こんにちは!オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
前回までは、商標の概要、登録の流れと要件、リスクについてお伝えしました。 最終回の今回は、商標とフランチャイズの関係についてご説明します。
フランチャイズとは?
フランチャイズというと、有名なお店がたくさんの店舗を各地で展開しているようなイメージを、多くの方がお持ちかと思います。
マクドナルドやコンビニ、サイゼリヤやガストなどのファミレスといったお店が、フランチャイズとしてとても有名ですね。
これらの他にも、フランチャイズ展開しているお店や企業は世の中にたくさんあり、フランチャイズという意味も広いです。
今回の記事では、フランチャイズの意味として、以下のように定義します。
フランチャイズ
…商標、商品・サービス、ノウハウ等を提供して、対価を受け取るしくみ
ここで、商標等を提供する側を、フランチャイズ本部、あるいはフランチャイザーといいます。
一方で、商標等の提供を受ける側を、加盟者もしくは加盟店、またはフランチャイジーといいます。
フランチャイズ契約の方法としては、例えば、加盟者がフランチャイズ本部にまず契約金を支払い、その後は売上の一部を対価(ロイヤリティ)として支払う形があります。
中には、契約金のみで、ロイヤリティがない場合の契約もあります。
また、契約金やロイヤリティ以外にも、加盟者が本部から食料や材料などを仕入れることによって、利益を出すという方法もあります。
このように本部は、何かしらの方法で加盟者から対価をもらい、そのぶん様々なものを加盟者に提供するのです。
では、このフランチャイズのメリットはどういうものなのか見ていきましょう。
フランチャイズのメリット
① フランチャイズ本部側のメリット
まず、フランチャイズ本部側のメリットは、もし加盟店の経営がうまくいかずに赤字になってしまったとしても、本部に収益が入るということです。
ロイヤリティは基本的に売上ベースになりますので、加盟店が赤字でも発生します。
また、仕入れ代金についても、同様に赤字であっても発生します。
これが直営による事業の拡大である場合は、赤字店舗の損失は全て経営主体のものになるので、リスクが大きくなります。
フランチャイズの場合は、加盟店それぞれが別の経営主体なので、各々の責任で事業を行なっているのです。
そのため、加盟店が潰れたとしても、本部への影響は直営に比べてかなり少なくなります。
② 加盟店側のメリット
続いて加盟店側のメリットです。
加盟店としては、フランチャイズ本部が扱っている商品・サービスや、これまで蓄積してきた経営や営業のノウハウを使うことができるので、一から自分自身で経営を行う場合とはスタートラインが違います。
私も実感していますが、一から事業を立ち上げて軌道に乗せるというのは本当に大変です。笑
そのため、軌道に乗る前に倒産してしまう企業はたくさんあります。
飲食業界においては、フランチャイズに加盟せずに自らお店を立ち上げた場合、開業後5年の廃業率が75%という情報があります。
4店舗中3店舗は、5年も持たないのです。
一方で、フランチャイズに加盟した場合は、5年後の廃業率が30%だそうです。
つまりフランチャイズの方が、圧倒的に廃業率が低いのです。
起業というのはとても厳しい世界なので、フランチャイズに加盟して、すでに軌道に乗っている会社の商品・サービスを扱ったり、店名、ブランドといった商標を使わせてもらったりした方が、すぐに軌道に乗りやすいです。
フランチャイズの場合は、開業後すでに信用がある状態なので、お客さんも来てくれますし、銀行からの融資も下りやすいです。
そのため、フランチャイズの場合はリスクを下げることができ、かつお店を始めることも比較的容易なのです。
フランチャイズと商標の関係
このようにメリットの多いフランチャイズですが、実は商標が非常に重要になってきます。
フランチャイズはリスクが低いとは言いましたが、それは、お店の名前やロゴマークなどが商標登録されてしっかり守られている場合です。
もし商標登録をせずにフランチャイズ展開していった場合は、そのお店の名前などが有名になっていきます。
そして有名になればなるほど、その知名度にあやかって真似をしてくる同業者が出てきます。
同じような名前などで営業をされると、お客さんからしたら違いがよくわからなくなり、真似した側のお店に流れていってしまうということも起きてしまいます。
そのようなことにならないように、フランチャイズ展開をする場合は、店名やロゴマークなどをしっかり商標登録して守る必要があるのです。
そうすることにより、加盟店の人達をも守ることができるのです。
また、フランチャイズ契約をするときは当然契約書を交わし、契約書に書いてある内容に従うことになりますが、契約書だけだとどうしても法的な効力が制限されます。
というのも契約書は、契約書を交わした当事者同士の間でのみ法的な効力が生じるので、他の人達には何も主張できません。
そのため、契約を交わしてお店の名前やロゴマークなどの使用を制限しても、契約を交わしていない第三者は、お店の名前などを無断で使えることになってしまいます。
これにより、例えばフランチャイズ契約をした人が、第三者に加担してお店の情報をリークして、その第三者がその情報を利用してお店を始めるという共謀もあり得るのです。
このように商標登録をしているかしていないかによって、フランチャイズにおけるリスクは大幅に変わってくるのです。
商標登録を受けていないフランチャイズには加盟してはいけないということになります。
連載「意外に身近!商標とは」、今回は、商標とフランチャイズの関係についてお伝えしました。
フランチャイズにおいて商標登録が非常に重要だということを、ご理解いただけましたでしょうか?
それでは今回の連載内容は以上となります。お読みいただきありがとうございました!
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