皆さんは就職・転職を行う際、どのような基準から企業を選んでいますか?企業選びには給与、勤務時間、業務のやりがいなど様々な観点がありますが、就職・転職する企業の経営状況も気になりますよね。
実は、決算書を見ることによって、就職・転職前にその企業の経営状況・財政状態が理解できるのです。
そこで今回は、決算書から会社の経営判断の基本が読み取れるよう、決算書の基本知識について初心者にもわかりやすく解説していきます。
決算書とは
決算書とは、法人税などの法律によって定められている会計に関する書類です。
決算書は複数の書類から成り立っているのですが、書類の中身については法律によって異なります。
名称 |
財務諸表 |
計算書類 |
---|---|---|
法律 |
金融商品取引法 |
会社法 |
提出書類 |
・貸借対照表 |
・貸借対照表 ・損益計算書 ・株主資本等変動計算書 ・個別注記表 |
株式会社であれば、計算書類を作成することが会社法によって義務付けられています。
しかし、金融商品取引法で定めている財務諸表の作成義務は、上場企業に限ります。
財務諸表の中でも、決算書として代表的なものは「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」という、「財務三表」と呼ばれる書類です。
しかし、多くの企業では決算書を公開していません。特に中小企業であれば、決算書を見ることは難しいでしょう。
会社法では「株主及び債権者」といった企業に関係のある人であれば決算書公開義務を定めていますが、それ以外からの請求であれば決算書を開示するか否かは経営者の判断に委ねられます。
決算書は、株主への業績報告、金融機関からの融資審査、法人税の確定申告などの場面で活用されています。
財務三表とは
財務三表とは、決算書の中でも代表的な3種類の書類「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」のことをいいましたね。
この3つの書類の概要について解説しましょう。
損益計算書
損益計算書とは、企業の会計期間内における売上やかかった費用、利益が記された書類です。「P/L」(Profit&Loss Statementの略称)と呼ばれることもあります。
損益計算書の内容を大まかに説明すると、当期の売上高(収益)から売上原価(費用)を差し引き、その他の収益や費用を計算して最終的な利益である「当期純利益」が計算されています。
例えば就職・転職のために会社説明会に参加して社員の方から「弊社は年々売上を拡大しています」と説明していたとしましょう。
しかし損益計算書を見ると「たしかに売上総利益は拡大しているけれど、営業利益も拡大しているわけではない」ということが読み取れるかもしれません。
貸借対照表
貸借対照表は、簡単に言えば「会社の財産について記した書類」です。
貸借対照表から、「この会社は総資産に占める自己資本比率が低いから、経営状態が危ないかもしれない」などと判断することができます。
貸借対照表は下記のように、表の左側と右側の合計が最終的にぴったり合うように作られています。ですから、貸借対照表のことを「B/S」(バランスシートの略称)と呼ぶこともあります。
資産 |
負債 |
---|---|
純資産 |
|
合計:〇〇 |
合計:〇〇 |
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書を初心者にもわかりやすく言うと、「会社の現金の流れがわかる書類」です。キャッシュフロー計算書を略して「C/F」と呼ぶこともあります。
キャッシュフロー計算書からは、会社のある会計期間の中で、現金(キャッシュ)が期首にどのくらいあって、どのように増減し、最終的に期末にいくら残っているのかということを読み取ることができます。
会社では売掛金や買掛金での取引を行っていると、売上代金の回収や買掛金の実際の支払いにタイムラグが発生します。そのため、十分な収益があって黒字経営であるのに、資金不足に陥ってしまうことがあるのです。
かつて東芝が粉飾決算をして問題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。東芝は数年間、フリーキャッシュフロー(会社が自由に使える現金)がマイナスとなっていた時期がありました。こうした厳しい局面で粉飾決算があったのです。
キャッシュフロー計算書からは、こうした会社のリスクを読み取ることができます。
次回以降では、これら財務三表の具体的な見方について、会計初心者にもわかりやすいように解説していきます。
決算書を作成するために必要な「簿記」の知識
決算書を作成するためには、簿記の知識が必要不可欠です。
決算書を読み解く際にも、簿記の知識があった方が理解しやすいでしょう。簿記を学ぶことによって、決算書の中で登場する各種の勘定科目などの用語を覚えることができるからです。
経理担当だけでなく営業担当の方なども、簿記の知識を持って決算書の基本的な見方を覚えておくことで、取引先の経営状況がわかるようになりますよ。
会計初心者の方で興味のある方はぜひ、簿記の勉強にチャレンジしてみてください。
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会計初心者の中には「決算書って専門の人でないと理解できないのでは」と苦手意識を持つ方がいるかもしれません。
ですが、今回の連載では初心者の方にも決算書の基本的な見方がわかるよう解説しますので、ぜひ引き続きご覧ください。
次回は、財務三表の1つ、損益計算書の見方について解説します。
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