「就職・転職に強い!」
「独立可能!」
という触れ込みで、今も昔もポピュラーな国家資格として知られている「宅建」。
でも、宅建という名前だけでは、どんな資格なのかということは今一つわかりづらいのではないでしょうか。
そこで今回は「宅建とは何なのか」「宅建にはどんなニーズがあるのか」という基本的なことに触れつつ解説し、実際に宅建を活用している私のことについても軽く紹介したいと思います。
連載「現役宅建士が解説!宅建実務のホントのトコロ(全4回)」
- 1.宅建士の業務とは?
- 2.宅建士の業務:不動産業界編
- 3.宅建士の業務:不動産以外の業界編
- 4.宅建士の業務:プライベート編
ズバリ解説、「宅建」とは?
宅建とは、一言で言うならば「不動産業に必須の資格」です。
※厳密にいうとマンション管理業などの例外はあります。
宅建の正式名称は「宅地建物取引士」で、まさに宅地や建物の取引を行うための資格です。したがって、それらの取引を行う不動産業とは切っても切れない仲にあるというわけです。
また、私たちが一般的に口にする「不動産屋さん」には「宅地建物取引業者(略称:宅建業者)」という正式名称があります。
そして、一定数の宅建士が在籍している状態でなければ、宅建業者は営業してはいけない、と法律で定められているのです(社長と宅建士を兼ねるのであれば、一人でも営業可能です)。
これこそが「宅建は就職や転職に強い!」「独立もできる!」と言われる理由ですね。
ここまでお読みいただいて、宅建は不動産業界においてかなり大切なポジションにあるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
でも、どんな仕事をするの?難しい?
「宅建が大事なのはわかったけど、どんな仕事をするの?」
というのも気になるところでしょう。
まずここで大切なのが「不動産業界には宅建士しか行ってはいけない業務(独占業務)がある」ということです。
それは一般的には重要事項説明と呼ばれる業務で、簡単に言うならば、
「家が建てられない土地だと知っていたら、こんな土地は買わなかったよ!」
というようなトラブルを避けるため、物件や取引について事前にお客様に説明し、きっちり理解していただく業務です。
その説明には重要事項説明書という書類を作成する必要がありますし、取引の前にお客様と実際に対面して説明を行わなければなりません。
これこそがまさに宅建士の義務であり、独占業務なのです。
重要事項の説明は、怠ること自体が法律違反であることはもちろん、宅建士の説明不足でお客様に損害を与えてしまったとしたら、損害賠償を請求されても仕方がない(最悪の場合は営業停止)ということになります。
そんなことにならないよう、各種法律の知識などをしっかり身に付ける必要がありますし、土地の利用目的などについてお客様としっかりコミュニケーションを取ることも大切です。
宅建士としての業務にはシビアな一面もあることは確かですが、その反面、かなりのやりがいがあることも事実です。
ひとつひとつに丁寧に取り組むことを心がければ、特別難しい技術を必要とするような業務ではありません。
宅建と出会って、大きな一歩を踏み出すことができました
私は、大学院で日文学の研究を行っていたのですが、次第に「研究として文学に接すること」に違和感を覚え、別の道を考えるようになりました。
すでに新卒で就活できるようなタイミングではなかったため、何か資格を取ろうと考えたのが第一のきっかけです。
そうして、積極的に使える資格は何かと考えた結果、法律系の国家資格に興味を持ち、「法律の勉強が初めての自分にとっても、まだとっつきやすそうだ」と感じて宅建を受験しました。
現在、私は宅建士として土地の売買仲介をメインとする宅建業者に在籍しており、契約内容の精査や物件の詳細な調査を行うことが多く、あまり積極的に営業を行ってはいません。
しかし、今後は独立にも興味がありますし、営業もしっかりとやっていきたい気持ちがあるため、もっと積極的にいろいろな取引に携わって経験を積み重ねたいところです。
宅建士が宅建業者の中でどのようなスタンスになるか(営業もバリバリこなすのか、書類の作成事務などに専念するのか、etc…)は、業者それぞれの方針によると思います。
しかし、どのような形であれ、お客様だけではなく自らの所属する宅建業者を守ることにもつながるため、宅建士としての正確な知識はかなり重宝されます。
宅建のススメ ―これからもニーズは高い!!―
ここまで、宅建について実際に業務を行っている宅建士からの目線で解説してきました。
ちなみに、宅建は「宅地建物取引主任者」という名称の資格でしたが、2015年度より「宅地建物取引士」に名称変更されました(事実上、格上げと言われています)。
つまり、国の意向からも、正確な知識を持ち、正しく業務を行うことができる宅建士が求められているわけです。
試験は難化傾向にあると言われていますが、しっかりと努力を積み重ねれば、きっちり報われる難易度ではあるはずですし、取り組んでみる価値が大いにある資格だと思います。
さて、「今回は宅建とはいったいどういうものなのか」ということについて大まかに解説してきました。
次回はもう少し詳しく宅建士の実務について掘り下げてみたいと思います。またお読みいただけると幸いです。
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