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キャッシュフロー計算書で会社の現況がわかる?初心者もわかる決算書の見方

キャッシュフロー計算書で会社の現況がわかる?初心者もわかる決算書の見方

就職・転職活動をしていると、企業の経営における現況も気になりますよね。

連載「就職前に経営判断ができる!?決算書の見方」、前回は、貸借対照表の見方について解説しました。貸借対照表とは、決算書(法律で定められている、会計に関する書類)の1つで、見ると企業の財政状況がわかるものでしたね。

決算書類の1つである「キャッシュフロー計算書」からは、会社の現金の流れを読み取ることができます。
キャッシュフロー計算書は、第2回で解説した損益計算書、第3回で解説した貸借対照表と合わせて「財務三表」と呼ばれています。
財務三表はそれぞれ密接に関係していますので、財務三表を読み取れば、企業の経営状況が理解できるでしょう。

今回は、キャッシュフロー計算書の具体的な見方と、決算書類である財務三表それぞれの関係性について、初心者にもわかりやすいように解説します。

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現金の流れがわかる決算書類

キャッシュフロー計算書は、会計期間の期首にいくら現金(キャッシュ)があり、どのような増減をして最終的に期末でいくら現金が残っているのかということを表しています。

キャッシュフロー計算書で見るべきポイントは3つ。
初心者にもわかりやすいように、フリマアプリ「メルカリ」で有名な株式会社メルカリのキャッシュフロー計算書を例にして解説しましょう。

上場企業の場合、企業サイトの中に「株主・投資家」へ向けたページが設けられていて株主・投資家向けに業績がわかるよう様々な資料が公開されています。その中に、財務諸表が公開されていることがあります。

気になる企業がありましたら、ぜひ企業サイトを確認してみてくださいね。

現金の流れがわかる決算書類

①営業活動によるキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書のエリア①では、会社が本業の事業で生み出しているキャッシュの状況がわかります。

営業キャッシュフローがプラスであれば、本業が順調であるといえるでしょう。逆にマイナスであれば、本業の事業が資金を消費してしまっているということ。

上記の例のエリア①、1番下にある項目「営業活動によるキャッシュ・フロー」を見てみましょう。2016~2017年はプラスですが、2018年はマイナスに転じています。
マイナスの場合は、企業の成長のため一時的に先行投資をしてマイナスとなっているのか、業績が悪いからマイナスとなっているのか判断する必要があります。

仮に、損益計算書でも赤字、営業活動のキャッシュフローもマイナスという状況が何年も続いていると、業績の悪い状況が続いているといえるでしょう。

②投資活動によるキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書のエリア②では、営業活動を行うために必要な固定資産(建物・株式・債権など)の購入・売却を行ったときの流れが示されています。

設備の新調や新規出店用の建物の取得など、営業活動を行うためには支出が伴います。こうした将来への投資ができる余裕のある企業は、マイナスになっています。

プラスになっているときは、固定資産を売却してキャッシュが増えたときでしょう。

③財務活動によるキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書のエリア③では、主に借入金など、事業を行うために調達した資金の借入や返済について記されています。

プラスになっているときは、借入を行ったり出資を受けたりしているということ。会社が成長している過程で資金が必要となり、金融機関などから調達しているなどという場面でしょう。
逆にマイナスになっているときは、余剰金から借入金の返済をしたり、株主へ配当金を捻出したりしている場面。

財務活動によるキャッシュフロー単体での「プラス・マイナス」は一概に良い・悪いとは言えません。他の項目から会社の状況を読み取って判断することになります。

例えば、営業活動のキャッシュフローが何年もマイナスで業績が悪いのに、財務活動によるキャッシュフローもマイナスですと、事業資金が必要な局面なのに資金が調達できていない厳しい状況であることが読み取れます。

フリーキャッシュフローが重要

フリーキャッシュフロー=営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフロー

営業活動を行うためには投資が不可欠です。ですから、営業活動に投資活動を加えることによって、会社がフリー(自由)に使用できるキャッシュがわかるのです。

上記の株式会社メルカリでいえば、フリーキャッシュフローが2016~2017年はプラスですが、2018年はマイナス。借入をしたり、他のキャッシュフローを見直したりするなど改善が必要となるでしょう。

たくさん利益を生み出していたとしても、現在自由に使えるお金が会社になければ資金繰りに困ってしまい、この状況が続けば「利益を生み出しているのに直近の支払いに対応できずに倒産」ということもあり得るのです。

キャッシュフロー計算書からは、こうした現在の現金状況について把握することができます。

密接に関係する決算書類「財務三表」

ここまでの連載で、決算書類である財務三表の具体的な見方を解説しました。
会計初心者の方には耳慣れない用語が多かったかもしれません。実は、これまで見た財務三表はそれぞれが密接に関係し、繋がっているのです。

損益計算書では経営成績、貸借対照表では資金の運用状況、キャッシュフロー計算書では現金(キャッシュ)の流れを知ることができると説明しました。

損益計算書から出された「当期純利益」は、貸借対照表の純資産「利益余剰金」に含まれます。したがって、貸借対照表だけではわからなかった純資産の増減の中身が、損益計算書を見ると読み取ることができるのです。

また、キャッシュフロー計算書の現金期末残高と、期末における貸借対照表の現金は一致します。貸借対照表では現金がどのように増減しているのかわかりませんが、キャッシュフロー計算書を確認することによって現金の流れがわかるのです。

以上を踏まえると、会計初心者の方も財務三表をすべて見ることによって、

「黒字経営なのにフリーキャッシュフローがマイナスということは、十分な利益を生み出しているのにも関わらず、売掛金や未収入金の回収が遅れていて実際に手元にあるキャッシュが少ないということ。
会社が自由に使えるキャッシュが少ないけれど、会社の運営資金は確保できているのだろうか。」

などと、会社の経営状況を把握することができるでしょう。

連載第2回~第4回で、決算書類のうち、財務三表について解説しました。
会計初心者の方も実際の企業の決算書類を目にすることで、読み取れることがあるでしょう。上場企業などで決算書類を公開している企業であれば、就職・転職前に確認することで企業選びの視点が広がりますよ。

このように誰でも、簿記の知識を持って決算書の基本的な見方を覚えておくことで、就職先や取引先の財政状況がわかるようになります。
興味のある方はぜひ、簿記の勉強にチャレンジしてみてください。

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次回は、複数の会社の決算書類を例に挙げて比較し、違いについて解説します。

参考URL
https://about.mercari.com/ir/library/cf/

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