皆さん、こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
前回は、商標の概要についてお伝えしました。
今回は、商標登録をしたいと考えたときに、どのような流れで商標を取得すればよいかについてご説明します。
商標登録をしたいと考えるということは、何かしらの商品やサービスを販売・提供している、あるいはそれらをこれから行う場合がほとんどかと思います。
今回はそういった方々を想定して、商標登録までの流れをご説明します。
1. 商標登録を受けたい商標を考える
前回の記事でもお伝えしたように、商標登録の対象となるのは、商品名、サービス名、ブランド名、会社名、屋号、ロゴマーク、キャッチフレーズなどです。
これらの中ですでに商標登録を受けたいものが決まっていればそれでよいですし、まだ決まっていなければ考えて決めるということになります。
重要なのは、長く使い続ける可能性が高いものを選ぶことです。
商標は、長い期間にわたって使い続けるほど価値が高くなっていくためです。
2. 知財の専門家に相談する
自分自身で商標登録出願をすることも可能ではあるのですが、指定商品・サービスの選び方など、なかなか難しいところもあるので、知財の専門家に依頼した方が無難です。
知財の専門家とは、弁理士等です。
また、商標登録を受けた後に商標をどのように活用していくかについてや、商標権の効力がどの辺りまで及ぶかについてなど、いろいろと助言を受けた方がよいと思います。
3. 調査をする
商標登録出願を行う商標が決まったら、その商標と同じ、あるいは類似する商標が存在していないかなどを調査します。
商標同士が似ているかどうかの類似判断については、ある程度知識や経験が必要なので、慣れないうちは弁理士などの知財の専門家に依頼した方が良いです。
また、特許庁のJ-PlatPatというサイトで商標の検索を行うことができます。
商標の調査は特許に比べれば断然簡単ですので、ご自身で調査してみたいという方は、ぜひトライしていただければと思います。
4. 商標登録出願(申請)の依頼を行う
商標調査をして、同じあるいは類似している商標がなければ、いよいよ商標登録出願を行います!
ただ、いきなり自分自身で手続きを行うのは難易度が高いので、少なくとも最初は、弁理士などの専門家に依頼することを強くおすすめします。
特に、この後説明する指定商品や指定サービスの選択や、出願書類への必要事項の記入、期限管理、特許庁とのやり取りなど、いろいろ大変なことがあるので、それらを弁理士などに任せた方が無難です。
5. 指定商品・サービスを決める
商標登録は、出願を行う商標を決めるだけではなく、どのような商品やサービス(商標法上では役務といいます)にその商標を使うかを決めなくてはなりません。
商標登録の出願において、この指定商品・サービスを決める作業が非常に重要になります。
指定商品・サービスは、特許庁により45個の区分に分類されています。
その区分の中から、商標を使用している、あるいは今後使用する予定のある商品・サービスの区分を選ぶ必要があります。
さらに、区分を選択した後に、その区分の中から具体的な指定商品・サービスを選択する必要があります。
基本的には、同じ区分内であれば、指定商品・サービスをいくつ選んでも同じ料金で済みます。
そのため、商標を使う可能性がそれなりにある商品・サービスは、全て選択した方がよいです。
ただし、明らかに商標を使用する意思や可能性のない商品・サービスを選択すると、特許庁から拒絶され、登録を拒まれるので、あくまで使用意思や可能性があるものだけを選択する必要があります。
また、45個の区分に記載されている指定商品・サービスの他にも、過去に指定商品・サービスとして登録されたものがあります。
そのため、これらの指定商品・サービスについてもしっかりチェックして、事業に関係あるものについては選択する必要があります。
以上のように、商標を使用する指定商品・サービスをしっかり選択する必要があるのですが、これは事業の現状や今後の予定などを含めてしっかりと検討する必要があります。
そのため、弁理士としては、商標登録を受けようとする方からしっかりヒアリングを行う必要があるのです。
ごく簡単にヒアリングをしてパパっと商標登録出願をする弁理士も多くいますが、その場合は料金が安いかもしれませんが、抜け漏れが生じるリスクがかなり生じます。
そのため、しっかりとヒアリングをしたうえで商標登録出願を行ってくれる弁理士を選んだ方がよいと考えています。
6. 特許庁の審査を経て登録
弁理士との打ち合わせをして指定商品・サービスを決めた後は、書類を送付して商標登録出願を行います。
特許庁が申請書類を受理すると、その後審査が行われます。
審査が行われ、要件を満たしていると認められると、登録査定がされます。
一方で、要件を満たしていなければ拒絶されます。
ただ、書類を補正して拒絶された理由を解消することができれば、登録査定がされます。
無事登録査定がされれば、その後登録料を支払い、晴れて商標登録がされます。
以上のようなプロセスで商標登録を受けることができます。
連載「意外に身近!商標とは」、今回は、商標の取り方についてお伝えしました。
弁理士などの専門家に依頼すれば、大変なことは特にありません。
また、商標は費用が安く、登録率も高いので、わりと気軽に出願ができます。
ぜひ今回ご説明した内容を踏まえて、商標登録出願をご検討していただけたらと思います。
次回は、商標登録の要件についてお伝えします。
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