こんにちは。オンスク事務局スタッフのキクチです。
前回の記事では、色彩検定で新設された「UC級(色のユニバーサルカラー級)」について、試験概要と難易度、必要な教材や勉強時間についてお伝えしました。
今回はもう少し詳しい勉強方法と、受験会場の様子、それからUC級を学んで良かったことについてお伝えしたいと思います。
個人的には老若男女あらゆる人におすすめしたいこのUC級、興味を覚えた方はぜひお読みくださいね。
UC級の勉強方法
私が受験申込みしたのは、2018年12月実施のUC級第1回試験。
UC級試験が初めて実施される回ですから、受験経験者は当然存在しません。問題集もまだ出版されていない中、どのように勉強したらよいかの情報はありませんでした。
そこで私が行った勉強方法は…レトロにして王道の方法、暗記シートを使うこと!
仕事と育児をしながら費やした勉強期間は約2週間。
最初の2日間で公式テキストをひととおり読み、次の2日間は「どの章がポイントになりそうか」を意識しながら読みました。
次の3日間で「参考書だったらここが太文字になっていそう」というところに暗記シート用のマーカーを引き、残りの1週間は暗記シートを使って暗記に集中しました。
公式テキストのどこにマーカーを引くかについては、色彩検定協会サイトの「UC級 出題例」と、同協会のメルマガ記載「UC級 直前演習問題」の出題の仕方を参考にしました。
例えば色彩検定協会サイトには、こんな例題があります。
問題A 加齢により眼の水晶体は
① 白濁するが、これが原因で青い色が特に暗く見えるようになる。
② 黄変するが、これが原因で赤や黄が特に暗く見えるようになる。
③ 白濁するが、これが原因でさまざまな波長の光に対する透過率が低下する。
④ 黄変するが、これが原因で長波長の光に対する透過率が特に上昇する。
この出題元は、公式テキスト第5章「高齢者の見え方」5-1「加齢による見え方の変化」1「水晶体の加齢変化」です。
テキストと問題を見比べると、特にひねることなく、テキストの穴埋め問題というような形で出題されていることがわかります。
ですので、それ以外の章についても、色やその見え方について書かれている箇所の単語は、素直にマーカーを引くようにしました。
(ちなみに同じ公式テキストでも、事例集や資料集・コラムのページにはマーカーを引くことは無かったです)
結果、9割以上の得点で合格できた(Web上に掲載された模範解答で自己採点した結果)ので、勉強方針としては間違っていなかったようです。
ただ、今なら第1回UC級の過去問題集が出ていますので、問題の傾向を掴むにはそちらを買った方が効率的かもしれませんね。
UC級受験当日
いよいよUC級第1回試験当日、会場は某大学の教室。
試験官の説明を聞いている間に周りを見渡すと、受験者の出席率はかなり高そう。
男女比は、ちょっと女性の方が多いかなという印象。結構年配の方もいらっしゃって、平均年齢は30代後半というところでしょうか。
試験時間は60分。途中退室は原則不可ですが、私の場合、ひととおり解いて再度見直したところで残り時間15分を切っていたので、そこまで時間を持て余すことはありませんでした。
予想通り、テキストの重要単語を覚えていれば解けるような素直な問題ばかりでしたが、問題数が多かったので見直しにちょっと時間がかかりましたね。
ちなみに問題は(1)から(10)までで、解答欄数は79個。公式テキストからまんべんなく出題されたという印象です(事例集・資料集・コラムは除く)。
さらにいうと、より現実的・実践的な内容寄りの出題になっていたという印象でした(例えばユニバーサルデザインについていえば、歴史や規格に関する出題は無く、色覚特性のある人向けにこの表示をどのように修正すべきかという具体的な出題がされる)。
UC級を学んで良かったこと
最後に、私がUC級を学んで良かったと思うことを2点お話しします。
① 色覚異常の見え方を前提とした色使いができるようになる
社内外向けにカラーの資料や画像を作成することも多い私ですが、今まで色覚異常の見え方を意識して作成したことはありませんでした。
でも、色覚異常を持つ人の割合が、日本人男性の場合は5%(AB型の日本人男性の割合と同じ)だと知ってから、資料等の作成時には気を付けるようになりました。
日本人男性の場合20人に1人が該当するということは、同僚や取引先の方もそうである可能性が高いからです。
例えば、下図の折れ線グラフの内、左の図をご覧ください。赤と緑が区別がつきにくい方にとっては、右の図のように見えてしまいます(※)。
※以降の図の右のグラフは色のシミュレータを使用して作成しており、実際には見え方には個人差があります
このグラフについては、例えば実線と破線で区別すれば、赤と緑が区別がつきにくい方でも見やすくなります。
また、下図の棒グラフ(左)も、同様の色覚特性を持つ方には右の図のように見えています。
このグラフについては、例えば緑を青に変更すると、同様の色覚特性を持つ方でも見やすくなります。
② 高齢者の見え方について配慮できるようになる
高齢により視力が低下することは多くの人が知っていると思いますが、加齢による眼球の変質により
・ 白と黄色の区別がつきにくくなる
・ 青と黒の区別がつきにくくなる
という知識を得られたのは、私にとってはUC級を学んで一番良かったと思えたことでした。
前述のように、ご年配の方向けの資料を作成する時にも当然役立つのですが、テキストを読んで私が思い出したのは、数年前の実家でのできごと。
母親がいつものように朝食を作ろうとしたとき、ガスコンロの火が袖口に引火し、片方の腕全体に大火傷を負ってしまったのです。
そのときは、本人の注意不足が引き起こした不運なできごとだと思っていましたが、テキストを読んで初めて「黒っぽい天板のコンロ上の青いガス火が、高齢者には見えにくい」という事実に思い至りました。
そして、このように物や色の見え方が変わることは、いずれ誰にも必ず起こることであり、決して他人事ではないということにも…。
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