この連載「失敗から学べ!宅建独学合格体験談」では、仕事をしながら宅建受験に3年挑戦してようやく合格した筆者の失敗談とその対策についてお届けしています。
前回は「法令上の制限」の宅建受験における重要性と、初心者の筆者がやってしまった失敗談、実際に合格した際の試験対策ポイントについてお伝えしました。
連載第5回の今回は、苦手意識を持つ方が多い「その他関連知識」についてです。
その他関連知識では、主に不動産にかかわる税制と不動産価格の評定などの基礎的な部分を学ぶのですが、筆者は税金にかかわる内容が難しすぎてとても苦しみました。
同じくその他関連知識の勉強に悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
その他関連知識の内容と勉強へのアプローチ
「その他関連知識」は宅建試験問題の最後の方で出題される分野で、50問中8問の出題。
具体的な範囲は、次のとおりです。
- ① 不動産取引にかかわる税金関連(不動産取引にかかわる税金の知識)
- ② 不動産価格の評定(土地の公的な基準価格にかかわる知識)
- ③ 住宅支援機構、不当表示防止法(住宅ローンや不動産の広告にかかわる知識)
- ④ 統計(不動産業のあらゆる統計の知識)
この中で特に重要なのは、①の税金関連です。
不動産売買営業の実務でもよく問われるのは税金関連なので、宅建における税にはどのような種類があるのかをしっかり学んでおく必要があります。
その他、不動産の情勢や不動産価格がどのようにして決まるのかの仕組み、インターネット・チラシ・キャンペーン等の広告の適正とはどのようなものか、といった知識も求められます。
続いて、その他関連知識の具体的な受験対策についてお話しします。
先にお伝えしたいことは1つ。「税金の知識の深ぼりは禁物」です。
この分野は全8問のうち、「税金」から3問、「税以外のその他関連知識」から5問の出題になります。
前述した「② 不動産価格の評定」と「③ 住宅支援機構、不当表示防止法」は、暗記やいわゆる“普通の感覚”に頼っても割と正答しやすい範囲です。
また「④ 統計」も情勢問題ですので、受験する年に購入した直前対策問題集に記載されている統計内容を直前に丸暗記する対策で十分間に合います。
勉強方法にコツが必要なのは、①の税金。
ズバリこの分野は、税金が一番の山場なのです。
しかし大事だからといって、深掘りは禁物。
宅建士に求められている税金の知識は、「基礎的な内容を把握していること」です。税法は突き詰めると沼のように深いため、あくまで概要を正しく覚えることに徹し、短時間で知識を仕上げましょう。
筆者の失敗経験談から学べ!その他関連知識 2つの対策方法
筆者の勉強初期の失敗談と、その経験から得た対策をお伝えします。
失敗から学んだ対策① 税金の種類と納税目的を把握する
宅建では普段接することのない種類の税金が多く登場します。
筆者は「税金は難しい」という先入観で、この分野に踏み入ることがかなり憂鬱でした。
そんな筆者の受験1年目の失敗は、「税金は難しい=苦手」という先入観により、理解を諦めてしまったことです。
恥ずかしい話ですがそのときの筆者は、完全に税金の勉強を捨てて受験に挑みました。
そして結果は不合格。
税金は実務でも頻繁に出てきます。不動産業で働くのなら税金を理解することからは逃げられないと、2年目にリベンジを誓ったのでした。
この失敗を経て取った対策は以下のとおりです。まずは「種類」と「どんなときに税金が発生するか」を学ぶ!
とにかく「その他関連知識」では、税金を捨ててはいけません。
先入観を持たず、税金の種類と目的の理解を進めましょう。
税金の種類を覚えるためには「納税の目的を把握する」ことが一番の近道です。
まずは「種類」と「どんなときに税金が発生するか」を学びましょう。
筆者は以下の5つに分けて把握していきました。
- ① 納税義務者 … 誰に?
- ② 納付先 … どこから請求?
- ③ 算出方法 … どんな計算方法で算出?
- ④ 徴収方法 … どのように納税?
- ⑤ 特例 … 減免はある?
①から④は、質問に一言で答えられるくらい端的に覚えましょう。
⑤は様々な条件がありますが、「法令上の制限」のときのように暗記で十分対応できます。
難しく考えず「基礎的な範囲で端的に」がポイントです。
失敗から学んだ対策② 押さえるべき基礎問題とそれ以外の区別をつける
税金は、宅建業で働く人に必ず求められる知識です。とても複雑なためしっかりと知識を深めておかなければと考えるかもしれませんが、受験の際にその考えはいりません。
筆者の受験2年目の失敗は、「覚えなくてもいいことにまで手を伸ばした」ことです。
1年目に勉強を諦めたことを後悔し、2年目は真剣に取り組みましたが、「あの場合は?」「この場合は?」と深掘りし、勉強に時間をかけすぎました。
どの程度の問題が出るか、どのレベルの問題までを得点の守備範囲にするかを線引きできていなかったのが反省点です。
税金にかけすぎた時間を、宅建業法や民法の知識定着に使えばよかったと後悔しました。
この失敗を経て取った対策は以下のとおりです。難易度の高い問題が出たら捨てるよう、基礎とそれ以外の問題の見極めができるようにする!
税金の分野は、宅建試験には基礎的な知識があれば十分とお話ししましたが、実は難易度の落差が激しいのが税金の出題傾向です。
じゃあ、難しい問題にも対応できるように勉強する…
のは待ってください!
仮に配点が多く得点源になる宅建業法並みに勉強時間を費やして、知識を身に付けたとしても、税金で稼げる点数は3点分です。
この3点をどのように考えるかはそれぞれですが、限りある時間を効率的に使い、確実に得点に繋げることを忘れないように学習したいものです。
税金の分野を捨てるのはおすすめしませんが、向き合い方を間違えると大きな落とし穴になります。難しい問題は捨てるということも、合格のためには大切な判断です。
そのかわり基礎的な知識は問題集の反復と過去問でしっかり身に付けておき、捨て問の線引きをできるようにしておきましょう。
連載「失敗から学べ!宅建独学合格体験談」、今回は、独学で宅建試験と3年間向き合って合格した筆者の「その他関連知識」における失敗談と、実際に合格した対策方法についてお話ししました。
「その他関連知識」は一問一答や過去問を繰り返せば問題傾向もわかりますので、得点はそう難しくありません。
不動産価格の評定、住宅支援機構、不当表示防止法は暗記で対応し、統計については一夜漬けでも問題ないでしょう。
税金問題は整理して理解するにとどめ、難しい問題は捨て問として割り切ることが大切ですよ。
さて次回は連載最終回、宅建試験直前期における失敗経験談と対策方法についてお伝えします。次回もお楽しみに。
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