こんにちは。オンスク簿記3級講座担当の織田です。
連載「知って納得!簿記の基礎」では、簿記を通して、社内の細かい処理や消費税のような社会全体の大きな流れをお話ししてきました。
今回は、前回も登場した「株式会社」がテーマです。
「株式会社」、たくさんありますよね。〇〇株式会社とか、株式会社△△とか。この「株式会社」とはどういう意味なのでしょう。
ご存知の方も多いかと思いますが、今回は簿記の視点から見ていきます。
お店を始めよう!最初に必要なのは「資金」
突然ですが、ちょっと想像してみてください。
皆さんは「これは売れるぞ!」というアイデアを突然、ひらめきます。それは、得意なビーズのアクセサリーでもいいですし、SNSのスタンプも有りです。
そこで、ちょっと試しに、知り合いに見せてみるとこれが大絶賛。「絶対売れるよ!」と言われ、その気になって“お店”を開こうと考えました。
さて、最初にすることは何ですか?
今時、必ずしも店舗が必要なわけでもありません。パソコン1つでも始められます。ですが、店舗にしろ、仕事用パソコンにしろ、商売の環境を整えたいですよね。そのために必要なのは、やはり「資金」です。
ですから、まず最初に、お店用お財布を作って、自分のお財布から、お店用のお財布にお金を入れるところからスタートすることになります。
この“お店用のお財布に現金を入れる”ことを「元入れ」と言ったりします。オーナー店主の場合は、自分で元手を用意します。商売の元手(商売の元になる資金)には、現金だけではなく土地や建物などもあります。
「元入れ」をすると、いよいよ「お店」のスタートです。
お店用のお財布で、材料や必要なものをそろえ、帳簿も記入し始めます。
商品を用意し、宣伝もしなければいけません。
売れたら、売上げはお店用のお財布に入ります。たとえ1人のお店であっても、そこはきちんと分けていきます。
縛られない開放感もありますが、営業も経理も総務も全部自分でしなければならないのが個人事業主です。
もっと大きな商売がしたい!どうやって資金を集める?
さて販路も安定し商売も軌道に乗ってきて、帳簿にも慣れてきました。
同業者とのコミュニティに参加しているうちに、「みんなでもっと大きな商売をやろう」という話が出ました。
一度自分の「お店」の開業は経験済みですが、今度は「会社」です。資金を自分たちだけで用意するのは難しそうです。
そこで、「株」の登場です。
自分たちには商売のアイデアやこれまでの経営の経験がある、けど、資金が足りません。
“自分たちの商売を応援してくれる方、自分たちの◎◎会社の「株」を買ってください。”ということで、応援をしてくれる人たちから資金を集めるのです。
その資金をもとに始めるのが「株式会社」という訳です。
では、この「株式会社」は誰のもの(誰が所有)?CEO?代表取締役社長?
違いますよね。株を買ってくれた応援してくれる人たちです。この人たちを「株主」と言います。
そして、“あなたは◎◎株式会社の株主です”という地位を示すものが「株式」、それが目に見える形になった(証券化したもの)が「株券」なのです。
「株式会社」は所有と経営の分離といわれます。株主は資金を出し、経営は取締役とよばれるプロに任せるしくみです。
「株主総会」という言葉を聞いたことがありますか?会社の成績やこれからの事業計画を株主に説明して、重大なことは株主の賛否を問う会議です。
いくら“所有と経営の分離”といっても、応援してくれている株主に無断でやりたいことをしていいわけではありません。
会社の成績が良いと、「配当」といって株主に利益の一部を分配します。
また、「株主優待」という言葉はよく聞かれますが、これは、株主向け特別割引きとか、株主だけへのサービス、といったものです。
いかがでしょう。最初にもお話ししましたが、たくさんある「株式会社」の1つ1つに株主がいるのです。
株を発行した場合の仕訳を見てみよう
「株式」を学ぶ資格は他にもあります。株式を“投資”という観点から学ぶものが多いようですが、日商簿記3級では“買う”側ではなく“発行”する側を学習します。
せっかくですので、株を発行した場合の仕訳を見てみましょう。
1株2,000円で1,000株発行して全額分の株主が決まって払い込まれたとします。
当座預金 2,000,000 | 資本金 2,000,000 |
となります。
「当座預金」は、商売用の銀行口座と考えてください。
「資本金」は聞いたことがありますか?会社概要には必ず書いてありますよね。
ここでは簿記の視点から見ていきましょう。
第3回(「ICカード」の回)の決算書を覚えていますか。決算書の中に「貸借対照表」がありましたね。
貸方(右側)に調達、借方に運用を並べていきますが、調達の中でも2つに分かれます。
1つは“借りて”調達した「負債」でしたね。
もう1つ「純資産」に入るのが「資本金」です。株主に出してもらって調達したもので、これは返済の必要はありません。「資本」と言ったりもします。
この株主から集めた2,000,000円をもとに経営をしていくのですね。
新日商簿記3級では、株式会社会計ということで、株の発行や利益(もうけ)の株主への配当の処理を学習します。
株式会社の経理なんて必要かしら…!?という方、簿記3級を通してニュースがもっとわかるようになるかもしれませんよ。あまり構え過ぎず始めてみてはいかがでしょうか。
次回は、最後のテーマ「損益計算書」です。あわせて、これまでのまとめができたらいいなと考えています。お楽しみに。
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