宅建試験も間近に迫った、ある日のこと。
タカシ先生は、頭の中で今日の講義ポイントを整理しながら、教室に入りました。
「今日は直前対策の講義だ。税法からは不動産取得税の出題の可能性が高いので、不動産取得税を中心に講義をしよう。」
タカシ先生の宅建直前期Q&A(全5回)
- 権利関係「抵当権」
- 宅建業法「宅建業者名簿・宅建士資格登録簿」
- 宅建業法「広告規制」
- 法令上の制限「市街化調整区域」
- 税・その他「不動産取得税」
タカシ先生:皆さん、おはようございます!今日も、楽しくやっていきましょう!
早速ですが、今年の本試験では、税法については不動産取得税からの出題の可能性が高いので、本日の講義では、まず、不動産取得税について重要ポイントの確認と整理を行っていきます。
では、Aさん。不動産取得税の課税主体は誰ですか?
受講生A:都道府県です。
タカシ先生:そうですね。不動産取得税の課税主体は都道府県です。固定資産税の課税主体が市町村であることと混同しないよう注意しましょう。
では、Aさん。海外に所在する不動産の取得に対しても不動産取得税を課税することができますか?
受講生A:できると思います。いや、できないかな?…。
タカシ先生:Aさん、不動産取得税は、その不動産の所在する都道府県が課税する税金であることに注意してください。「その不動産の所在する都道府県」というところがポイントです。
受講生A:あっ!わかりました!海外に所在する不動産の取得に対しては不動産取得税を課税することはできません。
タカシ先生:そのとおりです。
それでは次に、Bさん。甲が、その所有する土地を乙に売却した場合において、所有権の登記がまだ甲の下にあるとき、乙に対して不動産取得税を課税することができますか?
受講生B:できます。「不動産の取得」とは、不動産の所有権を現実に取得することであり、登記の有無は問われないからです。
タカシ先生:素晴らしい!まったく、そのとおりです。
では、次にCさん。「不動産取得税は、不動産を売買または交換によって取得した場合には課税されるが、贈与、相続または合併によって取得した場合には課税されない。」という問題は、正しいですか?それとも誤りですか?
受講生C:正しいです。
タカシ先生:Cさん、もう1度言いますから、よく聞いてくださいね。
「不動産取得税は、不動産を売買または交換によって取得した場合には課税されるが、贈与、相続または合併によって取得した場合には課税されない。」という問題は、正しいですか?それとも誤りですか?
受講生C:…あっ!間違えました!誤りです。贈与によって取得した場合には課税されます。
タカシ先生:そうですね。よく気が付きました。相続または合併によって取得した場合には課税されませんが、贈与によって取得した場合には課税されることに注意してください。
この手のひっかけ問題は、問題文をよく読まないとひっかかりやすいですから、十分に注意してください。
実は私もそうなんですが、小説などを読むときに斜め読みをする癖のある人は、この手の問題にひっかかりやすいので、心当たりのある方は注意してください。
本試験問題は、ひっかけ問題のオンパレードですから、問題文は、目を皿のようにして読むことが肝心です。
あと、「不動産の取得」に関しては、家屋を改築したことによって家屋の価格が増加した場合も含まれる、ということも押さえておいてください。
それでは次に、Dさん。「家屋が新築された日から2年を経過して、なお、当該家屋について最初の使用または譲渡が行われない場合においては、当該家屋が新築された日から2年を経過した日において家屋の取得がなされたものとみなし、当該家屋の所有者を取得者とみなして、これに対して不動産取得税を課する。」という問題は、正しいですか?それとも誤りですか?
受講生D:…。
タカシ先生:では、ヒントを差し上げましょう。「2年」というところが問題となります。
受講生D:あぁ、そういうことですか。「2年」ではなく、「1年」が正しいです。ですから、さきほどの問題は、誤りです。
タカシ先生:そのとおりです。本問の類題は、最近では、平成24年と28年に出題されていますね。ほかの皆さんも、これを機会に知識の確認と整理を行ってください。
では、次に、Eさん。「不動産取得税の免税点は、土地の取得にあっては30万円、家屋の取得にあっては20万円である。」という問題は、正しいですか?それとも誤りですか?
受講生E:正しいと思います…。ちょっと、自信がありませんが…。
タカシ先生:Eさん、ひっかかりましたね。「30万円、20万円」というのは、固定資産税の免税点であって、不動産取得税の免税点は、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築の場合は1戸につき23万円、建築以外の場合は1戸につき12万円です。
「父(10万円)ちゃんと兄さん(23万円)は、12(12万円)時まで働いて不動産を取得した」と覚えるとよいでしょう。
では、次に、不動産取得税の特例について質問します。特例に関する問題は、特に出題の可能性が高いので、しっかりと押さえておく必要があります。
ではまず、Fさん。一定の要件を満たす新築住宅を取得した場合、その新築住宅にかかる不動産取得税の課税標準の算定については、その新築住宅の価格から1,200万円が控除されますが、この特例が適用されるための住宅の床面積要件はどうなっていますか?
受講生F:50㎡以上240㎡以下です。
タカシ先生:そのとおり!「50㎡以上240㎡以下」となっていますね。この上限の数字は、「280㎡」と替えて出題されることがありますから、十分に注意してください。
「280㎡」というのは、固定資産税の新築住宅に対する税額の減額特例の場合における床面積要件です。
固定資産税の新築住宅に対する税額の減額特例の場合における床面積要件は、「50㎡以上280㎡以下」となっていますね。これと混同しないように注意してください。
「50㎡以上240㎡以下」という床面積要件については、「住宅は、これ(50㎡)にしよう(240㎡以下)!」と覚えるとよいでしょう。
では、Fさん。この新築住宅の課税標準の特例は、個人のほかに法人もその適用を受けることができますか?
受講生F:できます。
タカシ先生:そうですね。法人も適用を受けることができます。
では、Fさん。既存住宅の取得についても課税標準の特例がありますが、この既存住宅の課税標準の特例についても、法人はその適用を受けることができますか?
受講生F:できます。
タカシ先生:残念!既存住宅の課税標準の特例については、個人のみがその適用を受けることができ、法人はその適用を受けることができないことに注意してください。
それでは、次の質問です。Gさん。宅地を取得した場合における当該取得にかかる不動産取得税の課税標準は、当該宅地の価格の3分の1の額ですか?それとも2分の1の額ですか?
受講生G:えーっと、…2分の1の額だと思います。
タカシ先生:自信がなさそうですね。2分の1の額で正しいんですよ。
宅地を取得した場合における不動産取得税の課税標準の特例は、不動産取得税の特例の中でも最も出題の多いところですから、「2分の1」という数字は確実に覚えておく必要があります。「たくち(宅地)ゃんは、ハーフ(2分の1)だ」と覚えるとよいでしょう。
それでは、今度はHさん。不動産取得税の標準税率について質問します。土地の取得と住宅の取得の場合における税率は何%ですか?
受講生H:3%です。
タカシ先生:そのとおり!土地の取得と住宅の取得の場合における税率は、3%ですね。
では、Hさん。住宅以外の家屋を取得した場合は、何%ですか?
受講生H:4%です。
タカシ先生:そのとおりです。素晴らしい!この不動産取得税の税率も頻出項目となっていますので、確実に押さえておいてください。
それでは、Iさん。「不動産取得税の徴収は、申告納付の方法による。」という問題は、正しいですか?それとも誤りですか?
受講生I:誤りです。申告納付ではなく、普通徴収です。
タカシ先生:そうですね。不動産取得税の徴収は、固定資産税の場合と同様に、普通徴収の方法によります。申告納付の方法によるのは、所得税の場合ですね。
不動産取得税についてはこれくらいにして、次は、印紙税について、その重要ポイントの確認と整理を行っていきましょう。それではまず、Jさん、質問です。印紙税の…。
「本試験まであとわずか。最後まで諦めることなく、全力で頑張ってほしい。絶対に合格だ!」
直前対策講義をしながら、すべての受講生に心の中で熱く語りかけるタカシ先生なのでした。
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