数ある国家資格の中でも、かなりポピュラーな部類である宅建。
宅建がどういうものか、ということまでは詳しく説明できずとも、なんとなく不動産業界で使われる資格だろう、という風に把握している方も多いのではないでしょうか。
しかし、意外に思われる方も多いかもしれませんが、実は宅建が活用できるのは不動産業界に限ったことではないのです。
近年「宅地建物取引主任者」という名前が「宅地建物取引士」に変更され、ますますメジャーになってきている宅建。
連載「現役宅建士が解説!宅建実務のホントのトコロ」第3回の今回は、宅建の魅力や実用性について、他業種ではどのように活かされるのか、見ていきましょう。
連載「現役宅建士が解説!宅建実務のホントのトコロ(全4回)」
- 1.宅建士の業務とは?
- 2.宅建士の業務:不動産業界編
- 3.宅建士の業務:不動産以外の業界編
- 4.宅建士の業務:プライベート編
宅建士の業務:金融業界編
金融と言えば、お金の貸し借りですね。
お金の貸し借りとくれば、金融業界に明るい方であればすぐにピンと来るかもしれません。
そう、担保です。
金融業界では、不動産を担保にお金を融資するという業務は頻繁に行われています。
ちなみに、不動産担保とは
「お金は貸してあげようと思うけど、大金だし、もし返ってこなければ大変。だから、もしお金が返せなかった場合は、あなたの持っている不動産をこちらで売ってお金に換えさせてもらいます。」
という約束をした上でお金を貸す、ということです。
ここで大切なのが、担保として提供される不動産について、本当に貸したお金分の価値があるのかどうか、ということです。
極端に言えば、500万円のお金を貸したのに、担保の不動産が50万円の価値しかなかったとしたら、450万円の大損をすることになってしまいますよね。
そういったことを避けるためには、お金を貸す前に担保の価値をしっかりと調査する業務が必須です。
そこで必要になってくるのが宅建の知識なのです。
加えて、メガバンクのほとんどはグループ内で不動産会社(宅建業者)を経営しているということもあります。
つまり、金融業界は、不動産業とは切っても切れない仲にありますし、それだけ宅建の需要もあるということなのです。
金融の実務上、宅建によって活躍の幅が飛躍的に広がると言えますし、就職・転職においても宅建は大きく評価されるということですね。
宅建士の業務:その他の業界編
金融業界以外にも、宅建の知識を活用できる場としては、
行政書士などの士業での業務(宅建知識による業務範囲の拡大)
ファイナンシャル・プランニングなどにおけるマネープランニング業務(不動産投資の提案など)
インテリアなど、住まいに関わる商品の販売業務(防音素材や建物構造の知識など)
このように様々なものがあります。
宅建試験で学ぶ知識があるだけでも、意外な業種の意外なところで、宅建についてまったく知識のない方よりも素敵なトークができる、というようなこともあるでしょう。
もっと面白いところで言えば、宅建業と近い関係にあるため、宅建士がいれば業務拡大ができる業界、というのも夢があると思います。
例えば、建設業ですね。
宅建業も兼ねたいけれど、宅建士がいなくて宅建業者として登録できない(自分で建設した建物を売ることを商売にできない)、という建設業者にとってはまさに渡りに船となります。
仲介で他業者に売買を頼むなら、仲介手数料を支払う必要が出てきますし、やはり自分たちが主体となって取引を行う方が利益は高いですから、やはり宅建の効果は絶大ということですね。
宅建が就職・転職活動でもたらす様々なメリット
宅建を保有しているということは、「宅地・建物の取引におけるスペシャリストである」ということの証明となります。
不動産業界に飛び込むために宅建を取得するということは、かなり効果的で合理的なファーストステップです。
しかし、宅建を持っていれば、直接宅建業者に勤務するわけではなくとも、様々な業種・業界で活用することができます。
就職・転職活動においても、幅広い業種においてアピールポイントとすることができますし、資格手当が支給されることも十分に考えられます。
「宅建を取る=不動産業界に就職する」
ということがもちろん自然な流れではあるのですが、そこだけにとらわれることなく、幅広い使い方をご自身でも一度検討されてみてはいかがでしょうか。
さて、不動産業界においてとても重要なだけでなく、他業種においても重宝される宅建の魅力に、だんだんと興味が湧いてきたという方も多いのではないでしょうか。
これまで3回にわたり宅建の実務についてご案内してきましたが、次回で一区切りとさせていただきたいと思います。
最終回である次回は、お仕事に限った話ではなく、「プライベートなどにおいても宅建が活用できる」ということについてご案内します。
最後までお付き合いいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
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