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給与明細の「健康保険」どう計算するの?|いまさら聞けない給与明細のキホン(5)

給与明細の「健康保険」どう計算するの?|いまさら聞けない給与明細のキホン(5)

連載「いまさら聞けない給与明細のキホン」では、給与明細上の項目について会社員が知っておくべき基礎知識をご説明しています。
最終回の今回は「健康保険」についてです。

健康保険については、会社員でなくても名前を知っていることでしょう。子どもの頃からずっと、健康保険にはお世話になっていますよね。

病院で治療を受けるとき、健康保険証を見せますね。治療費を全額自己負担しなくても済むのは、健康保険のおかげなのです。

会社員になると、自分で健康保険に加入することになります。「大人になった!」という気がしませんか? (当然、健康保険料も自分で負担することになりますけどね…)

健康保険とは社会保険のひとつ

健康保険とは、社会保険のひとつです。

社会保険とは、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の総称です。
いっぽう狭い意味では、健康保険・介護保険・厚生年金保険を指します。

社会保険

加入条件を満たした労働者は、健康保険への加入が法律で義務づけられています。
フルタイムで働く会社員は加入条件を満たしていますので、健康保険に加入しなくてはいけません。

健康保険・介護保険は、ワンセットと考えてください。ただし介護保険に加入するのは、40歳になった月からです。
また健康保険・介護保険と厚生年金保険の加入条件は、おおむね同じです。

下記の給与明細サンプルをご覧ください。社会人2年目(23歳)の会社員を想定して作成してあります。

給与明細サンプル

「社保合計」欄に記載されているのは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の合計ですよね。要は、広い意味での「社会保険」料です。

一般的に給与明細の「社会保険料」欄には、上記の社会保険料の合計が記載されます。給与明細のフォーマットは会社によって様々ですが、この点は共通でしょう。

健康保険料はどのように計算されているのか?

では健康保険料がどのように計算されているのか、ご説明しましょう。

会社員は毎月、定額の健康保険料を給与から控除されます。
健康保険料を決めるとき使われるのが「標準報酬月額」です。標準報酬月額を「給与の総支給額の3ヵ月平均」と言い換えれば、わかりやすいかもしれませんね。

言葉でご説明するより、実際の「標準報酬月額表」をご覧いただくほうがいいでしょう。下記は2018年度、東京都の全国健康保険協会(協会けんぽ)の標準報酬月額表です。

標準報酬月額表

健康保険料は、会社と会社員が半額ずつ負担します。
先の給与明細サンプルでは、標準報酬月額を265,000円としていて、介護保険は未加入です。ですから、給与明細サンプルの「健康保険」は12,870円になります。

なお同じ協会けんぽでも都道府県によって標準報酬月額表が違いますので、くれぐれもご注意ください。

また、協会けんぽではなく、健康保険組合の健康保険に加入している会社員もいるでしょう。
健康保険組合では、独自の標準報酬月額表を使っています。健康保険料の負担についても、半額ずつではなく、会社が会社員より高い割合で負担していることもあります。

健康保険料の決定・見直しタイミングとは?

健康保険料は毎月、定額が給与から控除されるとお伝えしました。
では、長い会社員生活において、ずっと変わらないままなのでしょうか?

答えは「ノー」です。
健康保険料、厳密にいえば標準報酬月額の決定には、3種類あります。

1 資格取得時の決定

会社員となり健康保険に加入したときに行われる決定です。

入社したばかりなので、残業手当などの変動手当の金額が予測できません。そのため、基本給・資格手当などの固定的賃金から総支給額を計算し、標準報酬月額を決定します。

2 定時決定

1年に1回行われる、標準報酬月額の見直しです。
4~6月に会社員に支払われた給与の総支給額から標準報酬月額を計算し、新たな標準報酬月額を決定します。

ですので、4~6月の給与総支給額が残業等でいつも以上に増えてしまうと、標準報酬月額が上がる、つまり健康保険料が上がる可能性があるわけですね。

3 随時改定

基本給の増額や資格手当の減額など固定的賃金の変動があったときに行われる、標準報酬月額の見直しです。

固定的賃金が変動した月以後3ヵ月間に、支払われた給与の総支給額から標準報酬月額を計算し、新たな標準報酬月額を決定します。

健康保険は会社員の健康を支えるパートナー

給与明細を見て「健康保険料って、こんなに取られるの?」と、うんざりした会社員もいるかもしれません。

ですが健康保険は、会社員の健康をサポートしくれる保険です。病気になれば、健康だけでなく健康保険のありがたみにも気づくことでしょう。

給与明細の基礎知識について、全5回に渡りお送りしました。会社員のみなさんの一助になれば幸いです。

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