こんにちは。オンスクの知的財産管理技能検定3級講座を担当いたしました、株式会社パテントインベストメントの草野です。
連載「知的財産で売上UP!活用法&リスク管理法」 、前々回・前回の記事では、 知的財産権の取得で得られた信用力をお金にする方法についてご説明しました。
今回は、知的財産の活かし方の4つ目、「知的財産を起業や新規事業の探索に活用する」についてお話しします。
他人の知的財産のライセンスを受けるという活用法とは?
今回の話をシンプルにお伝えすると、知的財産の活かし方の2つ目としてご紹介した、「アイデアや知的財産権を他人(企業)に売り込む」という方法 の逆バージョンになります。
すなわち他人からアイデアや知的財産権を買い取ったり、ライセンスを受けたりすることによって、他人のアイデア、知的財産権を活用するということになります。
買い取るかライセンスを受けるかのどちらを選択するかは、状況によって変わってくるかと思いますが、個人的には買い取るよりもライセンスの方が良いと思っています。
その理由を以下ご説明します。
他人の知的財産のライセンスを受けるメリット
メリット① 初期費用を抑えられる
ライセンスを受けるということは、最初の契約金に加え、商品・サービスの売上の一部を定期的に支払うということなので、 契約金以外は成果報酬型となり、多額のお金を払わなくても事業を始められます。
メリット② ライセンスしてくれた相手方からのサポートを受けやすくなる
買い取りの場合は、特許などの知的財産権の保有者が相手方から自分達に変わるので、もはや相手方からしたら完全に手放した権利であり、相手方とは無関係となります。
一方でライセンスの場合は、特許などの知的財産権を保有したまま相手に実施・使用を許諾し、成果報酬型でライセンス料を受け取るので、 ライセンスを受けた側(ライセンシーといいます)が大きな売上をあげた方が、自分達も得をするのです。
そのためライセンシーの事業がうまくいき、売上が上がるように色々とサポートしていくのが通常です。
例えば、特許ライセンスの場合は、特許の内容である技術的アイデアを使って商品・サービスを販売・提供していくうえで、その技術に詳しい人がサポート(技術供与)を行います。
もし、アプリやシステム関係の特許であれば、IT技術に詳しい技術者が特許以外の内容も含めてサポートしていくことになります。
どれくらいサポートをしてもらえるかは、契約内容や状況にもよるので一概には言えませんが、ライセンス契約後もしっかりサポートしてくれる相手を選ぶべきです。
サポートがなくても実行できるようなアイデアであれば、単にライセンス契約だけを行う形で問題ありません。
知的財産の買取先・ライセンサーの探索方法とは
では、アイデアと知的財産権を買い取る、あるいはライセンスを受けるにあたり、ライセンスしてくれる相手方を見つけるにはどうすればよいか、方法をいくつかご紹介します。
方法① 特許庁(INPIT)の検索システムで特許、商標、意匠などの知的財産権を検索する
検索システムでは、特許などに関する情報を、文字や分類コード、個人・企業名などで検索できます。
そのため、買い取りたい、あるいはライセンスを受けたいアイデアについて、内容などの条件が決まっていれば、それに合った検索をすればよいことになります。
そうして条件に合う特許などが見つかったら、その特許などの保有者に連絡をします。
ただ、連絡をしても、売却やライセンスをしてくれるかどうかは特許などの保有者次第になってきます。
当然自分達でずっと権利を保有したいと考える企業や個人も多いので、ライセンスしてくれる確率は、そんなに高くないように思います。
ちなみに特許の検索システムは、J-PlatPatというプラットフォームになります。
方法② 特許庁(INPIT)が管理する開放特許情報データベースを活用する
開放特許情報データベースには、企業などが他社にライセンスをしたい、あるいは売却をしたい特許の情報が掲載されています。
掲載件数は、2022年2月時点で、2万4千件を超えています。
検索条件を入力するとそれに合った特許の情報が得られますので、技術的なアイデアをお探しの方はぜひ活用していただければと思います。
なお、1つ目でご紹介した方法だと、ライセンスを受けたい特許の内容を見つけても特許の保有者がそれを認めてくれるかわかりません。
ですが、この開放特許情報データベースに特許情報を載せているということは、当然特許を開放する前提となっていますので、断られる可能性は1つ目の手段よりも低いと考えられます。
方法③ フランチャイズに参加する
ということでフランチャイズのことについてお伝えしたいのですが、少し長くなりそうですので、次回の記事でお話しします。
フランチャイズについては、私がかなり注目していることです。ぜひ皆さんも注目していただけたらと思います。
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