皆さんこんにちは。気象予報士の渡会賢と申します。
今回より4回にわたり、気象予報士受験の勉強法と合格への道のりについて、私の経験を交えながら試験別にご紹介していきたいと思います。
第1回のテーマは「気象予報士試験の概要と勉強法」です。気象予報士になりたいけど、何から始めればいいかわからない…、効率的な勉強法ってないの…?という疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までお付き合いください。その答えがきっと見つかるはずです。
気象予報士試験ってどんなもの?
気象予報士試験の勉強法についての詳しい話をする前に、まずは試験の概要についてご紹介しておきたいと思います。試験が行われるのは1月と8月、合格のチャンスは年に2回です。
気象予報士試験は午前の部と午後の部に分かれています。午前中はマークシート方式の学科試験です。そして午後には記述方式の実技試験が行われます。
午前中の学科試験に合格しないと実技試験は採点されないため、まずは学科試験合格を目指すことが最初の目標です。
ここでポイントとなるのが「学科試験に合格すれば、その後1年間(チャンスは2回!)は学科試験が免除となる」ということです。
ですから、まずは学科試験合格のみを目指すのもおすすめです。この場合、じっくり時間をかけて実技試験対策が可能となります。合格までに時間はかかりますが、試験の難易度などを考えますと、多くの人にとって現実的なラインのはずはず。
私自身も初回の受験で学科試験に合格し、二度目は実技試験に不合格だったものの、三度目の受験で実技試験に合格しました。
気象予報士の勉強法とは?
続いては勉強法について触れていきたいのですが、学科試験・実技試験に共通して言えることが「気象学に関する基礎知識が欠かせない」ということです。
試験問題を解きまくるといった付け焼刃的な勉強法では、残念ながら合格することはできません。
知識量の基準となるのが「一般気象学(小倉義光:著)」という教科書です。多くの気象予報士が持っている本で(私も持っています)、ここに書かれている知識の理解は欠かせません。
「一般気象学」については、他の記事「気象予報士合格にかかる勉強時間ってどれくらい?」や、「気象予報士試験の合格に必要な力と勉強法とは?」でも触れられていますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
とはいえ、この「一般気象学」を読み込むのは結構大変で…。私も初めて手に取ったとき「無理かも」と思いました。なにせ大学の講義で使われる教科書ですから、内容はそれなりにハイレベルです。
筆者撮影(一般気象学 第2版補訂版 - 東京大学出版会)
こちらをすべて覚えなければ気象予報士試験に受からない、というわけではありません。
私は「一般気象学」を参考書のように使用していました。気象予報士試験で必要な知識は「一般気象学」に網羅されているため、過去問演習などでわからないことがあった際に、この書籍を使って調べていました。
ちなみに、気象について初学者だった私が「一般気象学」での勉強を始める前に使用していたのは「気象予報士かんたん合格テキスト(気象予報士試験受験支援会)」という書籍です。イラストも多くわかりやすい文章で書かれているため、初学者の方におすすめです。
その他にも気象学初心者向けに書かれている本は多数ありますので、まずはそこからスタートして気象の基礎を学んでいきましょう。
あるいはオンラインの学習サービスなどもおすすめです。現在では気象予報士試験のための要点をわかりやすくまとめたサイトやブログなどが様々あります。こちらを参照しながら勉強するのも効率的な勉強法です。
そしてある程度の知識が身に付いた段階で「一般気象学」に挑戦してみてください。これこそが気象予報士を目指すための王道の勉強法と言えます。
ある程度の知識を身に付けておけば、「一般気象学」も内容を理解しながら読み進めることができるはずです。ここまでくれば気象予報士合格のための基礎知識は十分です。内容を忘れないように定期的に読み返してください。
気象予報士合格に数学は必要?
先ほどご紹介した「一般気象学」には、それなりに数式が登場します。しかもその数式が結構難しく、理系の人以外は完璧には理解できないはずです。
けれどご安心ください。気象予報士試験に合格するために、数学の知識はそれほど必要ではありません。
試験には計算式を使って計算する問題も数問出てきます。しかし、なぜその数式になるのかを根本から理解していなくても、「この場面ではこの数式を利用して問題を解く!」など、「どの場面でどの数式を使えばいいのか」がわかっていれば解ける問題しかありません。
引用:第57回気象予報士試験(学科試験)より
上記の問題は、第57回気象予報士試験の学科試験(一般知識)で実際に出題された問題です。
問題文を読んだときに「物理量の次元ってなに…?」と思われた方も多いのではないでしょうか(実際に私も思いました)。
しかしこれは、「物理量の次元」について知らなくても、気圧の単位が「1hpa=1kg/ms^2」であること、コリオリパラメータが「f= 2ΩsinΦ」であり単位が「s^2」であることを知っていれば解ける問題です。
かくいう私も文系の人間で、数学ははるかかなたの記憶でしたが、計算を使う問題は逆に得点源になっていました。
ですので、「数学が苦手だから気象予報士の試験は難しいかも…」と気負う必要はありません。文系出身者や算数しか学んでいない小学生でも合格していますので、数学がネックになっている方も是非チャレンジしてみてください。
勉強以上に大切なのがモチベーションを保つこと!
気象学の基礎知識を身に付けると共に重要なことは、気象予報士へのモチベーションを保ち続けることです。
気象予報士試験は難易度もそれなりに高く、長時間の勉強が必要です。さらに合格率は5%程度と低いため、心が折れそうになることもあります。
私も、「もうこれ以上勉強しなくてもいいかな…」「もう十分勉強したし資格はいいかな…」と諦めそうになりました。それでも勉強をやめずに資格を取りきったのは、気象予報士の資格を取った将来の自分の姿を諦め切れなかったからです。
気象予報士になりたい理由は皆様それぞれだと思いますが、時々その想いを見つめなおしてはモチベーションを高めてください。
なお、「テレビ関係の仕事がしたい!」「お天気キャスターになりたい!」とお考えの人も多いかと思います。アナウンサーの友人に聞いたことがあるのですが、気象予報士の資格を持っていると、それだけで就職は俄然有利になるそうです。そういったことを考えるのもモチベーション維持に大切ですよね。
今回ご紹介した通り、気象予報士を目指す第一歩は、気象学に関する基礎知識を身に付けること、そしてモチベーションを保ち続けることです。
次回はより具体的に「学科試験」の勉強法についてご紹介していきたいと思います。まずは「学科試験」の勉強法について紹介します。お楽しみに!
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