皆さん、こんにちは!気象予報士試験に向けての勉強、はかどっていますか?
気象学に触れたことがない人にとって、気象予報士の試験はなかなか難しいものです。
連載「初学者向け気象予報士勉強法」、今回はそんな気象予報士試験の勉強法について、私なりに考えたポイントをご紹介します。
勉強法で迷っている方や独学でがんばる方は、ぜひ本文をチェックしてみてください。
まずはゴールを明確にする
気象予報士試験の勉強法を考える前に、気象予報士試験に合格するためにはどんな力が必要なのかを考察してみます。
「気象予報士試験は難しい」とやみくもに決めつけず、特に独学の場合はゴールを明確に捉えてみましょう。
ゴール① 気象学に関する基礎知識を手に入れる
まず気象学についての基礎知識が必要です。このゴールは、これまでの記事でもご紹介してきた書籍「一般気象学│小倉義光(著)」をある程度理解することです。
とはいえ、この本は大学の講義で使われるレベル。一筋縄ではいかない難しい書籍です。
特に気象学を学ぶのは初めてという場合、子ども向けに書かれているお天気の本など、よりやさしい本からトライしましょう。
入門レベルの基礎知識を事前に学習しておくことは、とても重要です。
ゴール② 気象に関する法律の知識も欠かせない
試験の午前中に行われる「学科試験(一般)」に合格するためには、「気象業務法その他の気象業務に関する法規」の知識も必要です。
このゴールは、気象に関する法律知識を暗記することです。
ゴール③ 気象予報文を書く文章力も必須
気象の知識がどれだけあっても、それをアウトプットできなければ気象予報士の試験に合格することはできません。
このゴールは予報した情報を適切な文章で書き表すことができるということです。
このように、気象予報士試験合格のためには、「気象学の基礎知識」「気象に関する法律の知識」「予報文を書く文章力」が必要です。
気象予報士対策の勉強法は、これら3つを意識しましょう。
気象予報士試験に合格するための3つの力
「一般気象学│小倉義光(著)」をある程度理解する 気象に関する法律知識を暗記する 気象予報文を適切な文章で書き表す
気象学の基礎知識を身に付けるための勉強法
まずは、気象予報士としての基礎体力ともいえる、気象学の勉強法について考えていきたいと思います。
独学の人は、気象学の勉強時間をしっかり確保してください。
先ほども述べましたが、「一般気象学│小倉義光(著)」をある程度理解することが1つのゴールです。
気象学の知識がおおまかにある場合は、いきなりこの本を学習してもよいのですが、基本的にはおすすめできません。
内容も専門的で難しいですし、数式も多く、見ているだけで疲れた…なんてことになってしまいます。わからないで悩んでいる時間は勉強時間とはいえません。
もっとかみ砕いた内容が書かれた本から入り、入門レベルから理解するほうが望ましいでしょう。一項目ずつきちんと理解できてこそ、勉強時間が活きてきます。
その際には、身近な現象として気象の知識を捉えることが重要です。
例えば、積乱雲ができて下降気流が水平に吹き出すと、突風が吹いてガストフロントが形成されます。実際に近くで積乱雲ができると、確かに急な突風を感じることがあるものです。そういった場合に「ああ、これがガストフロントか!」と思えたならば、それは明確な知識となりえます。
気象業務法を学ぶための勉強法について
次に、「学科試験(一般)」で問われる気象業務法の勉強法について見ていきましょう。
これは比較的簡単で、まずは気象業務法に目を通しておきます。これが最低限の知識で、独学でもOK。それほど多くの勉強時間も要しません。
あとはひたすら過去問題を解きましょう。間違えた部分については、そのつど気象業務法の該当箇所を確認しておけば、徐々に問題を正解できるようになるものです。
▼気象業務法の過去問例
この問題は、気象業務法「第十七条」(予報業務の許可)を正しく理解できていたら解答できます。
2 前項の許可は、予報業務の目的及び範囲を定めて行う。
参考:気象庁|気象業務法「第十七条」
こちらも参考にしてください。
例えば上記問題の (a) ですが、これは「桜の開花予測が予報業務であるか、予報業務ではないか」ということを判断します。
予報業務とは第十七条により気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務です。植物の開花予測などは、気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報ではありません。従って (a) は誤と判断できます。
なお、この問題の解答は⑤です。
気象予報文を書けるようになるための勉強法
気象予報士試験で最も難しいのが、午後に行われる実技試験です。気象学の知識を駆使して予報をすることはもちろんですが、それを人に伝わる文章として適切にアウトプットする必要があります。
これは簡単には身に付きません。その勉強法としては、とにかくマネをすることが重要です。
以下は過去問題の模範解答です。まずはこういった模範解答のマネをしましょう。
出典元:気象予報士試験 令和5年度第2回(61) 模範解答例
マネすることを繰り返していくうちに、実技試験で求められる解答というものが見えてきます。それらを過不足なく書けるようになれば、気象予報士試験に合格できるはずです。
気象予報士試験の3つの基本的な勉強法
気象学の基礎を身に付けるには「身近な現象として気象の知識を捉える」 気象業務法は「気象業務法に目を通し、過去問題を演習する」 気象予報文を書けるようにするには「過去問題の模範解答のマネをする」
学科試験(一般)・学科試験(専門)・実技試験の勉強法
ではあらためて、「学科試験(一般)」「学科試験(専門)」「実技試験」それぞれの勉強法をご紹介します。
「学科試験(一般)」の勉強法
まずは、小学生・中学生向けの天気の本を数冊ずつ読み、「一般気象学」を数回読みましょう。「一般気象学」は難しいので、この段階で完全に理解できなくて結構です。
その後、過去問題集に取りかかります。1問ずつ、まずは自分で解答を考えましょう。十分考えたのち、解答と解説を熟読して理解します。
解説を読んでいて、理解できない事柄があれば、都度調べます。わからないことをそのままにして、先に進まないようにしましょう。
手間はかかりますが、「自分が理解できていないのは何であるか」に注目し、そして「それを理解するために具体的にどうすればいいのか」を1問ずつ考えて取り組んでください。
学科試験はマークシートによる多肢選択式なので、本質的な理解よりも数をこなすことを優先してしまいがちです。しかし、それでは実技試験で不合格になりかねません。
「学科試験(専門)」の勉強法
「学科試験(専門)」は「学科試験(一般)」と比べると、知識問題がやや多いです。「知っていれば解答できる、知らなければ解答できない」といった問題は、確実に暗記しましょう。暗記が得意な人は、「学科試験(専門)」では時間が余ってゆっくり見直しできると言われています。
ただし、「学科試験(専門)」の過去問題は、制度変更や技術革新により、現在では古くなってしまった問題もありますので注意してください。
最新情報は、気象庁のホームページ│報道発表資料で見ることができますので、都度確認しながら勉強を進めていくようにしましょう。
例えば平成30年6月14日の報道発表資料を見ると、「平成30年6月20日11時から、降水短時間予報をこれまでの6時間先までから15時間先までに延長します。」ということがわかります。すると、平成30年6月20日より以前の過去問題で、降水短時間予報が出題されている場合、その予報期間が現行とは異なっているということに注意しないといけません。
「実技試験」の勉強法
実技試験は学科試験とは異なり、記述式です。
「題意を把握する」→「解答要素を導く」→「論理的に答案を作成する」という3段階を経て、解答します。
「過去問題集を演習するとき、自分がどの段階でつまずいているのか」を把握し、課題を特定し、その解決策を考えましょう。
気象予報士の試験別勉強法 学科試験(一般)は「本質的に理解する」 学科試験(専門)は「知識問題は確実に暗記する」 実技試験は「自分の課題を特定し解決策を考える」
今回は、気象予報士試験対策の勉強法について解説しました。
次回は最終回。「気象予報士試験合格への3つののコツについてご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
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