皆さん、こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
前回の連載では、特許権についてお伝えしました。
今回からは著作権編に入りますので、しばらくは著作権の話になります。
著作権は知的財産権の中でも特許と同じか、あるいはそれ以上によく耳にする単語ではないでしょうか?
それだけ著作権は、すべての人達との関わりがとても深いのです。
それでは、その著作権の基本的なことについて触れていきます。
目次
「著作物」とは何か?
まず、著作権の保護対象である知的財産、つまりは著作物とは何かについて簡単に触れます。
著作物とは、簡単にいうと、人の考えや感情を表したものとなります。
(正確な定義ではなく、あくまで私が簡単にまとめたものです)
ただ、考えや感情といっても抽象的過ぎてわかりませんよね?笑
著作物の具体的な種類としては例えば、以下のものがあります。
著作物の種類
言語の著作物
これは言語が絡む多くのものが対象となります。
例えば、新聞、本、手紙、メール、論文、ウェブサイトの記事や、セミナーや講演など多岐にわたります。
ただし、手紙やメールなどにおいて、おはようとかありがとうございますなど、独自性のない文章については当然著作物には該当せず、著作権で保護されることはありません。
音楽の著作物
これはだいたいおわかりだと思いますが、歌や曲などが該当します。
美術の著作物
これは、思想や感情が身振りや動作によって表現されているもの、すなわち振付けのことをいいます。
具体的には、パントマイムやダンスなどを指します。
建築の著作物
これは、思想や感情が土地上の工作物によって表現されているものをいいます。
ただし、ありふれた建築物は対象とならず、芸術的な価値を有する建築物が対象となります。
よくあるような民家やビルなどは建築の著作物には該当しないということになります。
図形の著作物
ここでいう図形とは広い意味を有し、思想や感情が図の形状、模様等によって表現されているものであり、地図、学術的な性質を有する図面・図表・模型といったものが該当します。
具体的には、道路地図、住宅地図、建築物の設計図、グラフ、地球儀、人体模型といったものを指します。
映画の著作物
映画というと、映画館で見るような映画を想像する方が多いと思いますが、著作権法上は、思想や感情を映像の連続によって表現する著作物をいい、劇場用映画に加えてテレビドラマ、コマーシャルフィルム、ホームビデオで撮った映像なども含まれます。
また、意外かと思うかもしれませんが、ゲームソフトも映画の著作物に含まれます。
写真の著作物
これは、文字通り写真を指しますが、広義には思想や感情を一定の映像によって表現する著作物をいいます。
ここで、著作物といえるためには、機械的に被写体を撮影しただけではなく、被写体の選択、シャッタースピード、アングル、現像等により独創性がなければなりません。
ただ、難しいことは特に要求されないので、個人が何気なく取った写真でも著作物に十分なり得るのです。
プログラムの著作物
プログラムは、C言語やJavaScriptといったプログラム言語で記述されたものを指し、具体的には、機械の中に組み込まれたプログラム、産業用プログラム、ソース・プログラム、オブジェクト・プログラムなどを指します。
プログラムの場合も言語で記述されているため、言語の著作物に該当するように思うかもしれませんが、プログラムの場合は、人間に対して直接の情報を目的としない特徴を有することから、言語の著作物とは別枠で著作権法による規定が設けられています。
編集著作物
編集物であって、その素材の選択又は配列によって創作性を有するものをいいます。
例えば、職業分類によって電話番号情報を職業別に分類した職業別電話帳は、素材の配列によって創作性を有する編集著作物といえます。
一方で、電話帳を単に50音に並べたにすぎないものは、素材の選択・配列は機械的に定まるものであり、創作性がないため編集著作物には該当しません。
データベースの著作物
これは、データベースでその情報の選択あるいは体系的な構成によって創作性を有するものをいいます。
ここで、データベースとは、論文、数値、図形といった情報の集合物であって、それらの情報を、コンピュータを用いて検索できるように体系的に構成したものをいいます。
例えば、学術論文の書誌事項や全文を蓄積したデータベース、企業内の従業員や顧客の情報を蓄積したデータベースなどをいいます。
以上、著作物の種類についてご紹介しましたが、著作物には多くの種類があり、色々なものが保護されます。
ちなみにですが、憲法、国や公的機関が発する告示、通達、裁判所の判決などは著作物に該当しても著作権で保護されないものとなっています。
これらは内容を国民に周知徹底させる必要があったり、国民の権利・義務に関わるものであったりするため、独占をするべきものではないものです。
連載「インターネット時代に必須!著作権の知識」、今回は著作権の保護対象となる著作物についてご紹介しました。次回は、著作権自体の種類についてもご紹介します。
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