皆さん、こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
連載「インターネット時代に必須!著作権の知識」、第4回も前回に続いて、著作権の種類についてお伝えしていきます。
前回は「上映権」「公衆送信権」「伝達権」についてご紹介しました。今回は「口述権」「頒布権」「譲渡権」「翻訳権、編曲権、変形権、翻案権」についてとなります。
著作権の種類⑥ 口述権
口述権は、言語の著作物を公に口述する権利のことをいいます。
また、口述とは、朗読などの方法により著作物を口頭で伝達することをいいます。
例えば、本や新聞に書かれた内容を人々の前で朗読する行為です。
なので、セミナーや講演会などで、本や新聞などを著作権者の許可を得ずに読み上げてしまうと、口述権の侵害になります。
その場で朗読をしていなくても、朗読した内容を録音してそれを再生する行為も口述に当たります。
著作権の種類⑦ 頒布権
頒布権とは、映画の著作物をその複製物により頒布する権利です。
頒布とは、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいいます。
すなわち、簡単にいうと他人に売る、貸すことをいいます。
ここで、この頒布権は、映画の著作物にのみ認められる権利です。
なぜ頒布権が映画の著作物のみに認められるかというと、配給制度により製作・配給・上映という流通ルートや上映に関する場所や時期をコントロールしてきたという取引実態、1本の映画フィルムにより多額の収益を上げることができるという利用実態を制度化するためです。
つまり、映画の場合は、複製物であっても著作権者の許可なしに販売することや貸し出すことはできないということです。
頒布権は、映画の著作物のためだけに作られた少し特殊な権利なのです。
著作権の種類⑧ 譲渡権
譲渡権とは、著作物の譲渡により公衆に提供する権利です。
つまり著作物を販売するといった行為に関する権利です。
例えば、CDや本などの著作物を販売するといった行為が譲渡に該当します。
ただし、譲渡権侵害となるのは、他人の著作物を「公衆」に譲渡することが要件となるので、友人や家族にCDや本などを売ったり、渡したりしても譲渡権侵害にはなりません。
また、譲渡権には消尽という重要な概念があります。
ここでいう消尽とは、CDや本などの著作物が適法に販売等された場合に、その後の販売等については譲渡権の効力が及ばなくなるということです。
これだとよくわからないと思いますので、例を挙げます。
誰しも一度はCD、本、ゲームソフトを購入したことがあると思います。
そしてそれらをブックオフなどの中古品買取店に売ったり、メルカリやヤフオクなどのサイトで売ったりしたことがあると思います。
このように、一度譲渡された著作物がその後も譲渡されることは多々あります。
このとき、それら著作物の譲渡権は、購入したときにはすでに消尽しているため、その後公衆に販売したとしても譲渡権の侵害とはなりません。
このように消尽という概念が存在するおかげで適切に著作物が市場に流通するのです。
著作権の種類⑨ 翻訳権、編曲権、変形権、翻案権
権利が4つもありごちゃごちゃしていると思われるかもしれませんが、これらを簡単にいえば、二次的著作物を創作する権利です。
つまり、オリジナルの著作物を改変して新たな著作物を創作する権利です。
以下、これら4つの権利に関する行為を簡単にご説明します。
翻訳とは
これは説明しなくてもわかるかもしれませんが、言語の著作物を他の国語で表現しなおすことです。
例えば、英語で書かれた本を日本語で表現するといったことです。
編曲とは
音楽の著作物の楽曲の部分について、既存の楽曲に新たな創作性を加えて改作することをいいます。
例えば、クラシックの楽曲をジャズ調にアレンジする、ピアノ曲を管弦楽で表現するといったことです。
変形とは
既存の美術等の著作物を他の表現形式に変換するといったことです。
例えば、彫刻を絵画にしたり、写真を絵画にしたりする場合です。
翻案とは
簡単にいうと、本質的な特徴を維持しつつ表現に修正・変更等を加えて新たな著作物を創作することです。
例えば、漫画を映画化したり、小説をアニメ化したりするといったことです。
連載「インターネット時代に必須!著作権の知識」、今回は、複数ある著作権の種類のうち、「口述権」「頒布権」「譲渡権」「翻訳権、編曲権、変形権、翻案権」についてお伝えしました。
各著作権の名称を覚えなくても、どのような行為が著作権侵害になるかならないかは、ある程度把握した方がよいかと思います。
これからの時代はインターネットの利用がさらに加速するので、誰もが著作権を知っておかないといけません。
特に、複製権と公衆送信権はかなり多くの場面に関係するので押さえておきましょう。
これらを知らずにインターネットを使うのは、ルールを知らずにスポーツをするようなものです。
特にビジネスの場面ではルールを守らないと後で大きなトラブルになりかねません。
義務教育だと思って学んでいただきたいぐらいに考えています。
それでは今回の内容は以上となります。連載最終回の次回は、かの有名なディズニーと著作権の関係についてご紹介します。ぜひご覧ください。
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