こんにちは。社労士のルパン4世と申します。
社会保険労務士(以下、社労士)の試験科目について、初学者の方向けにご案内しております。
第2回の今回は、労働安全衛生法と労働者災害補償保険法についてです。
連載「社労士試験科目を初学者向けにご案内(全5回)」
- 1.労働基準法
- 2.労働安全衛生法・労働者災害補償保険法
- 3.雇用保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 4.労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法
- 5.国民年金法、厚生年金保険法
労働安全衛生法
法律の目的
「労働安全衛生法」は、作業現場で起きる危険や災害の防止を図る法律です。
そのため、人体の安全に影響を及ぼす危険(危害)の防止基準が定められています。
責任体制について
事業場の安全や衛生を確保するための責任体制が規定されています。事業場について、業種と労働者の人数に応じ、どのような権限のある人間を選ぶ必要があるか、またどの管理者を何人置く必要があるかなども規定されています。
建設現場のように複数の企業が入って仕事をしている現場については、実情に合わせた安全衛生の管理体制を設けるよう規定もしています。
危険や健康災害の防止
労働者の危険や健康障害を防ぐため、取るべき措置が規定されています。
有害物質を取り扱っている作業現場の調査についての規定や、機械や有害物質についての規定もあります。
機械についての検査の頻度や、有害物質の取り扱いについての制限も試験に出ます。
労働者の健康や安全確保のために
労働者の安全や健康を守るための規定もあります。
会社勤めの方は、最低1年に1度健康診断を受けていると思います。この健康診断は、労働安全衛生法に規定されています。
また、最近はメンタルヘルスのための「ストレスチェック」も話題に上っていますが、これも労働安全衛生法に規定されて行われるようになっています。
労働者の安全面について言うと、安全を守るために必要な教育、また、危険な業務につかせるにあたって必要な免許や教育に関しても規定があります。
試験科目としてのポイント
労働安全衛生法は、前回お話しした労働基準法とセットで1科目となっています。
選択式では1問5点中2点、択一式では10問中3問3点が、労働安全衛生法からの出題となります。
社労士の試験科目・配点
社労士の試験科目に占めるウェイトは大きくありません。しかし、社労士試験の特徴である「各科目について最低得点をクリアしなければならない」というハードルを乗り越えるためには、この科目はよく出るところを重点的に押さえる必要があります。
労働者災害補償保険法
法律の目的
仕事中にケガをしたとき、所定の手続きを行うと、自分でお金を払うことなく病院で治療を受けることができます。
これは、「労働者災害補償保険法(以下、労災)」による保険給付の一部です。
この法律では、業務災害や通勤災害によって生じた怪我、病気、障害、死亡などをカバーします。
保険給付の内容には、治療の他に、休業時の補償、障害が残ったときの年金や一時金、労働者の死亡時に遺族が受け取れる年金などがあります。
加入すべき事業所や1日当たりの給付額
必ず労災に加入しなければならない事業、任意で労災に加入できる事業も学びます。
会社を休む際の補償額や障害、遺族の年金の計算をするにあたりベースとなる1日当たりの賃金の算出方法もあります。
また、社会情勢の変化による平均賃金の上昇や下落に伴って、最初に決められた1日当たりの賃金を変動することも含まれます。
年金の場合は、同じ事故で社会保険(国民年金や厚生年金)からも年金が受け取れる場合、どのような調整をするかの規定もあります。
労働者や遺族の社会復帰を目指して
労災では直接の給付だけではなく、被災した労働者の社会復帰促進、労働者や遺族の援護、健康診断施設の設置・運営などの事業なども行っています。
この中には、労災本来の給付に加えて、特別支給金の支給もあります。こちらは、本来の給付とどのように関連するか、どのぐらいもらえるかが規定されています。
一例をあげますと、療養開始後1年6ヶ月経過してもまだ治らない労働者に対しては、傷病補償年金が支給されます。これに加えて、傷病の等級によって支給される傷病特別支給金と、ボーナスの額を基準に算定される傷病特別年金があわせて支給されます。
特別加入について
労災とは、本来日本で働く労働者を保護するための法律なので、原則的に会社の役員や海外派遣される労働者等は対象外になります。
しかしながら、一定の条件を満たした場合は、特別加入をすることができます。加入できる条件も勉強していくことになります。
試験科目としてのポイント
労災は、選択式では1問5点、択一式では7問7点の出題となります。
社労士の試験科目・配点
社労士の試験科目としては、選択式の難易度に波があるのが注意点です。
今回はここまでです。次回は、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律についてお話ししたいと思います。
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