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宅建業法「広告規制」について質問!タカシ先生の宅建直前期Q&A

宅建業法「広告規制」について質問!タカシ先生の宅建直前期Q&A

宅建試験も間近に迫ったある日のこと。
宅建直前講義を終えたタカシ先生は、講義終了後も教室に残って熱心に勉強しているオンスク君に気づき、声をかけました。

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タカシ先生:オンスク君、頑張ってるね!

オンスク君:本試験まで1ヵ月を切りましたからね。ここまで来たからには、やるっきゃないでしょう!
ところで、先生、宅建業法では、「未完成物件については、開発許可や建築確認が下りるまでは、売買または交換に関する広告をしてはならず、貸借の媒介または代理に関する広告もしてはならない。」と規定されていますよね。

タカシ先生:うん、そうだね。未完成物件の場合は、開発許可や建築確認が下りる前に広告をすることを認めてしまうと、広告に記載されている内容と実際に完成した物件との内容に大きな違いが生じて、物件の購入者等が被害を受けるなど、トラブルが生ずるおそれがあるため、規制が設けられているんだ。

オンスク君:えぇ、それはわかるんですが、契約の締結については、未完成物件であっても、開発許可や建築確認が下りる前でも媒介によって貸借の契約を成立させたり、代理によって貸借の契約を締結することは認められていますよね。これがよくわからないんです…。

一応、テキストにも、「広告は多数の者が対象となるが、契約は1対1であり、損害も他へ拡大しない。貸借は売買に比べて損害が比較的少ない。」と理由が書かれているんですが、納得できないんです。

この理由だと、広告に記載された内容と違う物件を借りる契約をしたために損害を受けたとしても、「運が悪かったと思って諦めろ」と言ってるように聞こえるんですが…。「損害が他へ拡大しない」「損害が比較的少ない」と言っても、損害が生じるのであれば、規制すべきではないのでしょうか?

それとも、宅建業法は、多数の者の利益が守られさえすれば、少数の者の利益は損なわれてもよいという考え方に立った法律なのでしょうか?

タカシ先生:うん、確かに、テキストには、そのような理由が書かれているね。

オンスク君:自分でも、試験直前期になっていまさらこんな質問をするのはどうかと思いますが、先生が「宅建業法は得点源にしなければならない。満点を目指せ!」といつもおっしゃるので、疑問点はすっきりと解消しておきたいんですよ。

タカシ先生:オンスク君の疑問や気持ちはよくわかった。それでは、簡単な事例を挙げて説明するね。

例えば、Aさんが駅前の一等地に広い土地を持っていたとしよう。

その駅は利用客の多い駅でもあったので、Aさんは、その土地に貸ビルを建てて、老後の生活をテナント収入で暮らしていこうと考えたのだけれども、ビルを建てるためには莫大な建築資金が必要となる。

銀行から建築資金を借りればいいじゃないかと思うかもしれないが、今の時代、なかなか銀行は金を貸してくれないし、運良く借りられたとしても、高い利息を払わなければならない。

他にもっといい方法はないだろうかと思案していたAさんが、駅前で開業している宅建業者のB氏に相談することにしたんだ。以下は、AさんとB氏の会話の内容だ。

Aさん 「Bさん、ビルの建築資金を調達する、何かいい方法がありませんかねぇ。」

B氏 「Aさん、実はですね、つい先日、TACという資格学校の役員の方がうちに見えて、『新しい校舎を探しているんですが、業者さん、いい物件ありませんかね。いや、今すぐにということではないんです。1年から2年後の開校を目指していますので、急ぎませんから、いい物件がありましたら、ぜひ紹介してください。』と言ってきたんですよ。

しかも、『更地を所有している地主さんで、これから貸ビルを建てようという計画を持っている人がいるのであれば、弊社のほうで建築資金を融資してもいいと考えています。融資した分は毎月のテナント料と相殺すればよいわけですから、弊社としても問題ありません。』とまで言ってました。

それから、あのハンバーガー・ショップを展開しているMOSからも役員の方が見えて、新しい支店の候補となる店舗を探している、条件次第では建築資金を融資してもいい、とTACさんと同じようなことを言ってましたよ。」

Aさん 「本当ですか!それは渡りに船だ。あの有名なTACさんとMOSさんがテナントとなって入居してくれて、しかも建築資金まで融資してくれるというのであれば、このチャンスを逃す手はないですね。Bさん、早速ですが、話を進めてください。」

B氏 「わかりました。当社にお任せください。一両日中にはTACさんとMOSさんの担当者と会って、話を具体的に詰めてきますので、ご安心ください。」

タカシ先生:この話には続きがあって、幸い、B氏の尽力によって、AさんとTACおよびMOSとの商談がとんとん拍子に進んだのだけれども、TACおよびMOSの意向で、建築資金を融資する前に賃貸借契約を締結することになったんだ。
しかも、できる限り早くということで、開発許可や建築確認が下りる前に契約をすることになったんだ。

まぁ、TACにしてもMOSにしても、賃貸借契約をまず締結して新しい校舎、新しい店舗を確保してからでないと、オーナーに建築資金を貸す気にはなれないだろうから、TACやMOSの要求はもっともなことだ。

ところでオンスク君、もしも宅建業法が、開発許可や建築確認が下りる前は、広告と同様に、貸借の契約を媒介または代理によって締結してはならない、という規定を設けていたら、どうなる?

オンスク君:AさんとTACおよびMOSとの商談は「破談」となるでしょうね。
そうすると、Aさんの老後の生活プランは見直しが必要となりますし、TACおよびMOSも、せっかく良い物件が見つかったのに校舎や店舗を開けない、媒介によって大きな報酬が得られるはずだったB氏も、報酬を得られないということになりますね。

タカシ先生:そうなんだよ。広告と同じ規制を設けたら、誰も幸せになれないんだ。法律というものは、人を不幸にするために存在するものではないのだから、広告と同じ規制を設けるのは妥当とは言えない。

オンスク君:そうですよね。

タカシ先生:オンスク君、この事例の場合、B氏は、Aさんがオーナーとなる予定の貸ビルについて広告をする必要があると思う?

オンスク君:いいえ、ないと思います。先生が挙げられた事例では、借り手側から商談を持ちかけてきているわけですから、テナントを募集するために広告をする必要はありません。

タカシ先生:そのとおり!広告をする必要はない。したがって、広告について開発許可や建築確認が下りる前はしてはならない、という規定があっても、この事例の場合は、何の不都合も生じないんだね。だから、「広告は規制するのに、契約は規制しないのは不合理だ」というような批判はまったく当たらないと言えるんだ。

オンスク君:わかりました。これで疑問が解けました。宅建業法って、よく考えて作られているんですね。ますます宅建業法が好きになりました。

タカシ先生:それはよかった。「好きこそものの上手なれ」という言葉もあるからね。オンスク君なら、きっと宅建業法を得点源にできるだろう。頑張ってください!

オンスク君:はい、頑張ります!先生、ありがとうございました!

「大丈夫、きっと合格するよ。」
オンスク君の晴れ晴れとした表情を見て、自分もとても嬉しくなるタカシ先生なのでした。

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