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偏差値を自分で求めてみよう!|数学おもしろコラム

偏差値を自分で求めてみよう!|数学おもしろコラム

数学・数字に関する面白い話や、役に立つ話をお伝えしている「数学おもしろコラム」の第8回です。

今日は、統計学の中でもよく使う偏差値について、ご紹介します。
学生時代にはテストの偏差値に悩まされた方も多いと思います。

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全体の中での位置がわかる偏差値

英語のテストで1回目も2回目も70点を取ったとしましょう。

しかし、1回目の平均点は60点で、2回目の平均点は80点なら、同じ70点でも1回目のテストの方が成績はよかったですね。

また、平均点が70点の国語のテストで90点を取り、平均点が40点の数学のテストで60点を取ったとしましょう。
どちらも平均点との差は20点ですが、同じ成績であるわけではありません。

テストによって難しさはバラバラなので、どのテストでも全体の中での位置がわかるように考えられたのが、偏差値なのです。

では、偏差値の求め方を順に見てみましょう。

標準偏差・偏差・分散とは?

偏差値は、以下の式で求められます。

偏差値=((得点-平均点)÷標準偏差値)×10+50

ここで使われている標準偏差について、まずご紹介します。

偏差とは、データのかたより具合のことを指し、それぞれのデータが平均値から、どのくらい離れているかを表しています。
この定義でわかるように、

偏差=データの数値-平均値

で求められます。

偏差では、プラスの値とマイナスの値が出てくるので、そのまま、それぞれのデータの偏差を足していくと0になってしまい、あとの計算がやりづらいことがあります。
必ずプラスになるように、それぞれの偏差を2乗して、その平均値を出した物を分散といいます。

分散=それぞれの偏差を2乗した値の合計÷データの数

分散は、データのちらばり具合を表していて、数値が大きいほど、平均値から離れたデータが多く、散らばっていると言えます。

分散を求める際に2乗したから、元のデータとはその数を表す大きさが違ってしまいます。
元に戻すために分散の平方根を取ったのが標準偏差です。

標準偏差も分散と同じように、データのちらばり具合を表していて、数値が大きいほど、平均値から離れたデータが多く、散らばっていると言えます。

位置を表す偏差値

データをグラフで表したときに、左右に対称な正規分布グラフになっていれば、次のようなことが言えます。

正規分布グラフの図

偏差値が80だと、全体の中の上位0.1%に入ります。これがテストなら天才ですね。
偏差値が70だと、全体の中の上位2%に入ります。これがテストなら秀才ですね。
偏差値が60だと、全体の中の上位16%に入ります。これがテストならかなり成績優秀ですね。
偏差値が50だと、ちょうど平均です。
偏差値が40だと、全体の中の下位16%に入ります。
偏差値が30だと、全体の中の下位2%に入ります。
偏差値が20だと、全体の中の下位0.1%に入ります。

受験する人が多いテストだと、正規分布グラフになることが多いです。
そのため、1万人が受験したテストで偏差値が80だと
10000×0.001=10
つまり上位10位ぐらいの成績です。

偏差値が70だと、
10000×0.02=200
上位200位ぐらいの成績だったわけです。

偏差値が60だと、
10000×0.16=1600
上位1600位ぐらいの成績だったわけです。

この偏差値を使えば、全体の中で、どの程度の位置にいるかが簡単にわかるのです。

偏差値に0はない

偏差値に60点と単位をつけるのは間違いです。偏差値の単位は点ではありません。
偏差値は、例えテストの点数が0点でも0になることはありません。20~25ぐらいになります。
逆に100点を取っても、100になることはなく、75~80ぐらいになります。

偏差値を求めてみよう

学生時代は計算された偏差値しか見ていないと思いますが、自分で計算することもできます。
簡単な例でやってみましょう。

問題

10点満点のテストの10人の結果は次の通りでした。9点を取ったAさんの偏差値を求めましょう。
9点、8点、5点、6点、3点、4点、3点、10点、7点、5点

考え方

まず、平均値を求めると、
(9+8+5+6+3+4+3+10+7+5)÷10
=6(点)

分散は、
((9-6)2+(8-6)2+(5-6)2+(6-6)2+(3-6)2+(4-6)2+(3-6)2+(10-6)2+(7-6)2+(5-6)2)÷10
=(9+4+1+0+9+4+9+16+1+1)÷10
=5.4

標準偏差は、
√5.4=2.3

偏差値は、
=(9-6)/2.3×10+50
=63

答え

63


次回は、確率について考えましょう。

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求めた偏差値をどう読み取る!?

データの要約の図

これまで偏差値・標準偏差の求め方をお伝えしました。

ただ、難しい数式を自分の手で計算して、偏差値・標準偏差を出す必要性を感じる人はあまりいないのではないでしょうか。なぜなら、今はすべてコンピュータが難しい計算をしてくれるからです。

しかし、コンピュータがしてくれるのは計算までで、その結果を見てどう判断するかは私たち人間になります。ここに私たちが統計学を学ぶ意味があるのです。

偏差値が高い・低いとはどういうことか。
標準偏差が大きい・小さいとはどういうことか。

導き出したデータを使いこなすために、統計学を学んでみましょう!

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