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働き方改革で有休が変わる!社労士が教える「有給休暇」新常識

働き方改革で有休が変わる!社労士が教える「有給休暇」新常識

進展する少子高齢化に備え、老若男女誰もが活躍できる社会の実現を目指し、政府では2016年から、働き方の是正に関わる議論が進められてきました。

そして2019年4月の改正労働基準法施行を受け、柔軟で多様な働き方を実現させようという「働き方改革」 が各企業で始まっています。
働く皆さんの中には、社内において就労ルールの変化を感じた方も多いのではないでしょうか。

目下、多くの企業で労働環境が改善されていく一方、依然として働く人の権利が十分に保障されない職場も存在します。
皆さんの会社は、大丈夫でしょうか?

この連載では、現役社労士が5つの視点から、労働者の権利を解説します。働く皆さんが「知らなかった!」で損しないために、役立つ情報を発信していきます。

第1回では、働き方改革での主要テーマの1つである「有給休暇」をチェックしましょう。

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働き方改革が追い風に。有給休暇の取得を諦めないで

「うちの会社には有休制度がない」

ひと昔前と比較すれば、最近ではこのように断言する会社はぐんと少なくなりました。

しかしながら、社労士の実感として「有給休暇制度はあっても取得できない」という事実は、依然として多くの会社の現状であると捉えています。

皆さんの中にも、「忙しくて有休なんて取得できない」と諦めている方や「有休を取得しようと思ったら会社に拒否された」という方、いらっしゃるのではないでしょうか?

有給休暇が労働基準法に定められた労働者にとっての当然の権利であることは、すでに皆さんご存じの通りです。
正社員はもちろん、パート・アルバイトであっても要件を満たせば、労働日数に応じた有休取得の権利が生じます。

「たとえ法律があっても、現場では通用しない」というお声が聞こえてきそうですが、今後はそうとも限りません。
これまで有休の取得申請をしづらい会社であったとしても、2019年4月を境に対応がガラッと変わった可能性があります。

改正労働基準法の施行により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は年5日の有休を確実に取得させなければならなくなったからです。

働き方改革の「年5日の有休取得義務」とは?

働き方改革関連法案の成立以前から、社労士宛にはすでに、有給休暇制度の見直しに関わる企業からのご相談が多く寄せられていました。

労働者側からの有休取得が進まない場合、会社が主体となって、労働者に対して確実な有休消化を促さなければなりません。そのための対応となるのが、下記の取り組みです。

使用者が労働者の希望をヒアリングしたうえで有休の取得時季(※)を指定する 計画的付与制度を設け、業務の繁閑にあわせて有休を付与する

※「時期」ではなく「時季」という言葉が使われるのは、有休の趣旨として、お盆や年末年始等の季節ごとに、まとまった期間の休暇取得が想定されているためとの説あり

義務化の対象となる労働者に対して年5日の有休を取得させなかった場合、会社は労働基準監督署の監督指導を受ける他、労働者1人につき30万円以下の罰金を科せられる場合もあります。
このたびの義務化は、会社規模を問わずすべての企業が対象となり、適用除外の設定はありません。

よって、今後は法令遵守のために、労働者の有休取得に前向きな会社も増えてくるのではないでしょうか。

社労士が解説!有給休暇の相談 3事例

ところで、有給休暇については、日頃から疑問に感じられる事柄も多いのではないでしょうか?

ここでは、社労士に寄せられる有給休暇関連のよくあるご相談を3つ、ご紹介しておきましょう。

Q.有休の申請が拒否されてしまいました。

A.会社は、労働者からの有休取得申請を拒否できません。やむを得ない場合、会社は申請を拒否するのではなく、労働者に対し「時季変更」を打診する必要があります。

Q.うちの会社では、在職中に有休取得できず、退職時の買い取りが基本となっています。

A.有休は本来、労働者の心身のリフレッシュを目的とした休暇であるため、買い取りを許容することで元の趣旨とは異なる運用となります。よって会社は、労働者が極力在職中に休暇を取得できるよう、対応しなくてはなりません。
ただし、やむを得ず退職前に消化できなかった日数に関しては、労使の合意の元、買い取りが認められます。

Q.有給休暇を取得するために、理由を求められました。

A.有給休暇は労働者に認められた当然の権利ですから、具体的な理由を告げることなく取得できます。よって、有休取得の理由は「私用のため」で十分です。
ただし、労働者が指定した日に、業務の都合上休暇を取得させることが難しい場合には、労使間の時季変更交渉の中で理由を尋ねられることもあります。

以上、現役社労士が有給休暇のポイントを解説しました。
社労士資格取得のメリットは、独立開業の道が開けるだけでなく、働くうえで役立つ知識を習得できることにもあるんです。

次回は、働き方改革の注目テーマである「残業」を解説していきます。

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