「オンスク・トキコの社労士Q&A」連載7回目。今回は雇用保険法の「基本手当」についてです。
基本手当は求職者給付の中心となる給付ですので、受給要件や受給期間などを正確に覚えましょう!
雇用保険法の「基本手当」について
オンスク君:早速なんですが、基本手当の受給要件のところに、「被保険者であった期間」「被保険者期間」「算定対象期間」「算定基礎期間」といろいろな期間が出てきますが、どう違うのですか?
トキコさん:まず、「被保険者であった期間」というのは、被保険者として雇用されていたすべての期間のことをいい、賃金の支払の有無を問わないよ。
一方、「被保険者期間」とは、「被保険者であった期間」のうち、一定の日数以上の賃金の支払のもととなった日数(賃金支払基礎日数)がある期間をいうよ。
例えば、離職の日からさかのぼって被保険者であった期間を1ヶ月ごとに区分し、各区分期間のうちに賃金支払基礎日数が11日以上あるものを被保険者期間1ヶ月とするというようにね。基本手当などの受給資格を決定するときに問われるのが、この「被保険者期間」なんだよ。ここまではわかったかな?
オンスク君:ハイ。「被保険者であった期間」はとにかく雇われていた期間で、「被保険者期間」はそのうち一定の賃金支払基礎日数がある期間ってことですよね。
トキコさん:大まかにはその通りだね。次に、「算定対象期間」というのは、簡単に言うと、被保険者期間の長さをみる場合に、離職日から過去にどの程度さかのぼって見るのかという範囲(枠)のことだよ。一般被保険者の場合は原則として「離職の日以前の2年間」が「算定対象期間」となるよ。
それから、「算定基礎期間」は、大まかには被保険者であった期間と同じで、例えば、就職してから退職するまで同じ会社に雇用されていた場合には、就職から退職までの期間が算定基礎期間となるよ。被保険者期間と違うのは、賃金の支払は問われないことだね。算定基礎期間は、主に基本手当の支給日数を決定するときに使われるよ。
オンスク君:ということは、例えば、Aという会社に就職して5年たって退職した場合、算定基礎期間は5年間ということになりますよね?あれ?算定対象期間は退職の日以前の2年間でよかったですか?
トキコさん:その通りだよ。算定対象期間、つまり退職日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あれば基本手当の受給要件を満たすことになるよね。そして、基本手当が支給されることになったら「算定基礎期間」の出番で、算定基礎期間がどの位あるかで、基本手当の支給日数が決まるんだよ。
オンスク君:えーと、会社を退職したら、まず算定対象期間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あるか見て、基本手当が受給できるかどうか決まるのですよね。そして、基本手当を受給できることになったら、算定基礎期間で支給日数が決まるという流れですか?
トキコさん:そう、そのイメージでOKだよ。
オンスク君:わかりました。ところで、例えば、一般被保険者であった人が65歳になる少し前に退職したとします。その人が求職の申込みをした日に65歳になっていても、受給資格要件を満たしていれば受給資格者として基本手当を受給できますか?
トキコさん:その場合は、退職した日が65歳になる日より前ということなので、求職の申込みをした日に65歳になったとしても、受給資格要件を満たしていれば受給資格者となり、基本手当を受給できるよ。
オンスク君:算定対象期間や被保険者期間とかの関係は、もう一度復習しておきます。次は徴収法に入って、「保険関係」のことでお聞きしますので、よろしくお願いします。
トキコさん:それではまた次回に♪
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