数学・数字に関する面白い話や、役に立つ話をお伝えしている「数学おもしろコラム」の第9回です。
今日は、統計学と非常に近い確率について、ご紹介します。
確率は、日常生活でもよく使いますね。
起こりやすさを表す確率
確率とは、ある事柄の起こりやすさを表しています。
表と裏の出やすさが同じなら、コインを投げたときに、表も裏も出る確率は1/2ですね。
すべての面の出やすさが同じなら、サイコロを投げたときにそれぞれの数が出る確率はそれぞれ1/6です。
実は、統計と確率とは非常に関係が深いのです。
統計はデータの全体を表現するのに対して、確率はデータよりその中の1つの起こりやすさを表しています。
統計学は国勢調査の分析をもとに研究が進みましたが、確率についてはギャンブルでの勝ち方の研究をもとに進みました。
とはいえ、確率が重要なのはギャンブルだけではありません。天気予報の降水確率など日常生活でも使います。
また、ビジネスでもさまざまな様々な場面で使います。保険では、その事故が起こる確率を調査し、求めて、かける保険料を決めています。
確率の2つの求め方
確率には、2つの考え方があります。
1つは、数学的確率です。
コインを投げたときに、表と裏の出やすさが同じなので、表の出る確率は1/2だと考えることです。
もう1つは、統計的確率です。
実際にコインを投げて調べて求める確率です。
投げる回数が少なければ、1/2とは大きく異なる値となることも多いです。
しかし、数百回と投げ、回数を増やしていけば、1/2に近づいていきます。
何度も実験・調査して、その値から確率を求めるのが、統計的確率です。
確率の値は0から1
確率とは、ある事柄の起こりやすさを表していて、いつも起こるときは1となります。
まったく起こらないときは0となり、必ず0から1の値になります。
ある事柄が起こらない確率を余事象といいます。
余事象は、1から、ある事柄が起こる確率を引くと求められます。
例えば、サイコロで1の目が出る確率は1/6なので、1の目が出ない確率は、
1 - 1/6 = 5/6
です。
もらえる金額を予想できる期待値
確率はギャンブルをもとに研究が進んだのですが、期待値もギャンブルに関係します。
期待値とは、あることを行ったとき、その結果として得られると予想される数値の平均です。
例えば、100本のくじがあり、1本ある大当たりをひくと1000円、20本ある当たりを引くと100円もらえるとします。
大当たりを引く確率は、1/100で、1000円もらえます。
当たりを引く確率は、20/100=1/5で、200円もらえます。
はずれを引く確率は、79/100で、何ももらえません。
よって、くじを1本引いたときに、お金をもらえると予想される平均額は
1000×1/100+200×1/5+0×79/100
=10+40
=50(円)
です。
よって、くじを1回引く代金が50円なら、損も得もしない可能性が高いが、50円より高ければ損をし、50円より安ければ得をする可能性が高いのです。
宝くじ、競馬、カジノなどのギャンブルは、開催している人が儲かるように、必ずかける金額より、期待値は低くなっています。
宝くじでは買った金額の45%~50%が当選金として戻り、競馬や競輪では75%、パチンコでは55~100%と言われています。
ギャンブルを続ければ、損をすることが数学的にも明らかです。
確率の問題
最後に確率の問題です。
問題
10人の友達の中に同じ誕生日の人がいる確率はいくつでしょうか。
考え方
1年は365日とすると、10人全員の誕生日の起こり方は、
365×365×365×365×365×…×365
=36510
です。
10人全員の誕生日がすべて異なる場合を考えます。
1人目の誕生がある日とすると、2人目の誕生日は残りの 365-1=364(日)です。
3人目の誕生日は残りの 365-2=363(日)、
4人目の誕生日は残りの 365-3=362(日)、…
です。
よって、全部で、
365×364×363×362×…×356
これより、10人全員の誕生日がすべて異なる確率は
(365×364×363×362×…×356)÷36510=0.8830…
となります。
よって、少なくとも2人が同じ誕生日である確率は、余事象になり、
1-0.8830=0.117
となります。
20人では0.411、30人では0.706、40人では0.891となり、40人のクラスで同じ誕生日の人がいる確率は9割近くにもなります。
365日もあるので、40人のクラスに同じ誕生日の人がいる可能性は低そうに思いますが、意外に高いのです。
第2回に考えたモンティ・ホール問題やこの誕生日など、直感と実際の確率が異なることも少なくありません。
直感だけでなく、数学を使って計算することが大切ですね。
次回は、確率と集団調査について考えましょう。
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