「宅建試験合格のツボとコツ」の2回目。今回は民法等の重要論点とその学習法をお伝えします。
宅建士試験における民法等の特長
まず、この「民法等」は合否を分ける科目になる、と思ってください。理由は、民法等以外の科目である「宅建業法」「法令上の制限」「その他関連知識」は暗記科目なので、覚えさえすれば点になるため他の人との差がつきにくいことにあります。
逆に民法等は事例問題が多く、その場面ごとに考えて答えを出さなければならないため、問われている単元を「理解」していなければ解けません。つまり暗記だけでは対応できないので、受験生の理解度によって大きく点数が分かれてしまう科目になるのです。
よって、まずは民法等を味方につけることが合格に向けての第一歩、と考えてください。点数としては、全14問中、8~9問の正解を目指していただければと思います。
では具体的に、今年の出題可能性が高い単元ごとの重要度(A~C)と学習のポイントを指摘していきます。
民法等 主要単元の重要度
意思表示 …重要度A
特に第三者との関係で問われることが多く、対抗問題との混同でも出やすいので注意。
条文の問題 …重要度C
現在進行中の民法改正への関心を高めるべく、この5年間毎年出ていますが、受験生全体の正答率は非常に低く、受験対策上意識する必要はまったくないです。
代理(無権代理も含む) …重要度A
頻出単元であるにもかかわらず、過去2年出題がないため、今年は満を持して出してくることが予想されます。内容的にも易しく、確実に点にできる単元のため、特に無権代理を中心にぜひ確認しておいてください。
抵当権 …重要度B
近年は難易度が高めの問題が多いため、そのような問題には深入りせず、物上代位、法定地上権、抵当権設定登記と賃貸借の3点を中心に確認をしましょう。
相続 …重要度A
特に遺産分割に関する最新判例(預貯金債権が遺産分割の対象になる、と判断した初めてのケース)が要注意。あとは遺留分を見直しておきましょう。
売主の担保責任 …重要度A
瑕疵担保責任が特に重要。宅建業法でも頻出なので、責任追及期間を中心に押さえましょう。
判決文の問題 …重要度C
単に文章の意味がわかるかどうかの読解力を問う問題なので、対策をする必要はまったくありません。時間がかかりそうなら、本番では一番後回しにしてもOK。
不動産登記法 …重要度B
毎年必ず1問出ますが、近年は細かい問題も多いので、登記手続きの原則・例外と、保存登記、仮登記を中心に見ておきましょう。
区分所有法 …重要度B
こちらも毎年必ず1問出ますが、不動産登記法と同様、細かい問題が多いので、特に集会の決議の内容について見ておくと良いと思います。
不法行為 …重要度A
昨年は2問出題されています。今年は工作物責任と共同不法行為に気をつけてください。
賃貸借、借地借家法 …重要度A
昨年は4問も問われており、これは民法等全体でもっとも多い出題数です。両法の比較で問われることが多いので、賃貸借の期間や、解約できる場合等に注意して押さえましょう。
以上です。次回は宅建業法の重要度と学習ポイントについて詳しくお話しします。お楽しみに。
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