「オンスク・トキコの社労士Q&A」連載4回目。今回から労災保険法に学習も進みました。「通勤災害」について、オンスク君が質問していますよ。
労災保険法の通勤災害について
オンスク君:入社時に会社へ通勤方法として、電車とバスを使用と届け出ましたが、バイクや自動車で通勤して、その際に災害にあった場合は、通勤災害とされないのでしょうか?
トキコさん:会社に届け出ている通勤方法と異なる方法であっても、それが通常の労働者が用いる合理的な方法であれば通勤と認められるので、バイクや自動車での通勤も一般的に通勤として認められ、災害にあったときは通勤災害とされることがあるよ。
オンスク君:そうなんですね。ところで、複数就業者の職場間の移動について、第1の職場から第2の職場へ移動中に災害にあった場合、どちらの職場の労災保険が適用されますか?
トキコさん:職場間の移動については、移動先の職場で労働するために行われる通勤とされており、職場間の移動が通勤と認められるには、移動先の職場(第2の職場)が労災保険法の適用を受ける職場であることが必要で、また、移動の起点となる職場(第1の職場)については、労災保険の適用事業でなくても構わないけど、何らかの通勤災害保護制度の適用を受ける職場であることが必要だね。
この要件を満たしている職場間の移動における通勤災害については、移動先の職場、つまり第2の職場の労災保険が適用されるよ。
オンスク君:それでは、通勤の逸脱・中断についてですが、仕事の帰り道に病院に立ち寄った場合には、それは逸脱・中断となるとされていますよね。ここでの逸脱・中断とは、①病院にいる間のみなのか、②通常の経路(会社に届け出ている通勤経路)を逸脱して病院に向かうまでの道のり+病院内+病院から通常の経路に戻るまでの道のりまでの間をいうのでしょうか?
え~と、つまり、②の「通常の経路を逸脱して病院に向かうまでの道のり」と「病院から通常の経路に戻るまでの道のり」が逸脱・中断に含まれるのでしょうか?
トキコさん:「逸脱」とは、通勤の途中において、就業又は通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上において、通勤と関係のない行為を行うことをいうよ。したがって、逸脱・中断は、合理的な経路をそれた時点から始まるので、質問のケースでは、②が「逸脱・中断の間」に該当するね。つまり、②の「通常の経路を逸脱して病院に向かうまでの道のり」と「病院から通常の経路に戻るまでの道のり」は、逸脱・中断に含まれることとなるよ。
それから、質問で「通常の経路(会社に届け出ている通勤経路)」と言っていたけど、最初の質問(通勤方法)と同様に、通勤と認められるのは、会社に届け出ている通勤の経路に限られないよ。自宅と会社の間に通常考えられる経路が2種類あり、そのうちの1種類を会社に届け出ている経路として利用している場合、何らかの事情で、もう1種類の経路を利用して自宅と会社の間を移動したとしても、それは通勤として認められるよ。
オンスク君:なるほど。テキストの図をよく見てみますね。
次回も労災保険についてなんですが、保険給付のうち、「療養(補償)給付」、「休業(補償)給付」、「療養(補償)年金」についてお聞きできたらと思います。
トキコさん:はい、それではまた次回に♪
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