「オンスク・トキコの社労士Q&A」連載5回目の今回は労災保険法の「療養(補償)給付」「休業(補償)給付」「傷病(補償)年金」についてです。早速、オンスク君の質問にいってみましょう。
労災保険法の保険給付について
オンスク君:療養(補償)給付のうち、療養の費用の支給は現金給付ということですが、これはどういうことですか?
トキコさん:療養(補償)給付は、指定病院等で診察などの療養そのものを行う「療養の給付」が原則で、例外的に「療養の費用の支給」が行われるわけだけど、これは、療養にかかった費用をいったん窓口で支払って、その分、後で償還払いされるということだよ。
オンスク君:それでは、休業(補償)給付についてですが、待機の3日間は支給されないとありますが、この3日間は何も支給されないということですか?
トキコさん:業務災害の場合、休業補償給付の待機3日間については、使用者は、労働基準法の規定による休業補償を行わなければならないとされているよ。だけど、通勤災害の場合、休業給付の待機期間については使用者に休業補償を行う義務はないよ。
オンスク君:そうですか。業務災害と通勤災害では扱いが違いますね。ところで、休業(補償)給付は、会社の公休日でも支給されますか?
トキコさん:通常の労働日であっても、会社の公休日であっても、労働者が「療養のため労働することができないために賃金を受けない」状態にあれば、休業補償給付は支給されるよ。
オンスク君:なるほど。話は変わりますが、傷病(補償)年金の支給要件に、「療養を始めてから1年6ヶ月を経過した日、または同日後…」とあります。ここでいう「経過した日」とは、例えば、4月10日に療養を開始した場合には、翌年の10月9日で1年6ヶ月が満了すると思うので、この10月9日のことをいうのでしょうか?それとも10月10日のことをいうのでしょうか?
トキコさん:「療養を始めてから1年6ヶ月を経過した日」とは、「療養を開始した日の属する月の翌月から起算して18ヶ月目の月においてその療養の開始の日に応当する日」であるとされていて、4月10日に療養を開始した場合には、翌年の10月10日が「療養を始めてから1年6ヶ月を経過した日」となるよね。
オンスク君:それでは、「同日後」というと「経過した日」は含まないと思うのですが、要件の「または」の前後で1日のズレがあるのでしょうか?
トキコさん:「同日後」には、「療養を始めてから1年6ヶ月を経過した日」は含まれないよ。この「同日後」というのは、「療養を始めてから1年6ヶ月を経過した日」の当日に支給要件に該当していなくても、その後に該当することとなれば、傷病(補償)年金を支給するということを意味しているよ。
オンスク君:そうなんですね、ありがとうございます。次回は雇用保険法の「被保険者」についての質問をさせてください。
トキコさん:了解。それでは、また次回をお楽しみに!
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