新年度を迎えると、職場から健康診断の案内が届く方も多いのではないでしょうか。
社員の中には「仕事が忙しくて、健康診断を受けるなんて面倒だ…!できれば受けたくない」と思っている人もいるかもしれませんね。
そういった人たちを何とか説得(?)して、会社全体の健康診断の受診率を上げる方法を考えるのも、衛生管理者の仕事です。
従業員50人以上の事業場では必ず選任しなければならない衛生管理者。今回はその業務の1つである「健康診断実施」について詳しく解説します!
連載「いないと法令違反?!衛生管理者とは」
- 「安全衛生のプロ」衛生管理者とは
- 衛生管理者の業務① 職場巡視
- 衛生管理者の業務② 健康診断実施
- 衛生管理者の業務③ ストレスチェック
- 衛生管理者の業務④ メンタルヘルスケア
「健康診断」とはどんなもの?
労働安全衛生法で、事業者による実施が義務付けられている健康診断が「一般健康診断」です。
一般健康診断には、雇入れ時健康診断や定期健康診断(年1回の実施が義務)などがあり、職種に関係なく行う健康診断となります。
一般健康診断とは別に「特殊健康診断」というものもあります。
こちらは、特殊化学物質業務や有機溶剤業務などの有害業務に従事する労働者に対して行う健康診断で、有害業務が身体に影響を及ぼすことを未然に防ぐためのものです。
一般健康診断の受診項目としては、以下のようなものがあります(受診者の年齢によって、受診を省略できる項目もあります)。
- 身長、体重、腹囲、視力・聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
特殊健康診断は、その労働者が従事している有害業務に応じて受診させる必要があります。例えば、
- 粉塵作業に従事または従事した労働者に対しては「じん肺健康診断」
- 有機溶剤業務に従事する労働者に対しては「有機溶剤健康診断」
- 鉛を常に取り扱う業務に従事している労働者に対しては「鉛健康診断」
などです。
健康診断を受ける目的って?
前述のように、「健康診断なんて面倒だ」「病気が発見されそうで怖い」など、健康診断をネガティブに捉えている人も中にはいるかもしれません。
しかしそこは衛生管理者から、あるいは各部署のリーダーから、健康診断を受ける大切さを伝える必要があります。
健康診断を受けることは、自身の健康を守る最大の武器になります。
健康診断の検査結果を、病気の予防かつ健康的な生活への改善に活かすことができますし、現代医学で予知や予防が困難な各種がんについても、早期発見の可能性が高くなります。
35歳以上の人が受ける健康診断に「生活習慣病予防健診」があります。家族や親戚の中に高血圧・糖尿病の方がいらっしゃるなら、遺伝的な要因で発症することも考えられるので、検査項目をしっかり受診していただきたいと思います。
健康診断担当の裏話
実際に私も健康診断の担当として、
- 対象となる社員の受診項目を把握する
- 健診機関のスタッフと受診日程のスケジュール調整を行う
- 社内で健康診断受診の呼びかけを行う
といった業務を行っています。
中小企業の衛生管理者ということもあり、全社の健康診断の面倒を私1人で見ている形ですね。
私の会社では、対象年齢の女性社員に婦人科検診(乳がん・子宮頸がん検診)も受診してもらっていますが、男性である私から本人へ伝えるのは気を遣います…。
こういう時は衛生管理者からではなく、同じ部署の女性社員から本人へ伝えてもらうなど工夫しています。
健康診断の準備はいろいろあって大変ですが、社員にしっかり健康診断を受けてもらって、健康な状態で気持ちよく働いてもらえることに役立っていると考えると、衛生管理者としてやり甲斐を感じます!
いかがでしたか?毎年必ず健康診断の案内が来るのにはちゃんと理由があったのです!
健康診断は面倒だな、という気持ちはわかりますが、健康な状態で気持ちよく働くために、ぜひ健康診断を活用していただきたいです。
次回は「ストレスチェック」についてお伝えしたいと思います。
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