この連載「家の賃貸・購入時にあると得する宅建の知識」 では、2012年に不動産業界へ就職し2015年に宅建士の資格を取得、その後マイホーム購入も行った筆者が、宅建士の資格の魅力を3回に分けてお伝えしています。
前回は、宅建士の資格が、仕事面だけでなく不動産の賃貸やマイホーム購入に役立つことや、宅建士の資格の概要などを解説しました。
第2回となる今回は、宅建士の資格が賃貸で家を借りる際にどのように役立つかについて、より具体的にご説明していきます。
不動産を賃貸で借りる際に失敗しないための対策や、知らなかった場合に起こりえる失敗についても解説します。ぜひ最後までご覧ください。
宅建士の知識は賃貸物件を借りる時にも役立つ
宅建士の資格勉強で身に付けた不動産の知識は、アパートやマンションなどの不動産を賃貸で借りる際にも非常に役立ちます。
例えば、重要科目である宅建業法の知識は良い不動産会社を選ぶ時に役立ちますし、民法の知識は不動産に関するトラブルが起きた際に役立ちます。
…と、こう言われてもよくわからないかと思いますので、具体例を挙げながらわかりやすく解説していきますね。
今回は、アパートなどの賃貸住宅を借りる時に特に役立つ宅建士の知識を、入居時・入居中・退去時の3つに分けて順番に解説していきます。
入居時に役立つ宅建士の知識
宅建士で学ぶ宅建業法では、不動産仲介会社がやってはならない事項が定められています。これを知っていると良い不動産仲介会社を選べ、かつ初期費用を抑えることが可能です。
良い不動産会社を選べる
賃貸住宅を選ぶ際やマイホーム購入の際、まずはアプリやネットで気になる物件を検索し、そこで紹介されている不動産仲介会社に物件を内覧させてもらう人が多いのではないでしょうか。
例えばこんなことがあれば、そこは悪徳な不動産仲介会社かもしれません。
・広告している物件に問い合わせたのに「既に借主が決まってしまった」と言われ違う物件を紹介された
・一度問い合わせただけなのに、電話で何度も勧誘してくる
・賃貸契約を締結する前に、宅建士による重要事項説明がない
これらはいずれも宅建業法違反であり、このような対応を行う不動産仲介会社は選ばないほうが良いでしょう。
宅建士の知識があれば、賃貸の物件探しの際だけでなくマイホーム購入の時でも、不動産仲介会社のグレーな対応をしっかりと見抜くことができ、悪徳な会社を避けられます。
賃貸にかかる手数料を抑えられる
宅建業法では、マイホーム購入や賃貸住宅の仲介時に宅建業者が受け取る「報酬額の上限」が定められています。
賃貸契約に関する手数料の上限は、総額で「家賃の1ヵ月分+消費税」ですが、この金額より安く設定可能で、実際に低めに設定している不動産仲介会社があります。
筆者はこれを知っていたので、賃貸住宅を借りる際に「手数料0.5ヵ月分」と宣伝している会社を選び、初期費用を抑えることに成功しました。
しかしこの事実を知らないと、『家賃の1ヵ月分+消費税』が相場だと信じて、低い手数料の会社を探さず、損をする可能性があるでしょう。
最近はアプリやネットでも手数料が明記されているので、1ヵ月分より安い手数料を設定しているところを選べば、賢く契約できます。この記事を読んだ皆さんは、ぜひ実践してくださいね。
入居中に役立つ宅建士の知識
宅建士の資格勉強では、所有権や賃借権など、不動産の権利に関する幅広い内容を学べます。
例えば、入居している賃貸住宅に備え付けられているエアコンが経年劣化などで自然に壊れた場合、誰が修理しなければならないのかご存じでしょうか。
答えは、大家です。
大家は、入居者から賃料を収受する代わりに、賃貸の目的物である部屋やそこに備え付けられたエアコンを、通常通り利用できるようにする義務を負っています。
入居者が誤って壊したなどの事情でない限り、大家に修繕する義務がありますので、不動産会社を通して依頼するようにしましょう。
知識がなければ、本来しなくてもよい修理を自分でしてしまい、損をする可能性があります。
他にも、大家から急に退去しろという要請が来ることもあるかもしれません。
この場合、入居者は借地借家法という法律で保護されているため、大家の要請のままに従う必要はありません。
賃貸人が中途解約や契約満了における更新拒絶を行うためには、1年から6ヵ月前までの間にその通知をし、なおかつその理由が第三者から見ても妥当と考えられる「正当事由」が必要となります。もちろん、入居者が家賃を滞納していたなど、様々な規約違反をしていた事実を証明されれば話は別です。
しかし、基本的には入居者に有利な法律があり、こういった知っておきたい法律も宅建士の資格勉強で深く学べます。
退去時に役立つ宅建士の知識
賃貸住宅を退去するときにも、宅建士で得られた知識が役立ちます。
賃貸住宅を退去する際、入居者は契約に伴い、物件を借りた元の状態に戻す義務があります(この義務を「原状回復義務」と言います)。
こう聞くと、物件を綺麗にするための費用は全て入居者が負担しなくてはならないように感じるかもしれません。
しかし法律上、通常使用の範囲の経年劣化については、大家が費用を負担しなければならないという一般原則があり、入居者の費用負担は限られています。
例えば壁のクロス一つとっても、日照などの自然現象によるクロスの変色や画鋲の穴は、通常使用の範囲として大家が負担すべき内容です。
もし、思い当たる箇所がないにも関わらず修繕費用が敷金から差し引かれている場合は、その内訳をしっかり確認するようにしましょう。
そして、万が一その中に大家が負担すべき内容が含まれていた場合は、直ちに返金を要請しましょう。
宅建士資格の勉強によって不動産知識を身に付けておけば、本来自分でしなくてよい原状回復を回避し、余計な費用を出さずに済みます。
知らなければ損をしてしまうのが不動産の世界です。宅建士の知識は一生残るものですので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回は、賃貸で家を借りる際に知っておいて損はない宅建士の知識について、筆者の体験や一例を交えつつ解説しました。
宅建士の資格では、不動産仲介会社が守らなければならない宅建業法や、不動産関連の民法を学びます。
これらの知識を身に付けると、良い不動産仲介会社を選べるだけでなく、請求された費用が本当に必要なものかどうかを判断したり、トラブルを未然に防いだりできます。
持っておいて損はない…と言うより、もしかしたら持っていなかったら損をするかも…。そんな宅建士の資格、興味がわいた人はぜひ資格についても調べてみてくださいね。
次回、最後となる第3回は「マイホーム購入の際に知っておいて損はない宅建の知識」をお届けします。
賃貸より多額の費用がかかるマイホーム購入。誰しもが失敗したくないと思う、人生のうちのとても大きな買い物です。
知らなかった場合に起こりえる失敗や対策についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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