前回予告しましたが、「オンスク・トキコの社労士Q&A」連載10回目の今回は健康保険法の「標準報酬月額・標準賞与額」についてです。
「標準報酬月額」は健康保険独特の考え方に基づくものですが、厚生年金保険でも用いられ、その決定方法は健康保険とほぼ同様の取り扱いとなりますので、健康保険法でしっかり勉強しましょう。
健康保険法の「標準報酬月額・標準賞与額」について
オンスク君:標準報酬月額の定時決定は、7月1日現在の段階で行われるようですが、直前に被保険者となった場合でも行われますか?例えば、6月に被保険者となった場合とか。
トキコさん:定時決定は、6月1日から7月1日までの間に被保険者資格を取得した者については行われないよ。
オンスク君:それはなぜですか?
トキコさん:被保険者の資格を取得した者については、資格取得時決定が行われ、その者の標準報酬月額が決定されるよね。6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者については、資格取得時決定により決定された標準報酬月額を、原則として、翌年8月までの標準報酬月額とするけど、定時決定により決定された標準報酬月額も有効期間が同じ翌年8月までだから、その年の定時決定については、重ねて行う必要はないとしているわけだよ。
オンスク君:なるほど!そういうわけですね。そういえば、任意継続被保険者にも標準報酬月額は用いられるのですか?
トキコさん:任意継続被保険者にも標準報酬月額は用いられるよ。
オンスク君:それはどうやって決定するのですか?
トキコさん:任意継続被保険者の標準報酬月額は、次の①と②とを比べて低い方の額を採用することになっているよ。
①被保険者の資格喪失時の標準報酬月額
②その者の保険者の管掌する前年の9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均額
例えば、資格喪失時の標準報酬月額が30万円で、標準報酬月額の平均額が28万円の場合、28万円がその任意継続被保険者の標準報酬月額となるわけだね。
オンスク君:一般の被保険者とは全然違う決定方法ですね。あと、標準賞与額の累計額は573万円までとされていますが、具体的にはどういうことでしょうか?
トキコさん:例えば、夏季賞与、冬季賞与ともに300万円の場合には、夏季賞与に係る標準賞与額は300万円とされるが、冬季賞与に係る標準賞与額は273万円とされるということだよ。
オンスク君:そうですか。そのように標準賞与額の累計額に上限が設けられているのはなぜですか?
トキコさん:実は標準報酬月額にも上限があって、そのこととの並びの観点から、多額の賞与支給を受ける者及び事業主の急激な保険料の負担増を回避するために設けられたんだよ。
オンスク君:なるほど、わかりました。次回は国民年金法に入ります。
トキコさん:国民年金の被保険者のことで何か質問がありそうだね。それでは、また次回に♪
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