倍数を使った頭のトレーニング｜数学おもしろコラム

数学・数字に関する面白い話や、役に立つ話をお伝えしている「数学おもしろコラム」の第5回です。

第4回では、“ある数が何の倍数か”の判定法を紹介しました。
今日は、倍数を使った頭のトレーニングです。
中学入試にもよく出る問題なので、チャレンジしてみましょう。
第1問は、ウォーミングアップ問題です。

問題1

1から100までの整数の中に、2の倍数と3の倍数は、あわせて何個ありますか。

問題1の考え方

2の倍数
2の倍数は、2，4，6，8，…，100なので、
全部で 100÷2＝50（個）あります。

3の倍数
3の倍数は、3，6，9，12，…，99なので、全部で
100÷3＝33あまり1より、33個あります。

6の倍数
ただし、6は2の倍数でもあり、3の倍数でもあるから、6という整数は1つしかないのに、2の倍数としても3の倍数としても数えています。
そのため、6の倍数は1回だけ数える必要があります。
6の倍数は、6，12，18，…，96なので、全部で
100÷6＝16あまり4より、16個あります。

問題1の答

答：67個
50＋33－16＝67（個）

倍数の個数の求め方は理解できましたか。
では、第2問です。
かなり難しくなりますが、チャレンジしてみてください。
このレベルの問題も中学入試で出題されます。

問題2

1から200までの整数を、すべてかけ合わせたとき、答には0はいくつ並びますか。

問題2の考え方

10がいくつ？

全部かけていったら答を求められますが、たいへんですね。
では、どう考えたらいいのでしょうか。

10が1個あれば、0が1つ並びます。
10×10＝100なので、10が2個あれば0が2つ並びます。
よって、1から200までの整数を、すべてかけ合わせたとき、10がいくつあるかを調べればよいのですね。
つまり、10＝2×5なので、2と5のセットがいくつあるかを調べればよいのです。

2と5どちらが少ない？

両方を調べてもいいのですが、どちらか少ないほうの数を調べるだけでもいいです。
例えば、2が200あっても、5が100しかなければ、2と5がセットになった10は100しかできないからです。

それでは、どちらが少ないでしょうか。
10まで考えると、2が含まれるのは、2，4，6，8，10の数字で、4には2個、8には3個含まれるから、全部で8個です。
5が含まれるのは、5，10の2個しかなく、あきらかに5のほうが少ないです。

よって、1から200までの整数の中に含まれる5の数を調べれば、1から200までの整数を、すべてかけ合わせたときの0の数を求めることができます。

1から200までの整数に含まれる5の個数

・5の倍数
　200÷5＝40より、5の倍数は40個あります。
・25の倍数  
　200÷25＝8より、25の倍数は8個あります。
・125の倍数 　
　200÷125＝1あまり75より、125の倍数は1個あります。

25＝5×5より25には5が2つ、125＝5×5×5より125には5が3つ含まれています。

注意するのは、25の倍数は5の倍数であるので、5の倍数として1回数えています。125は5の倍数でも、25の倍数でもあるから、5の倍数で1回、25の倍数でも1回数えています。
そのため、25の倍数では5を1回、125の倍数でも、5を1回数えればよいのです。

よって、1から200までの整数に含まれる5の個数は全部で、40＋8＋1＝49個です。

問題2の答

49個
1から200までの整数を、すべてかけ合わせたとき、答に5の個数と同じ49個の0が並びます。

ちなみに、1から200までの整数に含まれる2の個数は、次のように197個もあります。

200÷2＝100 　
200÷4＝50 　
200÷8＝25 　
200÷16＝12あまり8 　
200÷32＝6あまり8 　
200÷64＝3あまり8 　
200÷128＝1あまり72 　
100＋50＋25＋12＋6＋3＋1＝197

倍数はいろいろな場面で使うことができます。どんな場面で使えるか考えてみましょう。

第6回は図形の問題です。

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