こんにちは。社労士のルパン4世と申します。
社会保険労務士(以下、社労士)の試験科目について、初学者の方向けにご案内しております。
最終回の今回は、国民年金法、厚生年金保険法についてです。
連載「社労士試験科目を初学者向けにご案内(全5回)」
国民年金法
法律の目的
「国民年金法」では、国民共通の基礎年金制度である国民年金について定めています。
国民年金の歴史
1986年4月1日に現在の国民年金法が施行され、基礎年金制度が導入されました。
このおかげで、老齢基礎年金の受給資格があれば、厚生年金や共済年金も、1ヶ月以上加入することでそれぞれから年金が出るようになります。
国民年金では、歴史を意識しておく必要があります。
年金の世界では現在の国民年金法を「新法」と、1986年4月1日より前の国民年金法を「旧法」と呼んでいます。
国民年金の概要
まずは、被保険者の種類、保険料納付済期間、保険料免除期間が出ます。
65歳からは、違う事由の年金を組みあわせて受給することができます。一例として、65歳からは障害基礎年金と老齢厚生年金を両方もらうことができます。
また、公的年金の給付事由は老齢、障害、死亡です。
保険給付
老齢基礎年金を受け取るためには、一定の受給資格期間が必要です。
ただ、旧法時代は任意加入の人や、適用除外の人もいたため、救済のため、合算対象期間を設けています。いわゆる「カラ期間」のことで、受給資格期間に入れるが、年金額には反映しない期間のことです。
障害については、国民年金では、1級・2級でないと障害基礎年金は受け取れません。それに対し、厚生年金では、1級から3級まで受け取れます。
障害年金で難しいのは、後で症状が重くなったり、別の症状が加わって等級が変わったり、認定される場合があることです。(これは、障害厚生年金も共通です。)
社会保険労務士の中には、障害年金を専門としている人もいるほどです。
遺族基礎年金については、「子のある配偶者」と「子」だけが受給権者です。
また、遺族系の給付には、寡婦年金と死亡一時金もあります。これは、遺族基礎年金をもらえない場合の掛け捨て防止の策です。
費用負担と国民年金基金
その後は、積立金の運用、費用負担に入り、最後に、国民年金基金の話になります。
試験科目としてのポイント
年金科目は、択一式で全体の約3割、選択式で全体の2割5分を占めます。厚生年金を勉強するにしても、国民年金が基礎となります。そういう意味では、しっかり押さえる必要のある試験科目です。
試験では、問題の掲載順は厚生年金保険法→国民年金法ですが、国民年金が土台となっていますので、実際には国民年金法から勉強することがほとんどです。
厚生年金保険法
法律の目的
「厚生年金保険」は、国民年金を土台とした2階部分にあたります。会社員や公務員が加入する厚生年金保険制度について定めています。
被用者年金一元化
厚生年金の最近のトピックと言えば、2015年10月1日の被用者年金一元化でしょう。今後は、共済組合からの年金も「厚生年金」の名前で受け取ることになります。
被保険者と保険料
まずは適用事業と被保険者について押さえます。こちらは、健康保険とは微妙な違いがあります。
次に、保険料の計算の基礎となる標準報酬月額と決定、改定の手続きについて押さえます。健康保険とは、共通点も相違点もあります。
保険給付
老齢厚生年金は、経過措置が設けられています。
現在は、65歳にならないと老齢基礎年金・老齢厚生年金は受け取れませんが、かつては、60歳で厚生年金から老齢年金が支給されていました。
そのため、現在、時間をかけて支給開始年齢を引き延ばしています。
次は、障害厚生年金です。
厚生年金は、国民年金とは違い、3級から受け取ることができます。
また、厚生年金では、障害手当金という一時金もあります。障害等級3級相当よりも程度の軽い、一定の障害が残ったときに受け取れます。
最後に、遺族厚生年金です。
受給権者は、配偶者と子だけではなく、父母、孫、祖父母もいるので、遺族厚生年金だけ受け取る場合もあります。
離婚分割
厚生年金には、離婚後に結婚していた期間の年金データを分割請求できるという制度があります。原則として、離婚して2年以内であれば分割請求が可能です。
費用負担と存続厚生年金基金
後は、国からの補助の割合、保険料の払い方など、お金に関することが出ます。
最後に、存続厚生年金基金があります。2014年4月1日以降は新たに厚生年金基金を作ることはできませんが、まだ存続している厚生年金基金のために規定が残っています。
試験科目としてのポイント
厚生年金保険法は、社会保険労務士試験の中では一番複雑な試験科目です。法改正も多いため、腰を据えて勉強する必要があります。
5回に渡って社労士の試験科目についてお話をしてきました。
覚えることが多い試験ではありますが、身近な法律が多いため役立つことも多いはずです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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