数学・数字に関する面白い話や、役に立つ話をお伝えしている「数学おもしろコラム」の第3回です。
今日は、数学と理科の考えを使って、世界の海に匹敵するコップの中の世界を見てみます。
ちょっと難しいですが、驚きの世界をのぞいてみましょう。
コップ1杯の水を用意します。
この水の分子に印をつけて、世界中の海にばらまくとします。
世界中の海に均等に広がったときに、目の前の海からコップ1杯の海水をすくいます。
この中に、最初にばらまいた水は含まれているでしょうか?
たったコップ1杯の水を世界中の海に広げたのだから、目の前の海からすくった、たったコップ1杯の海水に、元の水が含まれているわけはないと思う方が多いのではないでしょうか。
私もそう思いました。
では、数学と理科を使って計算してみましょう。
コップ1杯の水に含まれる水の分子数
モル
分子数を計算するのに活躍するのが、高校で学習するモル(mol)です。
モルとは、物質の量を表す単位です。
原子の質量数(※)にgをつけた量に含まれている物質の量を1モルと決めています。
そして、1モルの分子量には、6.0×1023(個)の分子が含まれていることがわかっています。
※質量数とは、その原子に含まれる陽子の数と中性子の数の和です。
例えば、水素(H)なら1、ヘリウム(He)なら4、炭素(C)なら12、酸素(O)なら16です。
水の分子の個数
水の分子はH2Oで表されます。
H(水素)の質量数は1で、O(酸素)の質量数は16なので、水の質量数は、
1×2+16=18です。
18gの水に含まれる分子の個数は、6.0×1023(個)です。
コップ1杯の水に含まれる水の分子の個数
コップ1杯の水は約180mLつまり180gです。
コップ1杯の水に含まれる水の分子の個数は、6.0×1023×10=6.0×1024(個)です。 6.0×1024とは6000000000000000000000000です。
あまりに大きすぎて、実感がわきませんね。
世界中の海水の量
世界中の海水の量
世界中の海水の量については、
(海と船なるほど豆辞典によれば) およそ13億5000万km3になります。
mLとkm3
単位の関係は小学校の算数で学習しましたね。
1mL=1cm3
1m3=1mL×100×100×100=1×106(mL)
1km3=1m3×1000×1000×1000=1×109(m3)
1km3=1mL×106×109=1×1015(mL)
世界中の海水の量をmLで表すと
13億5000万=1350000000=1.35×109
13億5000万km3=1.35×109×1015=1.35×1024(mL)
コップ1杯の水を世界中の海水に広げると
コップ1杯の水は180mLなので、世界中の海水に均等に広げると
(1.35×1024)÷180=7.5×1021(倍)に広げたことになります。
目の前の海水1杯に含まれる分子数は
コップ1杯の水に含まれる水の分子数は6.02×1024(個)だったので、これが7.5×1021(倍)に薄まったとき、目の前の海水のコップ1杯に含まれる分子数は、
(6.0×1024)÷(7.5×1021)=800(個)です。
コップ1杯の水を世界中の海にばらまき、均等に広げたあと、目の前の海からコップ1杯の海水をすくったとき、最初にばらまいた水の分子は800個も含まれているのです。
たったコップに1杯の水に、いかに多くの水の分子が含まれているかをわかっていただけたことと思います。
たったコップ1杯の水には6.0×1024(個)ものばくだいな数の水の分子が含まれています。
あなたが飲もうとしているコップの水には、平安時代の紫式部が流した涙に含まれていた水の分子が混じっているかもしれません。
また、数百万年前に南極大陸に降った雪が氷床となり、数十万年かけて海に押し出され、融けて海水となった水の分子が含まれているかもしれませんね。
次回は、倍数の判定法についてのお話です。
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