陸上輸送に関わる業種に就いている方で、将来的なキャリアアップや転職を考えている方におすすめなのが、国家資格である「運行管理者(貨物)」です。
ドライバーとして働いている方なら、一度は耳にしたことがあるのではないかと思いますが、具体的にはどのような仕事ができる資格なのでしょうか。
そんな疑問を解くべく、連載「国家資格『運行管理者(貨物)』とは?」1回目の今回は、運行管理者(貨物)とはどのような資格なのか、試験内容や類似資格などの概要についてご紹介します。
実際に、この資格を独学で取得した筆者の経験に基づいたお話も一緒にしていきますので、ぜひご覧ください。
「運行管理者(貨物)」とはどんな資格?資格の概要について
まずは、運行管理者(貨物)とはどんな資格なのか、その概要についてご紹介します。
「運行管理者(貨物)」の役割と主な仕事内容について
運行管理者(貨物)とは、貨物を運ぶ仕事をするドライバー達が、安全に正しく働けるよう管理するための資格です。
ドライバーが安全に働けるよう管理することで、大型トラックなどによる重大な交通事故を防ぐ役割の一端を担う、責任の大きな仕事となります。
運行管理者(貨物)の主な仕事内容は、以下の通りです。
- ドライバーが長時間運転にならないように運転時間と休憩時間の調整を行う
- 安全に運転を行える走行ルートを計画し、提案する
- 安全運転の意識向上のための勉強会や講習会の実施
実務でドライバーとして働いていた方であれば、資格取得後は、現場で実際に走行するよりも、オフィスワークでドライバー達の勤務時間や健康状態などを管理する役割へと変化する場合が多いでしょう。
試験内容と資格取得の難易度
概要を踏まえたうえで、次は運行管理者(貨物)の試験内容と難易度について見ていきましょう。
運行管理者(貨物)の試験内容は、道路交通法や労働法などの関連法律に関わる問題が約77%と、実務に関わる問題が約23%の割合で構成されています。
合格ラインは正解率60%(30問中18問正解)ですが、これと同時に、5つの分野のうち1~4の分野(法律関連)では最低1問、5の分野(実務関連)では最低2問の正解が必要です。
合格率は、令和2年度第1回試験で30%台前半と高くはありません。
しかし、毎年類似問題が出題される傾向が強いうえに、暗記ものが7割以上を占めるので、過去問を参考にしっかりと勉強をすれば、難易度はそう高くないと言えるでしょう。
私もはじめのうちは、法律に関わる問題の独特の言い回しを理解するのが難しく、苦手意識がありました。
しかし実は、実務を行ううえで当たり前のように遵守している内容や、すでに基礎講習で習った内容が言語化されているだけだ、ということに気づいたのです。
それに気づいてからは、テキストを理解するのもスムーズになり、暗記自体はそこまで大変とは感じませんでしたよ。
苦手意識を持ちすぎると、覚えられるものもなかなか覚えられないので、実務の内容が出るから大丈夫!という心持ちで進めてみてはいかがでしょうか。
「運行管理者(貨物)」に類似した資格
続いて、運行管理者(貨物)の資格に興味がある方向けに、類似資格をご紹介します。
資格に求められている責任や業務内容などが似ているので、運行管理者(貨物)とあわせて取得するのもおすすめです。
衛生管理者
「衛生管理者」とは、労働環境の管理や改善を担うもので、一言でいうと「職場内で働く人々の健康を守るための資格」です。
労働者が健康に働けるよう管理するという点が、運行管理者(貨物)とも類似していますね。
運行管理者(貨物)は、貨物輸送に関わる業種・職種にのみ特化した資格ですが、衛生管理者はどのような業種に就いても活かせる資格ですので、より幅広い業種で活かす事ができるでしょう。
衛生管理者って具体的にどんな仕事をするの?安全管理者
「安全管理者」とは、労働現場の安全を確保するために労働環境の管理や改善を行う資格です。
前述の衛生管理者が人の管理の責任を負うとした場合、安全管理者は、人が働く場所の管理責任を負うようなイメージです。
こちらも運行管理者(貨物)よりも幅広い業種で活かせる資格ですが、安全に働くために働きかけるという点では、運行管理者(貨物)の資格と類似しています。
危険物取扱者
人や環境の管理でなく、モノの管理や取り扱いに関しては「危険物取扱者」という資格があります。上記2つの資格に比べると管理よりも実務寄りの資格ですが、運行管理者(貨物)と類似するのは、事故なく安全に運搬物を管理・輸送するための資格という点です。
運行管理者(貨物)の資格所有者でこの危険物取扱者の資格を持っていると、就職や転職の際に有利に働くケースが多いです。
「運行管理者(貨物)」とは、ドライバーの安全を守る大切な役割を担う資格
今回は、「運行管理者(貨物)」の資格について概要をご紹介したうえで、類似資格に関してもまとめてみました。
ドライバーが安全に貨物を輸送できるよう管理することは、重大事故を抑制することに繋がるだけでなく、社内環境の見直しや改善にも大きな役割があります。
運行管理者(貨物)の資格に興味がある方は、後半でご紹介した3つの資格取得にも向いている可能性があります。あわせて取得することで、業務の幅が広がるでしょう。
将来的にキャリアアップや転職をと考えている方にとっては、大きな手助けにもなるはずなので、ぜひ前向きに取得を目指してみてはいかがでしょうか。
さて次回は、運行管理者(貨物)の資格の活かし方やメリットについてご紹介します。
参考URL:
https://www.unkan.or.jp/about.html
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