連載「国家資格『運行管理者(貨物)』とは?」では、運行管理者(貨物)の資格について様々な角度からお話をしてきました。
最終回の今回は、運行管理者(貨物)として活躍するために役立つ資格やスキルを、運行管理者(貨物)の資格を持つ筆者がご紹介していきます。
これから運行管理者(貨物)の資格を受ける方も、既に資格を持っていて更なるレベルアップを目指してダブルライセンスを検討している方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「運行管理者(貨物)」の資格だけでは不十分?
タイトルや冒頭の文章を読み、運行管理の仕事をするのに「運行管理者(貨物)の資格だけでは不十分なの?」と不安に思った方もいるかもしれませんが、そんなことはありませんのでご安心ください。運行管理者(貨物)だけでも、十分活躍ができる資格です。
しかし働くうえでキャリアアップを目指したい方や、運行管理者(貨物)の経験を活かして他分野で活躍してみたい方は、視野や選択肢を広げるためにダブルライセンスを検討してみるのも1つの方法ではないでしょうか。
私自身も運行管理者(貨物)の資格を活用して働いている身ではありますが、資格に関することを調べるのがライフワークの1つでもありますので、将来的にはダブルライセンスをと考えています。
ダブルライセンスを取得するメリットとは
ダブルライセンスを取得するメリットは色々ありますが、主なメリットとしては知識を証明する資格が増えて信用を得られること、任せてもらえる仕事の幅が増えることでしょう。
運行管理者(貨物)の資格と同業種で活用できる資格を取得した場合は、運送業での職種の幅が増えるだけでなく、同じ職場で複数の役割を担える可能性があります。
一方、運行管理者(貨物)とは異業種で活用できる資格の場合は、運行管理者(貨物)の経験を活かしながら、別業種へのキャリアアップ転職にチャレンジする機会を掴むことができるでしょう。
このように、資格を増やすことをきっかけに、視野や知識の幅が広がります。その結果、将来の働き方の選択肢も広がるのではないでしょうか。
ダブルライセンスを取得するなら何がおすすめ?
将来のためにおすすめしたいダブルライセンスですが、何でも興味のあるものを取得すればよい、というものではありません。
極端な話ですが、例えば運行管理者(貨物)とカラーコーディネーター検定2級の組み合わせでダブルライセンスと言われると、活かし方がパッと思いつきませんよね。
ですので、運行管理者(貨物)と新たに取得する資格、両方をしっかり活かし合えるものを選びたいところです。
そこで、筆者が考える、運行管理者(貨物)とのダブルライセンスで活かしやすい、おすすめの資格4つをご紹介します。
衛生管理者
最初におすすめしたいのが「衛生管理者」の資格です。
「衛生管理者」とは、社内の労働環境の管理や改善を行う資格で、一言でいうと「社内で働く人々の健康を守る資格」です。
社内で働く人々の健康管理を行うという点が、運行管理者(貨物)と似ているので、資格勉強もスムーズに入りやすいのではないかと思います。
運行管理者(貨物)は運送業に特化した資格ですが、衛生管理者はどのような業種でも従業員数が50名以上の職場に必要なポジションです。
従って、運行管理者の資格や経験を活かしながら他業種にチャレンジしたいと考えている方にも、運行管理者としてより多くの(規模が大きな)事業所を任されたいと考えている方にも役に立つ資格といえるでしょう。
社会保険労務士(社労士)
「社会保険労務士(社労士)」とは、企業の社会保険や労働保険に関するあらゆる手続きを行うための資格です。
年金や健康保険、雇用保険や労災保険など、会社では従業員にあらゆる保険をかけることが義務付けられています。これらに間違いが無いか管理するのが社労士の仕事で、労働保険や社会保険に関わる法律のエキスパートといえるでしょう。
この資格も、会社に所属する従業員のために保険や労務管理を行うことから、運行管理者(貨物)と相性の良い資格といえます。
運行管理者(貨物)を経て、将来的には事業所の責任者や複数の事業所の統括部門などへのキャリアアップを目標にしている方には、特におすすめです。
また、社労士は国家資格かつ業務独占資格ですので、社労士の資格がある方だけにできる仕事というのが多くあります。昨今の働き方改革により、労務管理に関わることは各企業敏感になっているため、ニーズも高まっています。
従って、異業種への転職にも役立つ資格といえるでしょう。
メンタルヘルスマネジメント
一言でいうと、「職場の人の精神衛生が安定するよう、働く環境の改善やストレスの緩和を行う資格」です。
毎日の点呼でドライバー達の健康管理をしている運行管理者でも、心の不調はなかなか見つけにくいものです。メンタルヘルスケアマネジメント検定を取得し、そのノウハウを活かせば、ドライバー達の心身の不調に気が付く機会が増えるかもしれません。
そういう意味で、運行管理者(貨物)とのダブルライセンスにおすすめの資格といえるでしょう。
メンタルヘルスマネジメント検定は、運行管理者のレベルであればⅡ種のラインケアコース、またはⅠ種のマスターコースの取得が望ましいでしょう。
危険物取扱者
ここまでは、従業員の管理に関わる資格をご紹介しましたが、最後は運送業に特化した「モノ」の管理に関わる資格を紹介します。
「危険物取扱者」は、運搬物を安全に管理し、事故なく輸送する為の資格で、前述の3つの資格に比べると、管理よりも実務寄りです。
特に、化学工場や石油貯蔵タンクではこの資格のある人が必要となるのですが、運送業でもこれらの製品を保管し運搬する場合は、「危険物取扱者」の資格が必要となります。
今働いている倉庫や事業所では不要であっても、運行管理者とのダブルライセンスで、同業種への転職が有利になるケースもあるでしょう。
したがって、キャリアアップや転職を考えてはいるものの、業種は変えずに将来的にもずっと運送業でやっていきたいと考えている方にとっては、重宝する資格と言えるかもしれません。
将来の方向性を見極めたうえでダブルライセンスを検討しよう
今回は、運行管理者(貨物)として活躍するために検討したいダブルライセンスについてご紹介しました。
ダブルライセンスは、運行管理者としてレベルアップしたい方、経験を活かしながら異業種に挑戦したい方、どちらにもおすすめです。
今回ご紹介した資格以外にも、フォークリフトや安全衛生責任者など、運行管理者との相性が良い資格は色々あります。
複数ある資格の中から興味のあるものを選ぶのも良いのですが、まずは自身が将来的にどうなりたいか、運送業で働いていたいのか、それとも未経験の分野に飛び込んでみたいのかなど、一度方向性をしっかり考えてみるのが良いでしょう。
さて、6回に渡りお届けしてきた運行管理者(貨物)に関する連載も今回が最後になりましたが、いかがでしたか?
個人的には運行管理者(貨物)の資格を取得して、運送業で仕事をするうえで更なる楽しみや、やりがいを見出せたので、がんばって勉強して良かったなと思っています。
お読みいただいた方は、運行管理者(貨物)の資格を目指している方や、少し興味がある方など様々ではないかと思いますが、この連載を通して、運行管理者(貨物)の仕事の楽しさや、資格の必要性を知っていただけると嬉しいです。
資格の取得を検討している方は、まず運行管理者(貨物)に関するテキストやオンラインの体験講座などを実際にご覧になってみてはいかがでしょうか。
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