現在は、業種や職種に関わらず、ITが切っても切り離せない時代です。
IT業界以外の方も、仕事でITに関する知識を求められたり、日常生活の中でITに触れたりする機会が増えていますよね。
ITに関する知識は、ビジネスパーソンであれば、よりスムーズに仕事を進めるためにも、ぜひ身に付けておきたいものです。
しかし、「ITの勉強を独学で始めたいけれど、何から始めたらいいのかわからない」というも多いでしょう。
これから4回にわたり、国家試験「ITパスポート」の概要と独学の方におすすめの勉強法をご紹介します。
ITパスポートはIT初心者の方にぴったりの試験なので、ぜひ参考にしてみてください。
ITパスポートとは?
ITパスポートとは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する、ITに関する基礎知識を問う試験です。2009年に開始された国家試験で、受験者数も年々増加しています。
項目 | 内容 |
---|---|
試験時間 | 120分 |
出題数 | 小問:100問(※1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
出題分野 | ストラテジ系(経営全般):35問程度 マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること 【総合評価点】 600点以上/1,000点(総合評価の満点) 【分野別評価点】 ストラテジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) マネジメント系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) テクノロジ系 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式(※2) 受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答する |
(※1)総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行います。残りの8問は今後出題する問題を評価するために使用されます
(※2)身体の不自由等によりCBT方式で受験できない方のために、春期(4月)と秋期(10月)の年2回、筆記による方式の試験が実施されます
ITパスポートはITに関する初級レベルの資格です。ITに関する知識が身に付く上位の資格として、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などがあります。ITパスポートを足がかりに、それらの上位試験を目指すのもスキルアップにつながりそうですね。
ITパスポート試験の出題内容やCBT方式での解答方法を知りたい方は、公式サイトで「CBT疑似体験ソフトウェア」をダウンロードし、過去問題を見てみるとよいでしょう。
例えば、過去にはテクノロジ系の分野にて、次のような問題が出題されました。
CPUに搭載された1次と2次のキャッシュメモリに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア 1次キャッシュメモリは、2次キャッシュメモリよりも容量が大きい。
イ 2次キャッシュメモリは、メインメモリよりも読み書き速度が遅い。
ウ CPUがデータを読み出すとき、まず1次キャッシュメモリにアクセスし、データが無い場合は2次キャッシュメモリにアクセスする。
エ 処理に必要な全てのデータは、プログラム開始時に1次又は2次キャッシュメモリ上に存在しなければならない。 (正解:ウ)
ITパスポート試験 3つの出題分野の特徴と攻略法
ITパスポート試験は、上述のとおり3つの出題分野(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)に分かれています。それぞれの出題分野の特徴と攻略法を把握しておきましょう。
ストラテジ系(経営全般)
企業活動や経営戦略など、経営全般に関する知識が問われます。単語の意味を問う問題が多いですが、テクノロジ系に次いで範囲が広いため十分な対策が必要です。
ある程度出題パターンが決まっているので、過去問を中心に学習するのが効率的。余裕を持った学習計画を立てて、過去問に触れる機会を増やしましょう。
マネジメント系(IT管理)
システムやソフトウェア開発を進めていくうえで、必要な知識が問われる分野です。マネジメント系、テクノロジ系に比べると出題の割合は少なめですが、きっちり対策することで合格率が上がります。
システムやソフトウェアの開発に関わったことがない方でも、知識を正しくインプットすれば得点できる分野です。まずは必要な知識の理解に努めましょう。
テクノロジ系(技術)
3つの分野の中で、最も技術的な知識が問われる分野です。アルゴリズムやソフトウェエア、ハードウェア、ネットワーク、セキュリティなど、ITらしい用語がたくさん出てきます。
3つの分野の中では最も範囲が広く、専門的な知識が問われやすいです。初めは難しかったり、とっつきにくさを感じたりするかもしれません。
しかし、独学でも学習を継続すればするほど解けるようになるので、1つ1つの用語を丁寧に覚えていきましょう。
ITパスポート試験の難易度とおすすめ勉強法
ITパスポート試験の合格率は約50%で、国家試験としては難易度が低い方といえます。試験で求められるのはあくまで「基礎的な知識」です。しっかりと対策をすればIT初心者の方でも、そして独学でも、一発合格が期待できるでしょう。
しかし、油断は禁物です。基礎的な知識が問われる試験とはいえ、初めてITを学習する方にとっては難しい用語が出てきます。ITに苦手意識を持っている方や、普段ITとの関わりが少ない方は、次に紹介するおすすめの勉強法を着実に実践してみてください。
独学の方におすすめの勉強法は、大まかに全体を見渡してから細かな暗記を進めることです。
各分野の全体像を捉える前にいきなり難しい用語を覚えようとしても、なかなか頭に入りません。一から十まですべて理解しなくても大丈夫なので、まずは試験範囲全体に目を通してみましょう。3つの分野の特徴の違いに気づけるはずです。
全体像を捉えたら細かな暗記を進めていきます。わからない用語が出てきたら、その都度すぐ調べるようにするとよいですね。最初は時間がかかりますが、徐々にわかる用語が増えてくるので、勉強のスピードも上がってきますよ。
また、用語の暗記が進んでいるかどうか、定期的に過去問を解いて確認してみてください。インプットとアウトプットを繰り返しながら、知識の定着を図りましょう。
ITの知識があるとないでは、ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも大きな差が出てくるでしょう。
ITパスポート試験は、ITの基礎知識が身に付くおすすめの試験です。
ITパスポート試験に挑戦したい方は、ぜひ今回の連載でご紹介する勉強法を参考にして、独学での学習を進めてみてください。
次回はストラテジ系の分野について、勉強法を詳しくご紹介します。
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