しみに!
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