オフィスや工場・飲食店など業種は様々ですが、職場が清潔で安全な環境で、心身共に健康で気持ちよく働ける場所であってほしいという思いは、皆さん共通していますよね。
そんな職場をめざして、毎朝のラジオ体操や、社員総出で社内清掃をするような取り組みをしている企業もあるかと思います。
ところで、あなたの職場の従業員は50人以上ですか?50人以上の場合、健康診断やストレスチェックは毎年実施されていますか?
「そういえば50人以上いたと思うけど、健康診断とか毎年やっていない気が…。でもそんなこと、大した問題じゃないでしょ?」
実はこれ、大した問題なんです!
連載「いないと法令違反?!衛生管理者とは」
- 「安全衛生のプロ」衛生管理者とは
- 衛生管理者の業務① 職場巡視
- 衛生管理者の業務② 健康診断実施
- 衛生管理者の業務③ ストレスチェック
- 衛生管理者の業務④ メンタルヘルスケア
健康診断とストレスチェックの実施は、企業の義務です!
健康診断を実施することは、労働安全衛生法で定められていて、企業には実施の義務があります。
また2015年12月より、ストレスチェックの実施が、従業員が50人以上の事業場で義務化されました。
それぞれの実施の頻度は以下の通りです。
・健康診断の実施は、1年以内ごとに1回。
・ストレスチェックの実施は、常時50人以上の従業員がいる事業場を対象に、年1回以上(この50人とは、正社員だけでなくアルバイト・パート、派遣スタッフの方も含めた人数です)。
健康診断やストレスチェック実施の局面では、従業員の健康診断の受診状況を把握したり、健診結果を管理したり、場合によっては医師(産業医)と連携したりと、従業員の個人情報や機微な情報に触れる機会が出てきます。
では、いったい誰がこのような業務を担当するのでしょう?
それは、「衛生管理者」です。
「衛生管理者」とは?
衛生管理者とは、労働安全衛生法で定められている労働環境の衛生的な改善と疾病の予防処置等を担当する、事業場の衛生全般を管理する人を指します。
言ってみれば「職場の安全衛生の専門家(プロ)」です!
衛生管理者となるには、全国7か所で実施される衛生管理者免許試験(国家試験)を受験して、合格する必要があります。
試験の種類はすべての業種で対応できる「第一種」と、情報通信業、卸売・小売業など有害業務に携わっていない業種に限定される「第二種」があります。
また、受験資格については
・大学または高等専門学校(短大を含む)を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上
・高等学校を卒業し、労働衛生での実務経験が3年以上
・労働衛生の実務経験が10年以上
のいずれかに該当すれば、受験できます。実務経験とは、作業環境の衛生調査・職場の衛生改善など、労働衛生に関する業務のことです。これは「事業者証明書」の提出で証明します。
衛生管理者がいないと…?
衛生管理者は、労働安全衛生法により、50人以上の事業場ですべての業種に選任が義務づけられています。
選任義務があるにもかかわらず、衛生管理者を置いていない場合、50万円以下の罰金に処せられる(安衛法第120条)とあります。
もうすぐ従業員50人が見えてきそうだけど衛生管理者がまだいない、という職場は要注意!です。
・なるべく早めに、職場の中で衛生管理者の資格が取れる人を探しましょう!(総務・人事・労務のような会社全体を見ている人が適任だと思います)
・衛生管理者免許を取得したら、管轄の労働基準監督署へ選任報告!
いかがでしたか?
「急に、会社から衛生管理者の資格を取るように言われた」ということになっても慌てないように、衛生管理者の業務については事前に把握しておきましょうね!
連載第2回以降は、衛生管理者の代表的な業務について詳しく説明します。次回のテーマは「職場巡視」です。
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