衛生管理者試験を受けるきっかけは、「業務上資格取得が必要になった」「自己研鑽のため」「転職前に資格取得したい」など、いろいろあると思います。
衛生管理者試験を受験するには、労働衛生の実務経験を積んだうえで事業者証明書の提出が必要になるため、どうせなら一発合格を目指したいですよね。
受験する方は社会人が多いので、勉強時間にも制約があるはず。そのため、独学で仕事の合間をぬって勉強される方が非常に多い試験です。
そこで今回は「合格者が伝授!衛生管理者勉強法」と題し、4回にわたり独学でできる、スキマ時間を活用し効率的に合格に近づく勉強法をご紹介します。
衛生管理者はなぜ会社で求められる?
常に50人以上の労働者を使用する事業場では、労働者の健康を守るために衛生管理者を選任することが必要です。
労働者の人数に応じて、衛生管理者を選任することが労働基準法で義務付けられています。
ここでポイントなのは、「労働者の人数に応じて」という点です。
人数が増えれば、それだけ衛生管理者を選任する人数も増えるということ。しかも、事業所ごとに衛生管理者が必要になります。
このため会社としては、人事異動を考えると、衛生管理者の資格を持った人がいるのはとてもありがたいことなのです。
50人未満の事業所であっても衛生推進者を置かなくてはなりませんが、まったく知識がない人を選任して業務を担当させるより、法的に選任義務はなくても、実際の業務を衛生管理者が行うほうが安心できます。
そのため、人数が50人に満たない事業所においても、企業規模が大きいほど衛生管理者が求められるのです。
皆さんの中にも、前任者の異動で急に資格取得が必要になったという方がいるかもしれませんね。
衛生管理者試験の概要
試験時期と合格率
衛生管理者試験は、毎月各地域の安全衛生技術試験協会のセンターで行われているほか、各都道府県では年1~2回程度の出張試験が実施されています。
センターでの試験は、締切日より前に定員に達することが多いので、早めに申込みましょう。
2023年度の合格率は、第一種衛生管理者が46%、第二種衛生管理者が50%程度です。
参考:労働安全衛生法・作業環境測定法に基づく試験 統計|公益財団法人 安全衛生技術試験協会
https://www.exam.or.jp/exmn/H_gokakuritsu.htm
試験科目
合格するためには、全科目において得点率が40%を超え、かつ、全体の60%以上であることが必要です。以下の表を参考にしてください。
例えば、第一種衛生管理者免許を取得したい場合をみてみます。
科目ごとに40%以上の正答率が必要(例えば労働生理なら10問中4問以上)で、さらに全体の60%以上の正答率でなければ合格とはなりません。
つまり、1科目でも40%を下回ってしまえば不合格となってしまうため、「この科目は捨てる」ということができません。
満点は目指さなくてもよいので、とにかく「科目全体をまんべんなく勉強する」ことが必要になってきます。
衛生管理者のテキストの選び方
テキストは、大きく分けると
・情報量の多い、厚いテキスト
・薄いテキスト
・問題集とテキストが一緒になっているもの
の3種類があります。
独学で、かつ短期間で合格するためにおすすめなのは、薄いテキストです。
テキストはあくまで概略を頭に入れ全体像を理解するために使用するので、情報量が多すぎないほうが良いためです。
私自身、はじめは情報量が多いほうがよいと思って辞書のような分厚いテキストを購入しましたが、結局最後まで読み切れませんでした。
ポイントを絞って勉強したほうが効率がよいため、覚えるべきポイントが押さえてある薄いテキストを購入されることをおすすめします。
次に、問題集を選びます。ポイントは、問題の量が多いものではなく、解説が詳しいこと、直近の過去問が掲載されていることです。
また、使用するテキストや問題集は、販売されている最新版のものを使用することもポイントです。法改正などで過去問の正誤が変わることがありますので、必ず最新のテキストや問題集で勉強してください。
最新のテキストや問題集であれば、法改正によって正誤が変わってしまった問題でも、解説を読むことにより対応することができます。
例えば以下の過去問題をみてみましょう。
上記の問題は、出題時点では(5)が誤りでした。2019年4月に法改正があり、フレックスタイム制の清算期間が1か月から3か月に延長になったため、現在では(4)も誤りとなってしまいます。
衛生管理者に独学で合格!資格勉強初心者におすすめのテキストとは?
衛生管理者試験傾向からのおすすめ勉強法
衛生管理者試験は、過去問と同じ、または類似する問題がかなりの割合で出題される試験です。そのため、独学の勉強法としては過去問を解くことが中心となります。
では知識だけのテキストはいらないのかというと、そんなことはありません。試験範囲について全般的な知識がないのに問題ばかり解いていると、かえって時間がかかります。特に有害業務などの分野は、いきなり過去問を解くのは難易度が高いです。
衛生管理者試験の勉強法としておすすめなのは、テキストをひととおり読んだら、ひたすら過去問を解くことです。
① 薄いテキストを使い、試験で求められている知識の概略を頭に入れる
このときは全体像を理解することが目的です。ひととおり目を通しましょう。
自分が得意な分野があれば、数値や暗記項目を覚えましょう。
② 分野別に問題を解く
問題集が過去問の場合は、1回分の試験を通して解くのではなく分野ごとに解きます。
この際、解説が役に立ちます。答えが合えばよいのではなく、なぜ正解か、ほかの選択肢の誤りは何かを、解説を見ながら覚えます。この段階で合格レベルに必要な知識をインプットするのです。
過去問を分野別に解き続けることで、出題の傾向がわかってきます。
③ 最新の過去問を1回分ごとに解く
問題集が過去問である場合は、1回分通して解いてみると、合格ラインに達しているかがわかります。
最新の過去問を解くのは、これまでと違う傾向の問題が出ていないかを確認するためです。直近の過去問は、実施団体である安全衛生技術試験協会が、公表試験問題としてHPに掲載していますので、これを活用するのもよいでしょう。
④ 苦手な分野の過去問をひたすら解く
あとは、時間の許す限り、自分の苦手な分野の過去問をひたすら解き続けます。
苦手な分野の勉強はどうしても億劫になりがちですが、衛生管理者の勉強は、とにかく穴を作らないことがポイントです。苦手な分野は全問正解を目指すのではなく、40%以上正答できるようにがんばろう、ぐらいの気持ちで臨むとよいでしょう。
衛生管理者の試験勉強の時間配分
衛生管理者の試験勉強は、「問題を解き、解説を読む」勉強をメインにします。
試験までどの程度時間があるかにより配分は変わりますが、2ヵ月間だとすると時間配分はこんなイメージです。
この勉強法の特徴は、1日1時間、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を利用して勉強できる点です。
これだけでも、2ヵ月間毎日勉強すれば60時間も勉強できます。
衛生管理者試験を短期で一発合格するには、過去問の学習が不可欠です。
出題分野のまとまった知識を持っていない場合は、まずはテキストを読んで全体像をつかむことから始めましょう。
次回からは、試験の分野別の勉強法と押さえるべきポイントについてテーマごとに紹介していきます。
最初は「労働衛生」について詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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