仕事に役立つITパスポートの魅力を語るこの連載、前回は、ITパスポートで学ぶ「情報セキュリティ」の必要性についてお伝えしました。
ITパスポートでは、経営や財務、マーケティングに関しても出題されます。
「それってITと関係なくない?」
「経営者になるわけじゃないし、勉強しても使わなさそう…」
こんな風に思っていませんか?
実は、普通の事務職であっても経営や財務、マーケティングの知識は役立つんです。第2回の今回は、その理由についてお伝えします。
ITパスポートでマーケティングを学ぶ意義
goo辞書によると、マーケティングとは『顧客ニーズを的確につかんで製品計画を立て、最も有利な販売経路を選ぶとともに、販売促進努力により、需要の増加と新たな市場開発を図る企業の諸活動。』とされています。
ITパスポートでも学習する「4P」は、その典型的な例といえます。4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通、場所)」「Promotion(販売促進)」の頭文字をとったもので、顧客が商品を購入するまでに必要な4つの概念について検討するため利用されます。
例えば、乳幼児の子供を持つ親がマンションや建売住宅を購入するにあたり、子供が将来通う学校のことを気にかける人は少なくありません。広告で「人気の〇〇小学校学区内」と謳えば、それだけで興味を持つ人もいるでしょう。
これ自体は4Pのうち「Promotion(販売促進)」に当たる施策ですが、幼稚園と提携する「Place(流通、場所)」や子供向けの「Product(製品)」に応用することも可能です。
ですが、そもそも「乳幼児の子供を持つ親がマンションや建売住宅を購入する」というのはマーケティング担当者個人の憶測に過ぎません。
この憶測を、過去のデータを利用して「乳幼児の子供を持つ親がマンションや建売住宅を購入しやすい傾向にある」という仮説に変換することこそが、ITパスポートでマーケティングを学んだ人に期待される役割といえます。
マーケティングは上司との会話に必須の知識
どんな会社でも、経営や財務、マーケティングに詳しい人はいるはずです。マーケティング専門の部署がない会社もありますが、その場合も、それぞれの部署でマーケティングを考えることは欠かせません。
特に、マネージャーである上司にとってマーケティングは欠かせない知識ですから、例えそうは見えなくても身に付けているものなのです。
ですから、上司や上層部とのふとした会話の端に、マーケティング用語が登場しても不思議ではありません。例えば前述の「4P」が登場したとき、一般社員としてはどう反応すればよいでしょうか?
「4P? 訳のわからないこと言ってるし…」
こう思ってしまっては、会話が続きませんよね。
「うちの商品はプロダクトはすごくいいんですが、プレイスが顧客と微妙にずれている気がしますね」
こんな回答ができれば、「こいつ、なかなかやるな」と思われることでしょう。
上司から一目置かれるために、ITパスポートで得た知識が利用できるのです。
資料作成にITパスポートが役立つ!?
経営・マーケティングの知識があることのメリットは、上司に一目置かれることだけではありません。
実際の業務で資料作成を頼まれたときにも、知識を活かすことができます。
「弊社の損益分岐点は●●で、これを達成するためには△△が必要で…」
例えば上司からこんな内容の資料作成を頼まれたとしましょう。
損益分岐点が何かを知らなくても、言われたままの内容を資料に反映することは可能です。
しかし、損益分岐点が何かを知っていれば、できることは飛躍的に増えます。
「ここの計算が違っているようです。こう直してもよいでしょうか?」
なんて言えれば、評価はうなぎのぼりでしょう。
このように、ITパスポートで学ぶ経営・マーケティングの知識は、資料作成時にも有効なのです。
現在の仕事が経理部やマーケティング部でなくても、十分に使える知識であるといえます。
ITパスポートで学ぶ経営やマーケティングの知識は、一般社員に役立つことをご紹介しました。
仮に現在の仕事が経営・マーケティングとは無関係だったとしても、将来的にこれらの知識が必要になる可能性もあります。
何年か後に出世して役職がつくかもしれません。将来的には管理職になる可能性もあるでしょう。
管理職になったら、業務の知識だけでなく経営や財務の知識も求められます。部署でこなすべき業務だけではなく、会社全体を見据えた行動が必要になってくるのです。
早いうちに経営・マーケティングの知識を身に付けておけば、上層部の視点で物事を見ることにもつながります。成長を早めるためにも役立つといえるでしょう。
次回は、ITパスポートを学ぶことで身に付く「プログラミング知識」や「システムの知識」と実務の関係について、ご紹介します。
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