こんにちは!
前回は「行政書士試験の勉強の楽しさ」や「行政書士実務のやりがい」について、経験者ならではの意見をお話ししました。
さて連載「こんなにやりがいあり!行政書士の世界」4回目となる今回は、資格を取得した後の「就職状況」と「今後の見通し」について具体的に説明したいと思います。
勉強のモチベーションアップはもちろん、人生設計にも大きく影響しそうなこのテーマ。行政書士を目指す方にとっては気になりますよね。
それではさっそく、はじめましょう!
試験の合格と行政書士としての就職は「別物」
行政書士試験に合格したからといって、自動的に行政書士になれるわけではありません。実際に行政書士として就職するには、まずは行政書士会への登録手続きが必要です。
登録にかかる費用や会費は都道府県ごとに違いますが、少なくとも登録時20万〜30万円程度は必要です。実際問題、ここがネックで登録できない人も少なくありません。
そういうわけで、試験の合格と行政書士として就職することとは、まったく別の話です。
一例として、平成27年度の合格者数と翌年の登録者数のデータを比べてみましょう。
- 合格者数(H.27)※1:5,820人
- 登録者数(H.28)※2:2,526人
※1 一般財団法人行政書士試験研究センターホームページより
※2 総務省ホームページより
行政書士試験の合格者数に対して、行政書士の登録者数は約半数です。
といっても、合格の数年後に就職する人もいますし、試験なしで資格が発生する人(一部の元公務員)もいるので、実際の割合は半数以下でしょう。
ただ、行政書士として就職(登録)するかどうかは最終的に本人次第。絶対に行政書士になるんだという強い意志があれば、行政書士は決して狭い門ではありませんよ!
意外とバリエーション豊富?行政書士の勤務形態
次に、行政書士としての勤務形態に注目しましょう。
実は行政書士という職業には、いくつかの種類があります。今後の就職のためにも、まずは基本を押さえておきましょう。
独立開業
自分で事務所を構える形態です。
もちろん「事務所」といっても、自宅事務所や単独の事務所、他の行政書士や他士業との共同事務所などいろいろなスタイルがあります。
行政書士法人の社員
他の行政書士と一緒に「行政書士法人」を結成する形態です。
それぞれの行政書士は「社員」という身分ですが、対外的には全員が法人の代表として業務を行います。
使用人行政書士
行政書士事務所や行政書士法人に、行政書士として雇われる形態です。
事務所(法人)を代表するわけではないので、サラリーマンに近いスタイルと言えそうです。
おまけ:補助者
登録をせずに他の事務所や法人に雇われる形態です。
資格が必要な業務はできませんが、登録手続きや費用は不要なので、とりあえず経験を積みたい方などにぴったりです。
このように、行政書士の勤務形態は意外とバリエーション豊かです。ちなみに圧倒的に多いのは1番目の「独立開業」。皆さんなら、どの働き方を選びますか?
仕事は増える?やっぱり気になる行政書士の将来性
最後のテーマは、行政書士の今後についてです。これから目指す職業に将来性があるかどうかは、やっぱり気になりますよね。
ここ数年、クラウドサービスやAI(人工知能)の発展によって「専門知識がなくても個人が簡単に書類を作成できるサービス」が登場しています。
たとえば「税務書類作成」「人事労務管理」「会社設立書類作成」などを、特別な知識なしで(しかも低価格で!)行えるサービスがすでに登場しています。
書類作成がメインの士業にとって、確かにこれは危機的な状況と言えるかもしれません。「10年後に消える職業」といった特集で士業が取り上げられるのも無理ありません。
ただ、行政書士の最大の強みは業務の幅の圧倒的な広さです。
何千種類の書類作成業務すべてがAIに置き換わるには相当時間がかかるでしょうし、専門知識を活かした「相談業務」などは、どんなにAIが発達しても残り続けるでしょう。
加えて、ここ数年だけでも「ドローン」「民泊」など新しいジャンルの業務が発生しています(今後もこの傾向は続くと思います)。
好奇心と新しい分野へのチャレンジ精神さえあれば、今後いくらでも業務を開拓できるのが行政書士という仕事です!
今回は、資格取得後の「就職状況」と「今後の見通し」についてお話ししました。行政書士になりたいという思いが、いっそう強くなったのではないでしょうか。
次回はいよいよ最終回。特に働きながら試験合格を目指している方に向けて、合格に必要な勉強時間や勉強のコツについて、私自身の体験をふまえてお話しします。どうぞお楽しみに!
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